公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律

平成十二年法律第百二十七号
略称 : 入札契約適正化法 
分類 法律
カテゴリ   建築・住宅
@ 施行日 : 令和三年九月一日 ( 2021年 9月1日 )
@ 最終更新 : 令和三年法律第三十七号による改正
最終編集日 : 2023年 02月10日 18時42分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 情報の公表

  • 第三章 不正行為等に対する措置

  • 第四章 適正な金額での契約の締結等のための措置

  • 第五章 施工体制の適正化

  • 第六章 適正化指針

  • 第七章 国による情報の収集、整理及び提供等

第一章 総則

1項

この法律は、国、特殊法人等 及び地方公共団体が行う公共工事の入札 及び契約について、その適正化の基本となるべき事項を定めるとともに、情報の公表、不正行為等に対する措置、適正な金額での契約の締結等のための措置 及び施工体制の適正化の措置を講じ、併せて適正化指針の策定等の制度を整備すること等により、公共工事に対する国民の信頼の確保とこれを請け負う建設業の健全な発達を図ることを目的とする。

1項

この法律において「特殊法人等」とは、法律により直接に設立された法人 若しくは特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人(総務省設置法平成十一年法律第九十一号第四条第一項第八号の規定の適用を受けない法人を除く)、 特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政官庁の認可を要する法人 又は独立行政法人(独立行政法人通則法平成十一年法律第百三号第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。第六条において同じ。)のうち、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する法人であって政令で定めるものをいう。

一 号

資本金の二分の一以上が国からの出資による法人 又は その事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金 若しくは補助金によって得ている法人であること。

二 号

その設立の目的を実現し、又は その主たる業務を遂行するため、計画的かつ継続的に建設工事(建設業法(昭和二十四年法律第百号)第二条第一項に規定する建設工事をいう。次項において同じ。)の発注を行う法人であること。

2項

この法律において「公共工事」とは、国、特殊法人等 又は地方公共団体が発注する建設工事をいう。

3項

この法律において「建設業」とは、建設業法第二条第二項に規定する建設業をいう。

4項

この法律において「各省各庁の長」とは、財政法昭和二十二年法律第三十四号第二十条第二項に規定する各省各庁の長をいう。

1項

公共工事の入札 及び契約については、次に掲げるところにより、その適正化が図られなければならない。

一 号
入札 及び契約の過程 並びに契約の内容の透明性が確保されること。
二 号
入札に参加しようとし、又は契約の相手方になろうとする者の間の公正な競争が促進されること。
三 号
入札 及び契約からの談合 その他の不正行為の排除が徹底されること。
四 号
その請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の締結が防止されること。
五 号
契約された公共工事の適正な施工が確保されること。

第二章 情報の公表

1項

各省各庁の長は、政令で定めるところにより、毎年度、当該年度の公共工事の発注の見通しに関する事項で政令で定めるものを公表しなければならない。

2項

各省各庁の長は、前項の見通しに関する事項を変更したときは、政令で定めるところにより、変更後の当該事項を公表しなければならない。

1項

各省各庁の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を公表しなければならない。

一 号

入札者の商号 又は名称 及び入札金額、落札者の商号 又は名称 及び落札金額、入札の参加者の資格を定めた場合における当該資格、指名競争入札における指名した者の商号 又は名称 その他の政令で定める公共工事の入札 及び契約の過程に関する事項

二 号
契約の相手方の商号 又は名称、契約金額 その他の政令で定める公共工事の契約の内容に関する事項
1項

特殊法人等の代表者(当該特殊法人等が独立行政法人である場合にあっては、その長。以下同じ。)は、前二条の規定に準じて、公共工事の入札 及び契約に関する情報を公表するため必要な措置を講じなければならない。

1項

地方公共団体の長は、政令で定めるところにより、毎年度、当該年度の公共工事の発注の見通しに関する事項で政令で定めるものを公表しなければならない。

2項

地方公共団体の長は、前項の見通しに関する事項を変更したときは、政令で定めるところにより、変更後の当該事項を公表しなければならない。

1項

地方公共団体の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を公表しなければならない。

一 号

入札者の商号 又は名称 及び入札金額、落札者の商号 又は名称 及び落札金額、入札の参加者の資格を定めた場合における当該資格、指名競争入札における指名した者の商号 又は名称 その他の政令で定める公共工事の入札 及び契約の過程に関する事項

二 号
契約の相手方の商号 又は名称、契約金額 その他の政令で定める公共工事の契約の内容に関する事項
1項

前二条の規定は、地方公共団体が、前二条に規定する事項以外の公共工事の入札 及び契約に関する情報の公表に関し、条例で必要な規定を定めることを妨げるものではない。

第三章 不正行為等に対する措置

1項

各省各庁の長、特殊法人等の代表者 又は地方公共団体の長(以下「各省各庁の長等」という。)は、それぞれ国、特殊法人等 又は地方公共団体(以下「国等」という。)が発注する公共工事の入札 及び契約に関し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律昭和二十二年法律第五十四号第三条 又は第八条第一号の規定に違反する行為があると疑うに足りる事実があるときは、公正取引委員会に対し、その事実を通知しなければならない。

1項

各省各庁の長等は、それぞれ国等が発注する公共工事の入札 及び契約に関し、当該公共工事の受注者である建設業者(建設業法第二条第三項に規定する建設業者をいう。次条において同じ。)に次の各号いずれかに該当すると疑うに足りる事実があるときは、当該建設業者が建設業の許可を受けた国土交通大臣 又は都道府県知事 及び当該事実に係る営業が行われる区域を管轄する都道府県知事に対し、その事実を通知しなければならない。

一 号

建設業法第八条第九号、第十一号(同条第九号に係る部分に限る)、第十二号(同条第九号に係る部分に限る)、第十三号(同条第九号に係る部分に限る) 若しくは第十四号(これらの規定を同法第十七条において準用する場合を含む。)又は第二十八条第一項第三号、第四号(同法第二十二条第一項に係る部分に限る)若しくは第六号から 第八号までのいずれかに該当すること。

二 号

第十五条第二項 若しくは第三項同条第一項の規定により読み替えて適用される建設業法第二十四条の八第一項、第二項 若しくは第四項 又は同法第十九条の五、第二十六条第一項から 第三項まで、第二十六条の二 若しくは第二十六条の三第七項の規定に違反したこと。

第四章 適正な金額での契約の締結等のための措置

1項

建設業者は、公共工事の入札に係る申込みの際に、入札金額の内訳を記載した書類を提出しなければならない。

1項

各省各庁の長等は、その請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の締結を防止し、及び不正行為を排除するため、前条の規定により提出された書類の内容の確認 その他の必要な措置を講じなければならない。

第五章 施工体制の適正化

1項
公共工事については、建設業法第二十二条第三項の規定は、適用しない。
1項

公共工事についての建設業法第二十四条の八第一項、第二項 及び第四項の規定の適用については、

これらの規定中
特定建設業者」とあるのは
「建設業者」と、

同条第一項中
締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が政令で定める金額以上になる」とあるのは
「下請契約を締結した」と、

同条第四項中
見やすい場所」とあるのは
「工事関係者が見やすい場所 及び公衆が見やすい場所」と

する。

2項

公共工事の受注者(前項の規定により読み替えて適用される建設業法第二十四条の八第一項の規定により同項に規定する施工体制台帳(以下単に「施工体制台帳」という。)を作成しなければならないこととされているものに限る)は、作成した施工体制台帳(同項の規定により記載すべきものとされた事項に変更が生じたことに伴い新たに作成されたものを含む。)の写しを発注者に提出しなければならない。


この場合においては、同条第三項の規定は、適用しない

3項

前項の公共工事の受注者は、発注者から、公共工事の施工の技術上の管理をつかさどる者(次条において「施工技術者」という。)の設置の状況 その他の工事現場の施工体制が施工体制台帳の記載に合致しているかどうかの点検を求められたときは、これを受けることを拒んではならない。

1項

公共工事を発注した国等に係る各省各庁の長等は、施工技術者の設置の状況 その他の工事現場の施工体制を適正なものとするため、当該工事現場の施工体制が施工体制台帳の記載に合致しているかどうかの点検 その他の必要な措置を講じなければならない。

第六章 適正化指針

1項

国は、各省各庁の長等による公共工事の入札 及び契約の適正化を図るための措置(第二章第三章第十三条 及び前条に規定するものを除く)に関する指針(以下「適正化指針」という。)を定めなければならない。

2項

適正化指針には、第三条各号に掲げるところに従って、次に掲げる事項を定めるものとする。

一 号

入札 及び契約の過程 並びに契約の内容に関する情報(各省各庁の長 又は特殊法人等の代表者による措置にあっては第四条 及び第五条、地方公共団体の長による措置にあっては第七条 及び第八条に規定するものを除く)の公表に関すること。

二 号
入札 及び契約の過程 並びに契約の内容について学識経験を有する者等の第三者の意見を適切に反映する方策に関すること。
三 号
入札 及び契約の過程に関する苦情を適切に処理する方策に関すること。
四 号
公正な競争を促進し、及び その請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の締結を防止するための入札 及び契約の方法の改善に関すること。
五 号
公共工事の施工に必要な工期の確保 及び地域における公共工事の施工の時期の平準化を図るための方策に関すること。
六 号
将来におけるより適切な入札 及び契約のための公共工事の施工状況の評価の方策に関すること。
七 号

前各号に掲げるもののほか、入札 及び契約の適正化を図るため必要な措置に関すること。

3項

適正化指針の策定に当たっては、特殊法人等 及び地方公共団体の自主性に配慮しなければならない。

4項

国土交通大臣、総務大臣 及び財務大臣は、あらかじめ各省各庁の長 及び特殊法人等を所管する大臣に協議した上、適正化指針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

5項
国土交通大臣は、適正化指針の案の作成に先立って、中央建設業審議会の意見を聴かなければならない。
6項

国土交通大臣、総務大臣 及び財務大臣は、第四項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、適正化指針を公表しなければならない。

7項

第三項から 前項までの規定は、適正化指針の変更について準用する。

1項

各省各庁の長等は、適正化指針に定めるところに従い、 公共工事の入札 及び契約の適正化を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

1項

国土交通大臣 及び財務大臣は、各省各庁の長 又は特殊法人等を所管する大臣に対し、当該各省各庁の長 又は当該大臣が所管する特殊法人等が適正化指針に従って講じた措置の状況について報告を求めることができる。

2項

国土交通大臣 及び総務大臣は、地方公共団体に対し、適正化指針に従って講じた措置の状況について報告を求めることができる。

3項

国土交通大臣、総務大臣 及び財務大臣は、毎年度、前二項の報告を取りまとめ、その概要を公表するものとする。

1項

国土交通大臣 及び財務大臣は、各省各庁の長 又は特殊法人等を所管する大臣に対し、公共工事の入札 及び契約の適正化を促進するため適正化指針に照らして特に必要があると認められる措置を講ずべきことを要請することができる。

2項

国土交通大臣 及び総務大臣は、地方公共団体に対し、公共工事の入札 及び契約の適正化を促進するため適正化指針に照らして特に必要があると認められる措置を講ずべきことを要請することができる。

第七章 国による情報の収集、整理及び提供等

1項

国土交通大臣、総務大臣 及び財務大臣は、第二章の規定により公表された情報 その他 その普及が公共工事の入札 及び契約の適正化の促進に資することとなる情報の収集、整理 及び提供に努めなければならない。

1項

国、特殊法人等 及び地方公共団体は、それぞれ その職員に対し、公共工事の入札 及び契約が適正に行われるよう、関係法令 及び所管分野における公共工事の施工技術に関する知識を習得させるための教育 及び研修 その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2項

国土交通大臣 及び都道府県知事は、建設業を営む者に対し、公共工事の入札 及び契約が適正に行われるよう、関係法令に関する知識の普及 その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。