航空機製造事業法

昭和二十七年法律第二百三十七号
分類 法律
カテゴリ   工業
@ 施行日 : 令和四年六月十八日 ( 2022年 6月18日 )
@ 最終更新 : 令和元年法律第三十八号による改正
最終編集日 : 2023年 06月15日 09時44分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 事業

  • 第三章 航空機

  • 第四章 航空機用機器

  • 第五章 航空工場検査官及び航空工場検査員

  • 第六章 雑則

  • 第七章 罰則

第一章 総則

1項

この法律は、航空機 及び航空機用機器の製造 及び修理の事業の事業活動を調整することによつて、国民経済の健全な運行に寄与するとともに、航空機 及び航空機用機器の製造 及び修理の方法を規律することによつて、その生産技術の向上を図ることを目的とする。

1項

この法律において「航空機」とは、人が乗つて航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機 及び飛行船 その他 政令で定める航空の用に供することができる機械器具をいう。

2項

この法律において「航空機用機器」とは、左に掲げる物をいう。

一 号
航空機用原動機
二 号
航空機用プロペラ
三 号

前二号に掲げる物の外、航空機の一部を構成し、又はこれに装備される機械器具であつて、政令で定めるもの

3項

この法律において「特定機器」とは、左に掲げる物をいう。

一 号

前項第一号 及び第二号に掲げる航空機用機器

二 号

前項第三号に掲げる航空機用機器であつて、政令で定めるもの

第二章 事業

1項

航空機(経済産業省令で定める滑空機を除く第十七条第一項除き、以下同じ。) 又は特定機器の製造 又は修理(改造を含み、経済産業省令で定める軽微な修理 並びに航空運送事業者 又は航空機使用事業者の自家修理 及びこれに準ずるものを除く。以下同じ。)の事業を行おうとする者は、経済産業省令で定める航空機 又は特定機器の製造 又は修理の事業の区分に従い、工場ごとに、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

1項

前条の許可を受けようとする者は、左に掲げる事項を記載した申請書を経済産業大臣に提出しなければならない。

一 号

氏名 又は名称 及び住所 並びに法人にあつてはその代表者の氏名 及び住所

二 号
事業の区分
三 号

前号の事業の用に供する特定設備(航空機 又は特定機器の製造 又は修理のための設備であつて、前条の経済産業省令で定める区分に応じて経済産業省令で定めるものをいう。以下同じ。)の種類 及び能力別の数

四 号
工場の所在地
2項

前項の申請書には、事業計画書、事業収支見積書 その他経済産業省令で定める書類を添附しなければならない。

1項

左の各号の一に該当する者は、第二条の二許可を受けることができない

一 号

この法律の規定に違反して一年以上の懲役の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者

二 号

第二条の十三第二項の規定により第二条の二の許可を取り消され、取消の日から二年を経過しない者

三 号

法人であつて、その業務を行う役員のうちに前二号の一に該当する者があるもの

1項

経済産業大臣は、第二条の二の許可の申請が左の各号に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。

一 号

当該事業の用に供する特定設備が経済産業省令で定める生産技術上の基準に適合すること。

二 号

その許可をすることによつて当該航空機 又は特定機器の製造 又は修理の能力が著しく過大にならないこと。

三 号

その事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎 及び技術的能力があること。

2項

経済産業大臣は、武器を装備し、又は搭載する構造を有する航空機の製造 又は修理の事業について第二条の二の許可をするときは、あらかじめ、防衛大臣の意見を聴かなければならない。

1項

経済産業大臣は、第二条の二の許可をしたときは、許可証を交付する。

2項

許可証には、左に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号
許可の年月日 及び許可の番号
二 号
氏名 又は名称 及び住所
三 号
事業の区分
四 号

前号の事業の用に供する特定設備の種類 及び能力別の数

五 号
工場の所在地
1項

第二条の二の許可を受けた者(以下「許可事業者」という。)が当該許可に係る事業の全部を譲り渡し、又は許可事業者について相続、合併 若しくは分割(当該許可に係る事業の全部を承継させるものに限る)があつたときは、その事業の全部を譲り受けた者 又は相続人、合併後存続する法人 若しくは合併により設立した法人 若しくは分割によりその事業の全部を承継した法人は、許可事業者の地位を承継する。

2項

前項の規定により許可事業者の地位を承継した者は、遅滞なく、その事実を証する書面を添えて、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

1項

許可事業者は、第二条の六第二項第三号の事項を変更しようとするときは、経済産業大臣の許可を受けなければならない。


但し、その変更が二以上の事業の区分に係る許可事業者の一部の区分の事業の廃止であるときは、この限りでない。

2項

第二条の五の規定は、前項の許可に準用する。

1項

許可事業者は、当該事業の用に供する特定設備を第二条の五第一項第一号の生産技術上の基準に適合するように維持しなければならない。

2項

経済産業大臣は、当該事業の用に供する特定設備が第二条の五第一項第一号の生産技術上の基準に適合していないと認めるときは、許可事業者に対し、その生産技術上の基準に適合するように当該特定設備を修理し、又は改造すべきことを命ずることができる。

1項

許可事業者は、当該事業の用に供する特定設備を新設し、増設し、又は改造しようとするときは、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

2項

第二条の五の規定は、前項の許可に準用する。

1項

許可事業者は、第二条の六第二項第五号の事項を変更しようとするときは、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

2項

第二条の五第一項第一号の規定は、前項の許可に準用する。

1項

許可事業者がその事業を廃止したときは、許可は、その効力を失う。

1項

経済産業大臣は、許可事業者が正当な事由がないのに、一年以内にその事業を開始せず、又は一年以上引き続きその事業を休止したときは、第二条の二の許可を取り消すことができる。

2項

経済産業大臣は、許可事業者が左の各号の一に該当するときは、第二条の二の許可を取り消し、又は一年以内の期間を定めてその事業の停止を命ずることができる。

一 号

第二条の四第一号 又は第三号に該当するに至つたとき。

二 号

第二条の八第一項第二条の十第一項 又は第二条の十一第一項の規定により許可を受けなければならない事項を許可を受けないでしたとき。

三 号

第十六条の二第一項の条件に違反したとき。

四 号

不正な手段により第二条の二の許可を受けたとき。

1項

第二条の二の経済産業省令で定める滑空機 又は特定機器以外の航空機用機器の製造 又は修理の事業を行おうとする者は、工場ごとに、左に掲げる事項を記載した届出書を経済産業大臣に提出しなければならない。

一 号
氏名 又は名称 及び住所
二 号
事業の種類
三 号
工場の所在地
2項

前項の届出書には、事業計画書 その他経済産業省令で定める書類を添付しなければならない。

3項

第二条の七の規定は、第一項の届出書を提出した者(以下「届出事業者」という。)に準用する。

1項

届出事業者であつて、特定機器以外の航空機用機器の製造 又は修理の事業を行うものは、特定機器以外の航空機用機器の製造 又は修理のための設備で、その製造 又は修理の事業の種類ごとに経済産業省令で定めるものであつて、当該事業の用に供するものを経済産業省令で定める生産技術上の基準に適合するように維持しなければならない。

2項

第二条の九第二項の規定は、前項の設備に準用する。

1項

許可事業者は、第二条の六第二項第二号の事項に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

2項

届出事業者は、第三条第一項の届出書に記載した事項に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

1項

許可事業者 又は届出事業者は、その事業を廃止したときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

第三章 航空機

1項

航空機の製造に係る許可事業者は、経済産業大臣の認可を受けた製造の方法によるのでなければ、航空機の製造をしてはならない。


但し、試験的に製造をする場合 その他経済産業省令で定める場合は、この限りでない。

2項

経済産業大臣は、前項の認可の申請に係る製造の方法が経済産業省令で定める生産技術上の基準に適合すると認めるときは、同項認可をしなければならない。

1項

経済産業大臣は、航空機の製造に係る許可事業者が前条第一項の認可を受けた方法によらないで航空機の製造をしていると認めるときは、許可事業者に対し、その認可を受けた方法によつてその製造をすべきことを命ずることができる。


但し同項但書に規定する場合は、この限りでない。

1項

航空機の製造に係る許可事業者は、第六条第一項の認可を受けた製造の方法ごとに、経済産業省令で定める資格を有する者のうちから航空検査技術者を選任し、その製造に係る航空機が当該認可を受けた製造の方法により製造されたものであることについて、当該航空検査技術者に確認をさせなければならない。

2項

航空機の製造に係る許可事業者は、前項の規定により航空検査技術者を選任したときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。


これを解任したときも、同様とする。

3項

航空検査技術者は、誠実に確認の職務を行わなければならない。

4項

航空機の製造に係る許可事業者は、航空検査技術者がその確認に関しこの法律の実施を確保するためにする指示に従わなければならない。

5項

航空機の製造に係る許可事業者は、第一項の確認をさせたときは、航空検査技術者に製造確認書を作成させなければならない。

6項

航空機の製造に係る許可事業者は、第一項の確認をさせたときは、経済産業省令で定めるところにより、遅滞なく、経済産業大臣に届け出なければならない。

7項

航空機の製造に係る許可事業者は、第五項の製造確認書とともにするのでなければ、その製造に係る航空機を他人に引き渡してはならない。


ただし第六条第一項ただし書に規定する場合は、この限りでない。

1項

航空機の修理に係る許可事業者は、経済産業大臣の認可を受けた修理の方法によるのでなければ、航空機の修理をしてはならない。


但し、試験的に修理をする場合 その他経済産業省令で定める場合は、この限りでない。

2項

第六条第二項 及び第七条の規定は、航空機の修理の方法に準用する。

1項

航空機の修理に係る許可事業者は、航空機について経済産業省令で定める修理をするときは、前条第一項の認可を受けた修理の方法ごとに、第八条第一項の経済産業省令で定める資格を有する者のうちから航空検査技術者を選任し、その修理に係る航空機が当該認可を受けた修理の方法により修理されたものであることについて、当該航空検査技術者に確認をさせなければならない。

2項

第八条第二項から第七項までの規定は、前項の修理の確認に準用する。


この場合において、

同条第二項 及び第四項から第七項までの規定中
製造に係る」とあるのは
「修理に係る」と、

同条第五項 及び第七項
製造確認書」とあるのは
「修理確認書」と、

同条第七項ただし書中
第六条第一項ただし書」とあるのは
前条第一項ただし書」と

読み替えるものとする。

第四章 航空機用機器

1項

航空機用機器の製造に係る許可事業者 又は届出事業者は、経済産業大臣の認可を受けた製造の方法によるのでなければ、航空機用機器の製造をしてはならない。


但し、試験的に製造をする場合 その他経済産業省令で定める場合は、この限りでない。

2項

第六条第二項 及び第七条の規定は、航空機用機器の製造の方法に準用する。

1項

航空機用機器の製造に係る許可事業者 又は届出事業者は、前条第一項の認可を受けた製造の方法ごとに、第八条第一項の経済産業省令で定める資格を有する者のうちから航空検査技術者を選任し、その製造に係る航空機用機器が経済産業省令で定める生産技術上の基準に適合することについて、当該航空検査技術者に製造証明をさせなければならない。

2項

第八条第二項から第七項までの規定は、航空機用機器の製造証明に準用する。


この場合において、

同条第二項 及び第四項から第七項までの規定中
航空機」とあるのは
「航空機用機器」と、

許可事業者」とあるのは
「許可事業者 又は届出事業者」と、

同条第三項第四項 及び第六項
確認」とあるのは
「製造証明」と、

同条第五項
確認を」とあるのは
「製造証明を」と、

同条第五項 及び第七項
製造確認書」とあるのは
「製造証明書」と、

同条第七項ただし書中
第六条第一項ただし書」とあるのは
前条第一項ただし書」と

読み替えるものとする。

1項

許可事業者 又は届出事業者は、製造証明のない航空機用機器(輸入されたものを除く)を航空機の製造 又は修理(航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第十六条第二項各号のいずれかに該当する装備品等を用いてするものを除く)に用いてはならない。


ただし、試験的に用いる場合 その他経済産業省令で定める場合は、この限りでない。

1項

航空機用機器の修理に係る許可事業者 又は届出事業者は、経済産業大臣の認可を受けた修理の方法によるのでなければ、航空機用機器の修理をしてはならない。


但し、継続的な修理を目的としない場合 その他経済産業省令で定める場合は、この限りでない。

2項

第六条第二項 及び第七条の規定は、航空機用機器の修理の方法に準用する。

第五章 航空工場検査官及び航空工場検査員

1項

経済産業省に、航空工場検査官(以下「検査官」という。)を置く。

2項

検査官は、この法律の規定による検査 又は製造 若しくは修理の方法の認可に関する事務に従事する。

1項

経済産業大臣は、航空機 又は航空機用機器の製造工場 又は修理工場(航空運送事業者 又は航空機使用事業者の自家修理工場 及びこれに準ずるものを除く)の従業者であつて、政令で定めるものを、前条第二項に規定する事務に従事させることができる。

第六章 雑則

1項

許可 又は認可には、条件を附し、及び これを変更することができる。

2項

前項の条件は、許可 又は認可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最少限度のものに限り、且つ、許可 又は認可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。

1項

この法律の規定は、第十八条 及び第七章の規定を除き、国に適用があるものとする。


この場合において、

許可」又は「認可」とあるのは、
「承認」と

読み替えるものとする。

1項

経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、許可事業者 若しくは届出事業者から、航空機 若しくは航空機用機器の製造 若しくは修理に関する報告を徴し、又はその職員にその者の事務所、工場、倉庫 若しくは航空機 若しくは航空機用機器の所在する場所に立ち入り、航空機、航空機用機器、帳簿、書類 その他の物件を検査させることができる。

2項

前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人に呈示しなければならない。

3項

第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

1項

次に掲げる者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。

一 号

第六条第一項の認可を申請する者

二 号

第九条第一項の認可を申請する者

三 号

第十一条第一項の認可を申請する者

四 号

第十四条第一項の認可を申請する者

1項

この法律の規定による処分 又はその不作為についての審査請求に対する裁決は、行政不服審査法平成二十六年法律第六十八号第二十四条の規定により当該審査請求を却下する場合を除き、審査請求人に対し、相当な期間をおいて予告をした上、同法第十一条第二項に規定する審理員が公開による意見の聴取をした後にしなければならない。

2項

前項の意見の聴取に際しては、審査請求人 及び利害関係人に対し、当該事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。

3項

第一項に規定する審査請求については、行政不服審査法第三十一条の規定は適用せず、同項の意見の聴取については、同条第二項から第五項までの規定を準用する。

第七章 罰則

1項

次の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役 若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 号

第二条の二の許可を受けないで航空機 又は特定機器の製造 又は修理の事業を行つた者

二 号

第二条の十三第二項の規定による事業の停止の命令に違反した者

1項

次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役 若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 号

第二条の八第一項の規定に違反して第二条の六第二項第三号の事項を変更した者

二 号

第二条の九第二項第三条の二第二項において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者

三 号

第二条の十第一項の許可を受けないで特定設備を新設し、増設し、又は改造した者

四 号

第二条の十一第一項の許可を受けないで第二条の六第二項第五号の事項を変更した者

1項

次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役 若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 号

第七条第九条第二項第十一条第二項 及び第十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者

二 号

第八条第七項第十条第二項 及び第十二条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して航空機 又は航空機用機器を引き渡した者

三 号

第十三条の規定に違反して製造証明のない航空機用機器を航空機の製造 又は修理に用いた者

1項

次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

一 号

第二条の七第二項第三条第三項において準用する場合を含む。)、第四条 又は第五条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

二 号

第三条第一項の規定による届出書を提出せず、又は虚偽の届出書を提出した者

二の二 号

第八条第六項第十条第二項 及び第十二条第二項において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

三 号

第十七条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

四 号

第十七条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

1項

法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関し、前四条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人 又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。

1項

第八条第二項第十条第二項 及び第十二条第二項において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万円以下の過料に処する。