観光立国推進基本法

平成十八年法律第百十七号
分類 法律
カテゴリ   観光
最終編集日 : 2020年 09月30日 09時29分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 観光立国推進基本計画

  • 第三章 基本的施策

    • 第一節 国際競争力の高い魅力ある観光地の形成
    • 第二節 観光産業の国際競争力の強化及び観光の振興に寄与する人材の育成
    • 第三節 国際観光の振興
    • 第四節 観光旅行の促進のための環境の整備
  • 第四章 国及び地方公共団体の協力等

前文

観光は、

国際平和と国民生活の安定を
象徴するものであって、

その持続的な発展は、
恒久の平和と国際社会の相互理解の増進を念願し、

健康で文化的な生活を享受しようとする
我らの理想とするところである。


また、観光は、地域経済の活性化、
雇用の機会の増大等国民経済のあらゆる領域にわたり
その発展に寄与するとともに、

健康の増進、潤いのある豊かな生活環境の創造等を通じて
国民生活の安定向上に貢献するものであることに加え、
国際相互理解を増進するものである。


我らは、このような使命を有する観光が、
今後、我が国において

世界に例を見ない水準の
少子高齢社会の到来と
本格的な国際交流の進展が見込まれる中で、

地域における 創意工夫を生かした
主体的な取組を尊重しつつ、

地域の住民が誇りと愛着を持つことのできる
活力に満ちた地域社会の実現を促進し、

我が国固有の文化、歴史等に関する
理解を深めるものとして

その意義を一層高めるとともに、

豊かな国民生活の実現と国際社会における
名誉ある地位の確立に
極めて重要な役割を担っていくものと確信する。


しかるに、現状をみるに、

観光が その使命を果たすことができる
観光立国の実現に向けた環境の整備は、
いまだ不十分な状態である。


また、国民のゆとりと安らぎを求める
志向の高まり等を背景とした

観光旅行者の需要の高度化、

少人数による 観光旅行の
増加等観光旅行の形態の多様化、

観光分野における 国際競争の一層の激化等の
近年の観光をめぐる諸情勢の
著しい変化への的確な対応は、十分に行われていない。


これに加え、我が国を来訪する
外国人観光旅客数等の状況も、

国際社会において 我が国の占める地位に
ふさわしいものとはなっていない。


これらに適切に対処し、地域において
国際競争力の高い魅力ある観光地を形成するとともに、

観光産業の国際競争力の強化
及び観光の振興に寄与する人材の育成、

国際観光の振興を図ること等により、
観光立国を実現することは、

二十一世紀の我が国経済社会の発展のために
不可欠な重要課題である。


ここに、観光立国の実現に関する施策を
総合的かつ計画的に推進するため、

この法律を制定する。

制定に関する表明

観光基本法(昭和三十八年法律第百七号)の全部を改正する。

第一章 総則

1項

この法律は、

二十一世紀の
我が国経済社会の発展のために

観光立国を実現することが
極めて重要であることにかんがみ、

観光立国の実現に関する施策に関し、
基本理念を定め、

並びに国 及び地方公共団体の
責務等を明らかにするとともに、

観光立国の実現に関する施策の
基本となる事項を定めることにより、

観光立国の実現に関する施策を
総合的かつ計画的に推進し、

もって国民経済の発展、
国民生活の安定向上

及び国際相互理解の増進に
寄与することを目的とする。

1項

観光立国の実現に関する施策は、

地域における 創意工夫を生かした
主体的な取組を尊重しつつ、

地域の住民が
誇りと愛着を持つことのできる

活力に満ちた
地域社会の持続可能な発展を通じて

国内外からの
観光旅行を促進することが、

将来にわたる
豊かな国民生活の実現のため

特に重要であるという認識の下に
講ぜられなければならない。

2項

観光立国の実現に関する施策は、

観光が健康的でゆとりのある
生活を実現する上で果たす
役割の重要性にかんがみ、

国民の観光旅行の促進が図られるよう
講ぜられなければならない。

3項

観光立国の実現に関する施策は、

観光が国際相互理解の増進と

これを通じた国際平和のために果たす
役割の重要性にかんがみ、

国際的視点に立って
講ぜられなければならない。

4項

観光立国の実現に関する
施策を講ずるに当たっては、

観光産業が、多様な事業の分野における
特色ある事業活動から 構成され、

多様な就業の機会を
提供すること等により

我が国 及び地域の経済社会において
重要な役割を担っていることにかんがみ、

国、地方公共団体、住民、
事業者等による

相互の連携が確保されるよう
配慮されなければならない。

1項

国は、

前条の施策の
基本理念(次条第一項において「基本理念」という。)に
のっとり、

観光立国の実現に関する施策を
総合的に策定し、

及び実施する責務を有する。

1項

地方公共団体は、
基本理念にのっとり、

観光立国の実現に関し、
国との適切な役割分担を踏まえて、

自主的かつ主体的に、

その地方公共団体の
区域の特性を生かした施策を策定し、

及び実施する責務を有する。

2項

地方公共団体は、
前項の施策を実施するに当たっては、

その効果的な実施を図るため

地方公共団体相互の

広域的な連携協力に
努めなければならない。

1項

住民は、

観光立国の
意義に対する理解を深め、

魅力ある観光地の形成に

積極的な役割を果たすよう
努めるものとする。

1項

観光に関する事業(第十六条において「観光事業」という。)を
営む者(以下「観光事業者」という。)は、

その事業活動を行うに際しては、
住民の福祉に配慮するとともに、

観光立国の実現に
主体的に取り組むよう

努めるものとする。

1項

政府は、

観光立国の実現に関する施策を
実施するため

必要な法制上、財政上
又は金融上の措置

その他の措置を
講じなければならない。

1項

政府は、
毎年、国会に、

観光の状況 及び政府が
観光立国の実現に関して講じた

施策に関する報告を
提出しなければならない。

2項

政府は、毎年、
交通政策審議会の意見を聴いて、

前項の報告に係る
観光の状況を考慮して

講じようとする施策を
明らかにした文書を作成し、

これを国会に
提出しなければならない。

1項

交通政策審議会は、

国土交通大臣
又は関係各大臣の諮問に応じ、

観光立国の実現に関する
重要事項を調査審議する。

2項

交通政策審議会は、
前項に規定する事項に関し、

国土交通大臣 又は関係各大臣に
意見を述べることができる。

3項

交通政策審議会は、

前二項に規定する事務を遂行するため
必要があると認めるときは、

関係行政機関の長に対し、

資料の提出、意見の表明、
説明

その他 必要な協力を
求めることができる。

第二章 観光立国推進基本計画

1項

政府は、

観光立国の実現に関する施策の
総合的かつ計画的な推進を図るため、

観光立国の実現に関する

基本的な計画(以下「観光立国推進基本計画」という。)を
定めなければならない。

2項

観光立国推進基本計画は、

次に掲げる事項について
定めるものとする。

一 号

観光立国の
実現に関する施策についての

基本的な方針

二 号

観光立国の実現に関する目標

三 号

観光立国の実現に関し、

政府が総合的かつ計画的に
講ずべき施策

四 号

前三号に掲げるもののほか

観光立国の
実現に関する施策を

総合的かつ計画的に
推進するために必要な事項

3項

国土交通大臣は、
交通政策審議会の意見を聴いて、

観光立国推進基本計画の案を作成し、

閣議の決定を
求めなければならない。

4項

国土交通大臣は、

前項の規定による
閣議の決定があったときは、

遅滞なく、観光立国推進基本計画を
国会に報告するとともに、

公表しなければならない。

5項

前二項の規定は、

観光立国推進基本計画の
変更について準用する。

1項

観光立国推進基本計画以外の
国の計画は、

観光立国の実現に関しては、

観光立国推進基本計画を
基本とするものとする。

第三章 基本的施策

第一節 国際競争力の高い魅力ある観光地の形成

1項

国は、

国際競争力の高い
魅力ある観光地の形成を図るため、

地方公共団体と観光事業者

その他の関係者との連携による

観光地の特性を生かした
良質なサービスの提供の確保

並びに

  • 宿泊施設、
  • 食事施設、
  • 案内施設

その他の旅行に関連する
施設(以下「旅行関連施設」という。

及び公共施設の整備等に
必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、

観光資源の活用による

地域の特性を生かした
魅力ある観光地の形成を図るため、

  • 史跡、
  • 名勝、
  • 天然記念物等の文化財、
  • 歴史的風土、
  • 優れた自然の風景地、
  • 良好な景観、
  • 温泉

その他文化、
産業等に関する

観光資源の保護、育成
及び開発に

必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、

観光旅行者の
国際競争力の高い魅力ある観光地への

来訪の促進に必要な交通施設の
総合的な整備を図るため、

国際交通機関
及びこれに関連する施設

並びに国際競争力の高い
魅力ある観光地

及び その観光地間を
連絡する経路における

  • 空港、
  • 港湾、
  • 鉄道、
  • 道路、
  • 駐車場、
  • 旅客船

その他の観光の基盤となる
交通施設の整備等に

必要な施策を講ずるものとする。

第二節 観光産業の国際競争力の強化及び観光の振興に寄与する人材の育成

1項

国は、

観光産業の
国際競争力の強化を図るため、

観光事業者相互の
有機的な連携の推進、

観光旅行者の需要の高度化

及び観光旅行の
形態の多様化に対応した

サービスの提供の確保等に

必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、

観光の振興に寄与する人材の
育成を図るため、

観光地 及び観光産業の

国際競争力の強化に資する
高等教育の充実、

観光事業に従事する者の
知識 及び能力の向上、

地域の固有の文化、歴史等に関する
知識の普及の促進等に

必要な施策を講ずるものとする。

第三節 国際観光の振興

1項

国は、

外国人観光旅客の
来訪の促進を図るため、

我が国の伝統、文化等を生かした

海外における 観光宣伝活動の
重点的かつ効果的な実施、

国内における 交通、宿泊

その他の観光旅行に要する
費用に関する情報の提供、

国際会議

その他の国際的な規模で開催される
行事の誘致の促進、

外国人観光旅客の
出入国に関する措置の改善、

通訳案内のサービスの向上

その他の外国人観光旅客の
受入れの体制の確保等に

必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、

観光分野における
国際相互交流の促進を図るため、

外国政府との協力の推進、

我が国と外国との間における
地域間の交流の促進、

青少年による
国際交流の促進等に

必要な施策を講ずるものとする。

第四節 観光旅行の促進のための環境の整備

1項

国は、

観光旅行の容易化
及び円滑化を図るため、

休暇に関する制度の改善
その他休暇の取得の促進、

観光旅行の需要の
特定の時季への集中の緩和、

観光事業者の
不当な営利行為の防止

その他の観光に係る
消費者の利益の擁護、

観光の意義に対する
国民の理解の増進等に

必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、

観光旅行者に対する
接遇の向上を図るため、

接遇に関する教育の機会の提供、
旅行関連施設の整備、

我が国の伝統のある
優れた食文化 その他の生活文化、

産業等の紹介の強化、

我が国 又は地域の特色を生かした
魅力ある商品の開発等に

必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、

観光旅行者の利便の
増進を図るため、

  • 高齢者、
  • 障害者、
  • 外国人

その他特に配慮を要する観光旅行者が
円滑に利用できる旅行関連施設

及び公共施設の整備
及び これらの利便性の向上、

情報通信技術を活用した
観光に関する情報の提供等に

必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、

観光旅行の
安全の確保を図るため、

国内外の観光地における 事故、

災害等の発生の
状況に関する情報の提供、

観光旅行における
事故の発生の防止等に

必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、

新たな観光旅行の分野の
開拓を図るため、

自然体験活動、

農林漁業に関する
体験活動等を目的とする観光旅行、

心身の健康の保持増進のための
観光旅行

その他の多様な観光旅行の
形態の普及等に

必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、

観光地における 環境
及び良好な景観の保全を図るため、

観光旅行者による

自然体験活動を通じた
環境の保全に関する知識の普及

及び理解の増進、
屋外広告物に関する制限等に

必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、

観光立国の実現に関する施策の策定
及び実施に資するため、

観光旅行に係る
消費の状況に関する統計、

観光旅行者の
宿泊の状況に関する統計

その他の観光に関する
統計の整備に

必要な施策を講ずるものとする。

第四章 国及び地方公共団体の協力等

1項

国 及び地方公共団体は、

観光立国の実現に関する
施策を講ずるにつき、

相協力するとともに、

行政組織の整備

及び行政運営の
改善に努めるものとする。

1項

国は、
観光立国の実現に関し、

民間の活力が
十分に発揮されるよう

観光立国の実現に関する
団体の整備に

必要な施策を講ずるものとする。