国税徴収法

# 昭和三十四年法律第百四十七号 #

第百五十九条 # 保全差押え

@ 施行日 : 令和六年六月十四日 ( 2024年 6月14日 )
@ 最終更新 : 令和六年法律第五十二号による改正

1項

納税義務があると認められる者が不正に国税を免れ、又は国税の還付を受けたことの嫌疑に基づき、国税通則法第十一章犯則事件の調査 及び処分)の規定による差押え、記録命令付差押え 若しくは領置 又は刑事訴訟法昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による押収、領置 若しくは逮捕を受けた場合において、その処分に係る国税の納付すべき額の確定(申告、更正 又は決定による確定をいい、国税通則法第二条第二号定義)に規定する源泉徴収等による国税についての納税の告知を含む。以下この条において同じ。)後においては当該国税の徴収を確保することができないと認められるときは、税務署長は、当該国税の納付すべき額の確定前に、その確定をすると見込まれる国税の金額のうちその徴収を確保するためあらかじめ滞納処分を執行することを要すると認める金額(以下この条において「保全差押金額」という。)を決定することができる。


この場合においては、徴収職員は、その金額を限度として、その者の財産を直ちに差し押さえることができる。

2項

税務署長は、前項の規定による決定をしようとするときは、あらかじめ、その所属する国税局長の承認を受けなければならない。

3項

税務署長は、第一項の規定により保全差押金額を決定するときは、当該保全差押金額を同項に規定する納税義務があると認められる者に書面で通知しなければならない。

4項

前項の通知をした場合において、その納税義務があると認められる者がその通知に係る保全差押金額に相当する担保として国税通則法第五十条各号担保の種類)に掲げるものを提供してその差押えをしないことを求めたときは、徴収職員は、その差押えをすることができない。

5項

徴収職員は、第一号 又は第二号に該当するときは第一項の規定による差押えを、第三号に該当するときは同号に規定する担保をそれぞれ解除しなければならない。

一 号

第一項の規定による差押えを受けた者が前項に規定する担保を提供して、その差押えの解除を請求したとき。

二 号

第三項の通知をした日から六月を経過した日までに、その差押えに係る国税につき納付すべき額の確定がないとき。

三 号

第三項の通知をした日から六月を経過した日までに、保全差押金額について提供されている担保に係る国税につき納付すべき額の確定がないとき。

6項

徴収職員は、第一項の規定による差押えを受けた者 又は第四項 若しくは前項第一号の担保を提供した者につき、その資力 その他の事情の変化により、その差押え 又は担保の徴取の必要がなくなつたと認められることとなつたときは、その差押え 又は担保を解除することができる。

7項

第一項の規定による差押え 又は第四項 若しくは第五項第一号の担保の提供があつた場合において、その差押え 又は担保の提供に係る国税につき納付すべき額の確定があつたときは、その差押え 又は担保の提供は、その国税を徴収するためにされたものとみなす。

8項

第一項の規定により差し押さえた財産は、その差押えに係る国税につき納付すべき額の確定があつた後でなければ、換価することができない

9項

第一項の場合において、差し押さえるべき財産に不足があると認められるときは、税務署長は、差押えに代えて交付要求をすることができる。


この場合においては、その交付要求であることを明らかにしなければならない。

10項

税務署長は、第一項の規定により差し押さえた金銭(有価証券、債権 又は無体財産権等の差押えにより第三債務者等から給付を受けた金銭を含む。)がある場合において、その差押えに係る国税につき納付すべき額の確定がされていないときは、これを供託しなければならない。

11項

第一項に規定する国税の納付すべき額として確定をした金額が保全差押金額に満たない場合において、その差押えを受けた者がその差押えにより損害を受けたときは、国は、その損害を賠償する責めに任ずる。


この場合において、その額は、その差押えにより通常生ずべき損失の額とする。