国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律

# 平成四年法律第七十九号 #
略称 : PKO協力法  国連平和協力法  PKO法 

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   外事
@ 施行日 : 令和六年七月十二日 ( 2024年 7月12日 )
@ 最終更新 : 令和六年法律第二十四号
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時24分


1項

この法律は、国際連合平和維持活動、国際連携平和安全活動、人道的な国際救援活動 及び国際的な選挙監視活動に対し適切かつ迅速な協力を行うため、国際平和協力業務実施計画 及び国際平和協力業務実施要領の策定手続、国際平和協力隊の設置等について定めることにより、国際平和協力業務の実施体制を整備するとともに、これらの活動に対する物資協力のための措置等を講じ、もって我が国が国際連合を中心とした国際平和のための努力に積極的に寄与することを目的とする。

1項

政府は、この法律に基づく国際平和協力業務の実施、物資協力、これらについての国以外の者の協力等(以下「国際平和協力業務の実施等」という。)を適切に組み合わせるとともに、国際平和協力業務の実施等に携わる者の創意と知見を活用することにより、国際連合平和維持活動、国際連携平和安全活動、人道的な国際救援活動 及び 国際的な選挙監視活動に効果的に協力するものとする。

2項

国際平和協力業務の実施等は、武力による威嚇 又は武力の行使に当たるものであってはならない。

3項

内閣総理大臣は、国際平和協力業務の実施等に当たり、国際平和協力業務実施計画に基づいて、内閣を代表して行政各部を指揮監督する。

4項

関係行政機関の長は、前条の目的を達成するため、国際平和協力業務の実施等に関し、国際平和協力本部長に協力するものとする。

1項

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 号

国際連合平和維持活動

国際連合の総会 又は安全保障理事会が行う決議に基づき、武力紛争の当事者(以下「紛争当事者」という。)間の武力紛争の再発の防止に関する合意の遵守の確保、紛争による混乱に伴う切迫した暴力の脅威からの住民の保護、武力紛争の終了後に行われる民主的な手段による統治組織の設立 及び再建の援助 その他紛争に対処して国際の平和 及び安全を維持することを目的として、国際連合の統括の下に行われる活動であって、国際連合事務総長(以下「事務総長」という。)の要請に基づき参加する二以上の国 及び国際連合によって実施されるもののうち、次に掲げるものをいう。

武力紛争の停止 及びこれを維持するとの紛争当事者間の合意があり、かつ、当該活動が行われる地域の属する国(当該国において国際連合の総会 又は安全保障理事会が行う決議に従って施政を行う機関がある場合にあっては、当該機関。以下同じ。)及び紛争当事者の当該活動が行われることについての同意がある場合に、いずれの紛争当事者にも偏ることなく実施される活動

武力紛争が終了して紛争当事者が当該活動が行われる地域に存在しなくなった場合において、当該活動が行われる地域の属する国の当該活動が行われることについての同意がある場合に実施される活動

武力紛争がいまだ発生していない場合において、当該活動が行われる地域の属する国の当該活動が行われることについての同意がある場合に、武力紛争の発生を未然に防止することを主要な目的として、特定の立場に偏ることなく実施される活動

二 号

国際連携平和安全活動

国際連合の総会、安全保障理事会 若しくは経済社会理事会が行う決議、別表第一に掲げる国際機関が行う要請 又は当該活動が行われる地域の属する国の要請(国際連合憲章第七条1に規定する国際連合の主要機関のいずれかの支持を受けたものに限る)に基づき、紛争当事者間の武力紛争の再発の防止に関する合意の遵守の確保、紛争による混乱に伴う切迫した暴力の脅威からの住民の保護、武力紛争の終了後に行われる民主的な手段による統治組織の設立 及び再建の援助 その他紛争に対処して国際の平和 及び安全を維持することを目的として行われる活動であって、二以上の国の連携により実施されるもののうち、次に掲げるもの(国際連合平和維持活動として実施される活動を除く)をいう。

武力紛争の停止 及びこれを維持するとの紛争当事者間の合意があり、かつ、当該活動が行われる地域の属する国 及び紛争当事者の当該活動が行われることについての同意がある場合に、いずれの紛争当事者にも偏ることなく実施される活動

武力紛争が終了して紛争当事者が当該活動が行われる地域に存在しなくなった場合において、当該活動が行われる地域の属する国の当該活動が行われることについての同意がある場合に実施される活動

武力紛争がいまだ発生していない場合において、当該活動が行われる地域の属する国の当該活動が行われることについての同意がある場合に、武力紛争の発生を未然に防止することを主要な目的として、特定の立場に偏ることなく実施される活動

三 号

人道的な国際救援活動

国際連合の総会、安全保障理事会 若しくは経済社会理事会が行う決議 又は別表第二に掲げる国際機関が行う要請に基づき、国際の平和 及び安全の維持を危うくするおそれのある紛争(以下単に「紛争」という。)によって被害を受け 若しくは受けるおそれがある住民 その他の者(以下「被災民」という。)の救援のために又は紛争によって生じた被害の復旧のために人道的精神に基づいて行われる活動であって、当該活動が行われる地域の属する国の当該活動が行われることについての同意があり、かつ、当該活動が行われる地域の属する国が紛争当事者である場合においては武力紛争の停止 及びこれを維持するとの紛争当事者間の合意がある場合に、国際連合 その他の国際機関 又は国際連合加盟国 その他の国(次号 及び第六号において「国際連合等」という。)によって実施されるもの(国際連合平和維持活動として実施される活動 及び国際連携平和安全活動として実施される活動を除く)をいう。

四 号

国際的な選挙監視活動

国際連合の総会 若しくは安全保障理事会が行う決議 又は別表第三に掲げる国際機関が行う要請に基づき、紛争によって混乱を生じた地域において民主的な手段により統治組織を設立し その他その混乱を解消する過程で行われる選挙 又は投票の公正な執行を確保するために行われる活動であって、当該活動が行われる地域の属する国の当該活動が行われることについての同意があり、かつ、当該活動が行われる地域の属する国が紛争当事者である場合においては武力紛争の停止 及びこれを維持するとの紛争当事者間の合意がある場合に、国際連合等によって実施されるもの(国際連合平和維持活動として実施される活動 及び国際連携平和安全活動として実施される活動を除く)をいう。

五 号

国際平和協力業務

国際連合平和維持活動のために実施される業務で次に掲げるもの、国際連携平和安全活動のために実施される業務で次に掲げるもの、人道的な国際救援活動のために実施される業務で次のワからツまで 及びに掲げるもの並びに国際的な選挙監視活動のために実施される業務で次の 及びに掲げるもの(これらの業務にそれぞれ附帯する業務を含む。以下同じ。)であって、海外で行われるものをいう。

武力紛争の停止の遵守状況の監視 又は紛争当事者間で合意された軍隊の再配置 若しくは撤退 若しくは武装解除の履行の監視

緩衝地帯 その他の武力紛争の発生の防止のために設けられた地域における駐留 及び巡回

車両 その他の運搬手段 又は通行人による武器(武器の部品 及び弾薬を含む。において同じ。)の搬入 又は搬出の有無の検査 又は確認

放棄された武器の収集、保管 又は処分

紛争当事者が行う停戦線 その他これに類する境界線の設定の援助

紛争当事者間の捕虜の交換の援助

防護を必要とする住民、被災民 その他の者の生命、身体 及び財産に対する危害の防止 及び抑止 その他特定の区域の保安のための監視、駐留、巡回、検問 及び警護

議会の議員の選挙、住民投票 その他これらに類する選挙 若しくは投票の公正な執行の監視 又は これらの管理

警察行政事務に関する助言 若しくは指導 又は警察行政事務の監視

矯正行政事務に関する助言 若しくは指導 又は矯正行政事務の監視

及びに掲げるもののほか、立法、行政(に規定する組織に係るものを除く)又は司法に関する事務に関する助言 又は指導

国の防衛に関する組織 その他のイからトまで 又はワからネまでに掲げるものと同種の業務を行う組織の設立 又は再建を援助するための次に掲げる業務

(1)

イからトまで 又はワからネまでに掲げるものと同種の業務に関する助言 又は指導

(2)

(1)に規定する業務の実施に必要な基礎的な知識 及び技能を修得させるための教育訓練

医療(防疫上の措置を含む。

被災民の捜索 若しくは救出 又は帰還の援助

被災民に対する食糧、衣料、医薬品 その他の生活関連物資の配布

被災民を収容するための施設 又は設備の設置

紛争によって被害を受けた施設 又は設備であって被災民の生活上 必要なものの復旧 又は整備のための措置

紛争によって汚染 その他の被害を受けた自然環境の復旧のための措置

イからソまでに掲げるもののほか、輸送、保管(備蓄を含む。)、通信、建設、機械器具の据付け、検査 若しくは修理 又は補給(武器の提供を行う補給を除く

国際連合平和維持活動 又は国際連携平和安全活動を統括し、又は調整する組織において行うイからツまでに掲げる業務の実施に必要な企画 及び立案 並びに調整 又は情報の収集整理

イからネまでに掲げる業務に類するものとして政令で定める業務

ヲからネまでに掲げる業務 又は これらの業務に類するものとしての政令で定める業務を行う場合であって、国際連合平和維持活動、国際連携平和安全活動 若しくは人道的な国際救援活動に従事する者 又は これらの活動を支援する者(以下 この 及び第二十六条第二項において「活動関係者」という。)の生命 又は身体に対する不測の侵害 又は危難が生じ、又は生ずるおそれがある場合に、緊急の要請に対応して行う当該活動関係者の生命 及び身体の保護

六 号

物資協力

次に掲げる活動を行っている国際連合等に対して、その活動に必要な物品を無償 又は時価よりも低い対価で譲渡することをいう。

国際連合平和維持活動
国際連携平和安全活動

人道的な国際救援活動(別表第四に掲げる国際機関によって実施される場合にあっては、第三号に規定する決議 若しくは要請 又は合意が存在しない場合における同号に規定する活動を含むものとする。第三十条第一項 及び第三項において同じ。

国際的な選挙監視活動
七 号

海外

我が国以外の領域(公海を含む。)をいう。

八 号

派遣先国

国際平和協力業務が行われる外国(公海を除く)をいう。

九 号

関係行政機関

次に掲げる機関で政令で定めるものをいう。

内閣府 並びに内閣府設置法平成十一年法律第八十九号第四十九条第一項 及び第二項に規定する機関、デジタル庁 並びに国家行政組織法昭和二十三年法律第百二十号第三条第二項に規定する機関

内閣府設置法第四十条 及び第五十六条 並びに国家行政組織法第八条の三に規定する特別の機関