感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

# 平成十年法律第百十四号 #
略称 : 感染症予防法  感染症法 

第十五条 # 感染症の発生の状況、動向及び原因の調査

@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第九十六号による改正

1項

都道府県知事は、感染症の発生を予防し、又は感染症の発生の状況、動向 及び原因を明らかにするため必要があると認めるときは、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類感染症 若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者 若しくは無症状病原体保有者、新感染症の所見がある者 又は感染症を人に感染させるおそれがある動物 若しくはその死体の所有者 若しくは管理者 その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。

2項

厚生労働大臣は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類感染症 若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者 若しくは無症状病原体保有者、新感染症の所見がある者 又は感染症を人に感染させるおそれがある動物 若しくはその死体の所有者 若しくは管理者 その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。

3項

都道府県知事は、必要があると認めるときは、第一項の規定による必要な調査として当該職員に次の各号に掲げる者に対し当該各号に定める検体 若しくは感染症の病原体を提出し、若しくは当該職員による当該検体の採取に応じるべきことを求めさせ、又は第一号から第三号までに掲げる者の保護者(親権を行う者 又は後見人をいう。以下同じ。)に対し当該各号に定める検体を提出し、若しくは当該各号に掲げる者に当該職員による当該検体の採取に応じさせるべきことを求めさせることができる。

一 号

一類感染症、二類感染症 若しくは新型インフルエンザ等 感染症の患者、疑似症患者 若しくは無症状病原体保有者 又は当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者

当該者の検体

二 号

三類感染症、四類感染症 若しくは五類感染症の患者、疑似症患者 若しくは無症状病原体保有者 又は当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者

当該者の検体

三 号

新感染症の所見がある者 又は新感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者

当該者の検体

四 号

一類感染症、二類感染症 若しくは新型インフルエンザ等 感染症を人に感染させるおそれがある動物 又はその死体の所有者 又は管理者

当該動物 又はその死体の検体

五 号

三類感染症、四類感染症 若しくは五類感染症を人に感染させるおそれがある動物又はその死体の所有者 又は管理者

当該動物 又はその死体の検体

六 号

新感染症を人に感染させるおそれがある動物 又はその死体の所有者 又は管理者

当該動物 又はその死体の検体

七 号

第一号に定める検体 又は当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を所持している者

当該検体 又は当該感染症の病原体

八 号

第二号に定める検体 又は当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を所持している者

当該検体 又は当該感染症の病原体

九 号

第三号に定める検体 又は当該検体から分離された新感染症の病原体を所持している者

当該検体 又は当該感染症の病原体

十 号

第四号に定める検体 又は当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を所持している者

当該検体 又は当該感染症の病原体

十一 号

第五号に定める検体 又は当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を所持している者

当該検体 又は当該感染症の病原体

十二 号

第六号に定める検体 又は当該検体から分離された新感染症の病原体を所持している者

当該検体 又は当該感染症の病原体

4項

都道府県知事は、感染症の患者を迅速に発見することにより、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため、感染症の性質、当該都道府県知事の管轄する区域内における感染症の患者の病状 又は数、感染症が発生している施設 又は業務の種類 並びに当該種類ごとの感染症の発生 及びまん延の状況 並びに感染症を公衆にまん延させるおそれその他の事情を考慮して、前項の規定による求めを行うものとする。

5項

都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、第三項の規定により提出を受けた検体 若しくは感染症の病原体 又は当該職員が採取した検体について検査を実施しなければならない。

6項

第三項の規定は、第二項の規定による必要な調査について準用する。

7項

第一項 又は第二項の規定により質問を受け、又は必要な調査を求められた者(次項に規定する特定患者等を除く)は、当該質問 又は必要な調査に協力するよう努めなければならない。

8項

都道府県知事 又は厚生労働大臣は、一類感染症、二類感染症 若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者 又は新感染症の所見がある者(以下この項において「特定患者等」という。)が第一項 又は第二項の規定による当該職員の質問 又は必要な調査に対して正当な理由がなく協力しない場合において、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、その特定患者等に対し、当該質問 又は必要な調査(第三項第六項において準用される場合、第四十四条の九第一項の規定に基づく政令によって準用される場合(同条第二項の政令により、同条第一項の政令の期間が延長される場合を含む。)及び第五十三条第一項の規定に基づく政令によって適用される場合(同条第二項の政令により、同条第一項の政令の期間が延長される場合を含む。)を含む。)の規定による求めを除く)に応ずべきことを命ずることができる。

9項

前項の命令は、感染症を公衆にまん延させるおそれ、感染症にかかった場合の病状の程度 その他の事情に照らして、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要な最小限度のものでなければならない。

10項

都道府県知事 又は厚生労働大臣は、第八項の命令をする場合には、同時に、当該命令を受ける者に対し、当該命令をする理由 その他の厚生労働省令で定める事項を書面により通知しなければならない。


ただし、当該事項を書面により通知しないで命令をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。

11項

都道府県知事 又は厚生労働大臣は、前項ただし書の場合においては、第八項の命令の後相当の期間内に、当該命令を受けた者に対し、前項の理由 その他の厚生労働省令で定める事項を記載した書面を交付しなければならない。

12項

第一項 及び第二項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

13項

都道府県知事 及び保健所設置市等の長(以下「都道府県知事等」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項の規定により実施された質問 又は必要な調査の結果を、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信の技術を利用する方法であって厚生労働省令で定めるものをいう。次項第四十四条の三の五第四項 及び第五十条の六第四項において同じ。)により厚生労働大臣(保健所設置市等の長にあっては、厚生労働大臣 及び当該保健所設置市等の区域を管轄する都道府県知事)に報告しなければならない。

14項

都道府県知事等は、他の都道府県知事等が管轄する区域における感染症のまん延を防止するため必要があると認められる場合として厚生労働省令で定める場合にあっては、厚生労働省令で定めるところにより、第一項の規定により実施された質問 又は必要な調査の結果を、電磁的方法により当該他の都道府県知事等に通報しなければならない。

15項

厚生労働大臣は、第四十四条の三の五第一項 又は第五十条の六第一項の規定に基づく要請による場合を除き、自ら検査を実施する必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第三項の規定により提出を受けた検体 若しくは感染症の病原体 又は当該職員が採取した検体の一部の提出を求めることができる。

16項

都道府県知事は、第一項の規定による質問 又は必要な調査を実施するため特に必要があると認めるときは、他の都道府県知事 又は厚生労働大臣に対し、感染症の治療の方法の研究、病原体等の検査 その他の感染症に関する試験研究 又は検査を行う機関(以下「感染症試験研究等機関」という。)の職員の派遣 その他の必要な協力を求めることができる。

17項

第十二項の規定は、前項の規定により派遣された職員について準用する。

18項

第十二項の証明書に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。