この法律は、更生保護事業に関する基本事項を定めることにより、更生保護事業の適正な運営を確保し、及び その健全な育成発達を図るとともに、更生保護法(平成十九年法律第八十八号)その他更生保護に関する法律とあいまって、犯罪をした者 及び非行のある少年が善良な社会の一員として改善更生することを助け、もって個人 及び公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
更生保護事業法
第一章 総則
この法律において「更生保護事業」とは、継続保護事業、一時保護事業 及び連絡助成事業をいう。
この法律において「継続保護事業」とは、次に掲げる者であって現に改善更生のための保護を必要としているものを更生保護施設に収容して、 その者に対し、宿泊場所を供与し、教養訓練、医療 又は就職を助け、職業を補導し、社会生活に適応させるために必要な生活指導を行い、生活環境の改善 又は調整を図る等 その改善更生に必要な保護を行う事業をいう。
懲役、禁錮 又は拘留につき、刑の執行を終わり、その執行の免除を得、又は その執行を停止されている者
懲役 又は禁錮につき刑の全部の執行猶予の言渡しを受け、 刑事上の手続による身体の拘束を解かれた者(第一号に該当する者を除く。次号 及び第五号において同じ。)
懲役 又は禁錮につき刑の一部の執行猶予の言渡しを受け、その猶予の期間中の者
罰金 又は科料の言渡しを受け、刑事上の手続による身体の拘束を解かれた者
訴追を必要としないため公訴を提起しない処分を受け、刑事上の手続による身体の拘束を解かれた者
少年院から退院し、又は仮退院を許された者(第一号に該当する者を除く。次号において同じ。)
婦人補導院から退院し、又は仮退院を許された者
国際受刑者移送法(平成十四年法律第六十六号)第十六条第一項第一号 若しくは第二号の共助刑の執行を終わり、若しくは同法第二十五条第二項の規定によりその執行を受けることがなくなり、 又は同法第二十一条の規定により適用される刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第四百八十条 若しくは第四百八十二条の規定によりその執行を停止されている者
この法律において「一時保護事業」とは、前項に規定する者に対し、宿泊場所への帰住、医療 又は就職を助け、金品を給与し、又は貸与し、生活の相談に応ずる等 その改善更生に必要な保護(継続保護事業として行うものを除く。)を行う事業をいう。
この法律において「連絡助成事業」とは、継続保護事業、一時保護事業 その他第二項各号に掲げる者の改善更生を助けることを目的とする事業に関する啓発、連絡、調整 又は助成を行う事業をいう。
この法律において「被保護者」とは、継続保護事業 又は一時保護事業における保護の対象者をいう。
この法律において「更生保護法人」とは、 更生保護事業を営むことを目的として、この法律の定めるところにより設立された法人をいう。
この法律において「更生保護施設」とは、 被保護者の改善更生に必要な保護を行う施設のうち、被保護者を宿泊させることを目的とする建物 及び そのための設備を有するものをいう。
国は、更生保護事業が保護観察、更生緊急保護 その他の国の責任において行う改善更生の措置を円滑かつ効果的に実施する上で重要な機能を果たすものであることにかんがみ、 更生保護事業の適正な運営を確保し、及び その健全な育成発達を図るための措置を講ずるものとする。
地方公共団体は、更生保護事業が犯罪をした者 及び非行のある少年の改善更生を助け、これにより犯罪を防止し、地域社会の安全 及び住民福祉の向上に寄与するものであることにかんがみ、 その地域において行われる更生保護事業に対して必要な協力をすることができる。
更生保護事業を営む者は、その事業を実施するに当たり、被保護者の人権に配慮するとともに、国の行う改善更生の措置 及び社会福祉、医療、保健、労働 その他 関連施策との有機的な連携を図り、 地域に即した創意と工夫を行い、並びに地域住民等の理解と協力を得るよう努めなければならない。