民事執行法

# 昭和五十四年法律第四号 #
略称 : 民執法 

第五十五条 # 売却のための保全処分等

@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第十七号による改正

1項

執行裁判所は、債務者 又は不動産の占有者が価格減少行為(不動産の価格を減少させ、又は減少させるおそれがある行為をいう。以下この項において同じ。)をするときは、差押債権者(配当要求の終期後に強制競売 又は競売の申立てをした差押債権者を除く)の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間、次に掲げる保全処分 又は公示保全処分(執行官に、当該保全処分の内容を、不動産の所在する場所に公示書 その他の標識を掲示する方法により公示させることを内容とする保全処分をいう。以下同じ。)を命ずることができる。


ただし、当該価格減少行為による不動産の価格の減少 又はそのおそれの程度が軽微であるときは、この限りでない。

一 号

当該価格減少行為をする者に対し、当該価格減少行為を禁止し、又は一定の行為をすることを命ずる保全処分(執行裁判所が必要があると認めるときは、公示保全処分を含む。

二 号

次に掲げる事項を内容とする保全処分(執行裁判所が必要があると認めるときは、公示保全処分を含む。

当該価格減少行為をする者に対し、不動産に対する占有を解いて執行官に引き渡すことを命ずること。

執行官に不動産の保管をさせること。

三 号

次に掲げる事項を内容とする保全処分 及び公示保全処分

前号イ 及びに掲げる事項

前号イに規定する者に対し、不動産の占有の移転を禁止することを命じ、及び当該不動産の使用を許すこと。

2項

前項第二号 又は第三号に掲げる保全処分は、次に掲げる場合のいずれかに該当するときでなければ、命ずることができない

一 号

前項の債務者が不動産を占有する場合

二 号

前項の不動産の占有者の占有の権原が差押債権者、仮差押債権者 又は第五十九条第一項の規定により消滅する権利を有する者に対抗することができない場合

3項

執行裁判所は、債務者以外の占有者に対し第一項の規定による決定をする場合において、必要があると認めるときは、その者を審尋しなければならない。

4項

執行裁判所が第一項の規定による決定をするときは、申立人に担保を立てさせることができる。


ただし同項第二号に掲げる保全処分については、申立人に担保を立てさせなければ、同項の規定による決定をしてはならない。

5項

事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、第一項の規定による決定を取り消し、又は変更することができる。

6項

第一項 又は前項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

7項

第五項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。

8項

第一項第二号 又は第三号に掲げる保全処分 又は公示保全処分を命ずる決定は、申立人に告知された日から二週間を経過したときは、執行してはならない。

9項

前項に規定する決定は、相手方に送達される前であつても、執行することができる。

10項

第一項の申立て又は同項第一号除く)の規定による決定の執行に要した費用(不動産の保管のために要した費用を含む。)は、その不動産に対する強制競売の手続においては、共益費用とする。