万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律

# 昭和三十一年法律第八十六号 #

第五条 # 翻訳権に関する特例


1項

万国条約に基いて著作権法による保護を受けている文書の最初の発行の日の属する年の翌年から起算して七年を経過した時までに、翻訳権を有する者 又は その者の許諾を得た者により、日本語で、その文書の翻訳物が発行されず、又は発行されたが絶版になつている場合において、次の各号の一に該当するときは、日本国民は、政令の定めるところにより、文化庁長官の許可を受けて、日本語でその文書の翻訳物を発行することができる。


ただし、その発行前に、政令の定めるところにより、文化庁長官の認可を受けた公正なかつ国際慣行に合致した補償額の全部 又は一部を、翻訳権を有する者に支払い、又は その者のために供託しなければならない。

一 号

翻訳権を有する者に対し翻訳し、かつ、その翻訳物を発行することの許諾を求めたが拒否されたとき。

二 号

相当な努力を払つたが翻訳権を有する者と連絡することができなかつたとき。

2項

前項第二号の場合においては、同項の許可を申請した者は、原著作物に発行者の氏名が掲げられているときはその発行者に対し、及び翻訳権を有する者の国籍が判明しているときはその翻訳権を有する者が国籍を有する国の外交代表 若しくは領事代表 又は その国の政府が指定する機関に対して、申請書の写を送付し、かつ、これを送付した旨を文化庁長官に届け出なければならない。

3項

文化庁長官は、前項の規定による申請書の写の発送の日から二箇月の期間が経過するまでは、第一項許可をすることができない

4項

文化庁長官は、第一項ただし書の認可をするには、文化審議会諮問しなければならない。