人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律

# 平成二十八年法律第七十六号 #
略称 : 宇宙活動法 

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   行政組織
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2024年 04月29日 18時02分


1項

この法律は、宇宙基本法平成二十年法律第四十三号)の基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり、我が国における人工衛星等の打上げ 及び人工衛星の管理に係る許可に関する制度 並びに人工衛星等の落下等により生ずる損害の賠償に関する制度を設けることにより、宇宙の開発 及び利用に関する諸条約を的確かつ円滑に実施するとともに、公共の安全を確保し、あわせて、当該損害の被害者の保護を図り、もって国民生活の向上 及び経済社会の発展に寄与することを目的とする。

1項

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 号

宇宙の開発 及び利用に関する諸条約

月 その他の天体を含む宇宙空間の探査 及び利用における国家活動を律する原則に関する条約(第二十二条第二号において「宇宙空間探査等条約」という。)、宇宙飛行士の救助 及び送還 並びに宇宙空間に打ち上げられた物体の返還に関する協定、宇宙物体により引き起こされる損害についての国際的責任に関する条約 及び宇宙空間に打ち上げられた物体の登録に関する条約をいう。

二 号

人工衛星

地球を回る軌道 若しくはその外に投入し、又は地球以外の天体上に配置して使用する人工の物体をいう。

三 号

人工衛星等

人工衛星 及びその打上げ用ロケットをいう。

四 号

打上げ施設

人工衛星の打上げ用ロケットを発射する機能を有する施設をいう。

五 号

人工衛星等の打上げ

自ら 又は他の者が管理し、及び運営する打上げ施設を用いて、人工衛星の打上げ用ロケットに人工衛星を搭載した上で、これを発射して加速し、一定の速度 及び高度に達した時点で当該人工衛星を分離することをいう。

六 号

人工衛星管理設備

人工衛星に搭載された無線設備(電磁波を利用して、符号を送り、又は受けるための電気的設備 及びこれと電気通信回線で接続した電子計算機をいう。以下 この号 及び第六条第二号において同じ。)から送信された当該人工衛星の位置、姿勢 及び状態を示す信号を直接 若しくは他の無線設備を経由して電磁波を利用して受信する方法により把握し、又は当該人工衛星に向けて信号を直接 若しくは他の無線設備を経由して送信し、反射される信号を直接 若しくは他の無線設備を経由して受信する方法 その他の方法によりその位置を把握するとともに、人工衛星の位置、姿勢 及び状態を制御するための信号を当該人工衛星に搭載された無線設備に直接 又は他の無線設備を経由して電磁波を利用して送信する機能を有する無線設備をいう。

七 号

人工衛星の管理

人工衛星管理設備を用いて、人工衛星の位置、姿勢 及び状態を把握し、これらを制御することをいう。

八 号

ロケット落下等損害

人工衛星の打上げ用ロケットが発射された後の全部 若しくは一部の人工衛星が正常に分離されていない状態における人工衛星等 又は全部の人工衛星が正常に分離された後の人工衛星の打上げ用ロケットの落下、衝突 又は爆発により、地表 若しくは水面 又は飛行中の航空機 その他の飛しょう体において人の生命、身体 又は財産に生じた損害をいう。

九 号

ロケット落下等損害賠償責任保険契約

人工衛星等の打上げを行う者のロケット落下等損害(テロリズムの行為 その他 その発生を保険契約における財産上の給付の条件とした場合に適正な保険料を算出することが困難なものとして内閣府令で定める事由を主たる原因とする人工衛星等の落下、衝突 又は爆発によるロケット落下等損害(第九条第二項 及び第四十条第一項において「特定ロケット落下等損害」という。)を除く)の賠償の責任が発生した場合において、これをその者が賠償することにより生ずる損失を保険者(保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第四項に規定する損害保険会社 又は同条第九項に規定する外国損害保険会社等で、責任保険の引受けを行う者に限る。以下同じ。)が埋めることを約し、保険契約者が保険者に保険料を支払うことを約する契約をいう。

十 号

ロケット落下等損害賠償補償契約

人工衛星等の打上げを行う者のロケット落下等損害の賠償の責任が発生した場合において、ロケット落下等損害賠償責任保険契約 その他のロケット落下等損害を賠償するための措置によっては埋めることができないロケット落下等損害をその者が賠償することにより生ずる損失を政府が補償することを約する契約をいう。

十一 号

人工衛星落下等損害

人工衛星の打上げ用ロケットから正常に分離された人工衛星の落下 又は爆発により、地表 若しくは水面 又は飛行中の航空機 その他の飛しょう体において人の生命、身体 又は財産に生じた損害をいう。

1項

は、この法律の施行に当たっては、宇宙基本法第十六条に規定する民間事業者による宇宙開発利用の促進に関する施策の一環として、我が国の人工衛星等の打上げ 及び人工衛星の管理に関係する産業の技術力 及び国際競争力の強化を図るよう適切な配慮をするものとする。