1項

指定時以前の原因に基いて生じた特別経理会社に対する債権(以下旧債権といふ。)の先取特権、質権 又は抵当権であつて、新勘定に所属する会社財産の上に存するものは、命令により定める場合を除くの外、当該会社財産を新勘定に所属せしめた日に、当該会社財産につき消滅する。

2項

鉄道財団、工場財団、鉱業財団、軌道財団、運河財団、漁業財団 又は自動車交通事業財団に属する会社財団の全部が新勘定に所属せしめられた場合においては、当該財団は、抵当権の消滅により消滅することはないものとする。

3項

鉄道財団、工場財団、鉱業財団、軌道財団、運河財団、漁業財団 又は自動車交通事業財団に属する会社財産の一部を新勘定に所属せしめる場合には当該会社財産は、命令により定める場合を除くの外、当該会社財産を新勘定に所属せしめる日において、当該財団から除かれ、当該財団に属さないことになつたものとする。

4項

特別経理会社の旧勘定 及び新勘定の併合の日から、第一項の先取特権、質権 若しくは抵当権は、その目的であつた会社財産について消滅せず、又は前項の会社財産は、当該財団から除かれなかつたものとみなす。


但し、新勘定に所属せしめられた会社財産が当該会社以外の者の所有に帰した場合 又は同項の会社財産が当該財団以外の財団に属せしめられ、若しくは第三者の権利の目的となつた場合においては、この限りでない。

5項

前項の先取特権、質権 又は抵当権と これらの権利の目的であつた会社財産が新勘定に所属せしめられた後 当該会社財産の上に生じた先取特権、質権 又は抵当権との間の順位に関しては、同項の先取特権、質権 又は抵当権は、旧勘定 及び新勘定の併合の日において、設定せられたものとみなす。

6項

第四項但書の場合において、同項但書の会社財産に対して先取特権、質権 又は抵当権を有した者は、当該特別経理会社の総財産について、他の債権者に先立つて当該旧債権(企業再建整備法第十九条第一項の規定の適用を受ける場合においては、同項の規定によつて確定する額の債権)の弁済を受ける権利を有する。

7項

前項の規定は、民法の一般の先取特権の行使を妨げない。