性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律

# 令和四年法律第七十八号 #
略称 : AV出演被害防止・救済法 

第三節 無効、取消し及び解除等に関する特則

分類 法律
カテゴリ   労働
最終編集日 : 2024年 04月17日 21時01分


1項

性行為映像制作物を特定しないで、出演者契約の相手方その他の者が指定する性行為映像制作物への出演をする義務を課す契約の条項は、無効とする。

2項

次に掲げる出演契約の条項は、無効とする。

一 号

出演者の債務不履行について損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項

二 号

制作公表者の債務不履行により出演者に生じた損害を賠償する責任の全部 若しくは一部を免除し、又は制作公表者にその責任の有無 若しくは限度を決定する権限を付与する条項

三 号

制作公表者の債務の履行に際してされたその制作公表者の不法行為により出演者に生じた損害を賠償する責任の全部 若しくは一部を免除し、又は制作公表者にその責任の有無 若しくは限度を決定する権限を付与する条項

四 号

出演者の権利を制限し 又はその義務を加重する条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して出演者の利益を一方的に害するものと認められるもの

1項

制作公表者第五条第一項 又は第六条の規定に違反したときは、出演者は、その出演者の性行為映像制作物への出演に係る出演契約の申込み 又はその承諾の意思表示を取り消すことができる。


制作公表従事者第五条第三項の規定に違反したときも、同様とする。

1項

次に掲げるときは、出演者は、民法第五百四十一条の催告をすることなく、直ちにその出演者の性行為映像制作物への出演に係る出演契約の解除をすることができる。

一 号

第七条第一項 又は第三項の規定に違反して、その出演者の性行為映像制作物への出演に係る撮影(同条第四項の規定により出演者の性行為映像制作物への出演に係る撮影とみなされる撮影を含む。)が行われたとき。

二 号

第八条の規定に違反して、その出演者に対し、撮影された映像のうち当該出演者の性行為映像制作物への出演に係る映像であって公表を行うものを確認する機会を与えることなく、性行為映像制作物の公表が行われたとき。

三 号

第九条の規定に違反して、同条の期間を経過する前に性行為映像制作物の公表が行われたとき。

2項

前項解除があった場合においては、制作公表者は、当該解除に伴う損害賠償を請求することができない。

1項

出演者は、任意に、書面 又は電磁的記録により、その出演者の性行為映像制作物への出演に係る出演契約の申込みの撤回 又は当該出演契約の解除(以下この条において「出演契約の任意解除等」という。)をすることができる。


ただし、当該出演者に係る性行為映像制作物の公表が行われた日から一年を経過したとき(出演者が、制作公表者 若しくは制作公表従事者第五項の規定に違反して出演契約の任意解除等に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことによりその告げられた内容が事実であるとの誤認をし、又は制作公表者 若しくは制作公表従事者第六項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによって当該期間を経過するまでにその出演契約の任意解除等をしなかった場合には、当該出演者が、当該制作公表者 又は制作公表従事者が内閣府令で定めるところによりその出演契約の任意解除等をすることができる旨を記載して交付した書面を受領した日から一年を経過したとき)は、この限りでない。

2項
出演契約の任意解除等は、出演契約の任意解除等に係る書面 又は電磁的記録による通知を発した時に、その効力を生ずる。
3項

出演契約の任意解除等があった場合においては、制作公表者は、当該出演契約の任意解除等に伴う損害賠償を請求することができない。

4項

前三項の規定に反する特約で出演者に不利なものは、無効とする。

5項

制作公表者 及び制作公表従事者は、出演契約の任意解除等を妨げるため、出演者に対し、出演契約の任意解除等に関する事項(第一項から第三項までの規定に関する事項を含む。)その他その出演契約に関する事項であって出演者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、不実のことを告げる行為をしてはならない。

6項

制作公表者 及び制作公表従事者は、出演契約の任意解除等を妨げるため、出演者を威迫して困惑させてはならない

1項

出演契約が解除されたときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。