所得税法

# 昭和四十年法律第三十三号 #

第三章 税額の計算

分類 法律
カテゴリ   国税
@ 施行日 : 令和四年十月一日 ( 2022年 10月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第七十一号による改正
最終編集日 : 2024年 07月14日 11時48分


第一節 税率

1項

居住者に対して課する所得税の額は、その年分の課税総所得金額 又は課税退職所得金額をそれぞれ次の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計した金額と、その年分の課税山林所得金額の五分の一に相当する金額を同表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計した金額にを乗じて計算した金額との合計額とする。

百九十五万円以下の金額
百分の五
百九十五万円を超え三百三十万円以下の金額
百分の十
三百三十万円を超え六百九十五万円以下の金額
百分の二十
六百九十五万円を超え九百万円以下の金額
百分の二十三
九百万円を超え千八百万円以下の金額
百分の三十三
千八百万円を超え四千万円以下の金額
百分の四十
四千万円を超える金額
百分の四十五
2項

課税総所得金額、課税退職所得金額 又は課税山林所得金額は、それぞれ、総所得金額、退職所得金額 又は山林所得金額から 前章第四節所得控除)の規定による控除をした残額とする。

1項

居住者のその年分の変動所得の金額 及び臨時所得の金額の合計額(その年分の変動所得の金額が前年分 及び前前年分の変動所得の金額の合計額の二分の一に相当する金額以下である場合には、その年分の臨時所得の金額)がその年分の総所得金額の百分の二十以上である場合には、その者のその年分の課税総所得金額に係る所得税の額は、次に掲げる金額の合計額とする。

一 号

その年分の課税総所得金額に相当する金額から平均課税対象金額の五分の四に相当する金額を控除した金額(当該課税総所得金額が平均課税対象金額以下である場合には、当該課税総所得金額の五分の一に相当する金額。以下この条において「調整所得金額」という。)をその年分の課税総所得金額とみなして前条第一項の規定を適用して計算した税額

二 号

その年分の課税総所得金額に相当する金額から 調整所得金額を控除した金額に前号に掲げる金額の調整所得金額に対する割合を乗じて計算した金額

2項

前項第二号に規定する割合は、小数点以下二位まで算出し、三位以下を切り捨てたところによるものとする。

3項

第一項に規定する平均課税対象金額とは、変動所得の金額(前年分 又は前前年分の変動所得の金額がある場合には、その年分の変動所得の金額が前年分 及び前前年分の変動所得の金額の合計額の二分の一に相当する金額を超える場合のその超える部分の金額)と臨時所得の金額との合計額をいう。

4項

第一項の規定は、確定申告書、修正申告書 又は更正請求書に同項の規定の適用を受ける旨の記載があり、かつ、同項各号に掲げる金額の合計額の計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。

第二節 税額控除

1項

居住者が剰余金の配当(第二十四条第一項配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。以下この条において同じ。)、利益の配当(同項に規定する利益の配当をいう。以下この条において同じ。)、剰余金の分配(同項に規定する剰余金の分配をいう。以下この条において同じ。)、金銭の分配(同項に規定する金銭の分配をいう。以下この条において同じ。)又は証券投資信託の収益の分配(第九条第一項第十一号元本の払戻しに係る収益の分配の非課税)に掲げるものを含まない。以下この条において同じ。)に係る配当所得(外国法人から受けるこれらの金額に係るもの(外国法人の国内にある営業所、事務所 その他 これらに準ずるものに信託された証券投資信託の収益の分配に係るものを除く)を除く。以下この条において同じ。)を有する場合には、その居住者のその年分の所得税額(前節税率)の規定による所得税の額をいう。以下この条において同じ。)から、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を控除する。

一 号

その年分の課税総所得金額が千万円以下である場合

次に掲げる配当所得の区分に応じそれぞれ次に定める金額の合計額

剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配 及び金銭の分配(以下 この項において「剰余金の配当等」という。)に係る配当所得

当該配当所得の金額に百分の十を乗じて計算した金額

証券投資信託の収益の分配に係る配当所得

当該配当所得の金額に百分の五を乗じて計算した金額

二 号

その年分の課税総所得金額が千万円を超え、かつ、当該課税総所得金額から証券投資信託の収益の分配に係る配当所得の金額を控除した金額が千万円以下である場合

次に掲げる配当所得の区分に応じそれぞれ次に定める金額の合計額

剰余金の配当等に係る配当所得

当該配当所得の金額に百分の十を乗じて計算した金額

証券投資信託の収益の分配に係る配当所得

当該配当所得の金額のうち、当該課税総所得金額から千万円を控除した金額に相当する金額については百分の二・五を、 その他の金額については百分の五をそれぞれ乗じて計算した金額の合計額

三 号

前二号に掲げる場合以外の場合

次に掲げる配当所得の区分に応じそれぞれ次に定める金額の合計額

剰余金の配当等に係る配当所得

当該配当所得の金額のうち、当該課税総所得金額から千万円に掲げる配当所得の金額との合計額を控除した金額に達するまでの金額については百分の五を、 その他の金額については百分の十をそれぞれ乗じて計算した金額の合計額

証券投資信託の収益の分配に係る配当所得

当該配当所得の金額に百分の二・五を乗じて計算した金額

2項

前項の規定による控除をすべき金額は、課税総所得金額に係る所得税額、課税山林所得金額に係る所得税額 又は課税退職所得金額に係る所得税額から 順次控除する。


この場合において、当該控除をすべき金額がその年分の所得税額をこえるときは、当該控除をすべき金額は、当該所得税額に相当する金額とする。

3項

第一項の規定による控除は、配当控除という。

1項

居住者が各年において第百七十六条第三項信託財産に係る利子等の課税の特例)に規定する集団投資信託の収益の分配の支払を受ける場合には、当該収益の分配に係る分配時調整外国税(同項に規定する外国の法令により課される所得税に相当する税で政令で定めるものをいう。)の額で同項 又は第百八十条の二第三項信託財産に係る利子等の課税の特例)の規定により当該収益の分配に係る所得税の額から控除された金額のうち当該居住者が支払を受ける収益の分配に対応する部分の金額として政令で定める金額に相当する金額(次項において「分配時調整外国税相当額」という。)は、その年分の所得税の額から控除する。

2項

前項の規定は、確定申告書、修正申告書 又は更正請求書に同項の規定による控除の対象となる分配時調整外国税相当額、控除を受ける金額 及び当該金額の計算に関する明細を記載した書類 その他財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。


この場合において、同項の規定により控除される金額は、当該明細を記載した書類に当該分配時調整外国税相当額として記載された金額を限度とする。

3項

前条第二項の規定は、第一項の規定により控除する金額について準用する。

4項

前二項に定めるもののほか第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

5項

第一項の規定による控除は、分配時調整外国税相当額控除という。

1項

居住者が各年において外国所得税(外国の法令により課される所得税に相当する税で政令で定めるものをいう。以下 この項 及び第九項において同じ。)を納付することとなる場合には、第八十九条から 第九十三条まで税率等)の規定により計算したその年分の所得税の額のうち、その年において生じた国外所得金額(国外源泉所得に係る所得のみについて所得税を課するものとした場合に課税標準となるべき金額に相当するものとして政令で定める金額をいう。)に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額(以下この条において「控除限度額」という。)を限度として、その外国所得税の額(居住者の通常行われる取引と認められないものとして政令で定める取引に基因して生じた所得に対して課される外国所得税の額、居住者の所得税に関する法令の規定により所得税が課されないこととなる金額を課税標準として外国所得税に関する法令により課されるものとして政令で定める外国所得税の額 その他政令で定める外国所得税の額を除く。以下この条において「控除対象外国所得税の額」という。)をその年分の所得税の額から控除する。

2項

居住者が各年において納付することとなる控除対象外国所得税の額がその年の控除限度額と地方税控除限度額として政令で定める金額との合計額を超える場合において、その年の前年以前三年内の各年(以下この条において「前三年以内の各年」という。)の控除限度額のうちその年に繰り越される部分として政令で定める金額(以下この条において「繰越控除限度額」という。)があるときは、政令で定めるところにより、その繰越控除限度額を限度として、その超える部分の金額をその年分の所得税の額から控除する。

3項

居住者が各年において納付することとなる控除対象外国所得税の額がその年の控除限度額に満たない場合において、その前三年以内の各年において納付することとなつた控除対象外国所得税の額のうちその年に繰り越される部分として政令で定める金額(以下この条において「繰越控除対象外国所得税額」という。)があるときは、政令で定めるところにより、当該控除限度額から その年において納付することとなる控除対象外国所得税の額を控除した残額を限度として、その繰越控除対象外国所得税額をその年分の所得税の額から 控除する。

4項

第一項に規定する国外源泉所得とは、次に掲げるものをいう。

一 号

居住者が国外事業所等(国外にある恒久的施設に相当するものその他の政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)を通じて事業を行う場合において、当該国外事業所等が当該居住者から独立して事業を行う事業者であるとしたならば、当該国外事業所等が果たす機能、当該国外事業所等において使用する資産、当該国外事業所等と当該居住者の事業場等(当該居住者の事業に係る事業場 その他これに準ずるものとして政令で定めるものであつて当該国外事業所等以外のものをいう。以下この条において同じ。)との間の内部取引 その他の状況を勘案して、当該国外事業所等に帰せられるべき所得(当該国外事業所等の譲渡により生ずる所得を含み、第十五号に該当するものを除く

二 号
国外にある資産の運用 又は保有により生ずる所得
三 号

国外にある資産の譲渡により生ずる所得として政令で定めるもの

四 号

国外において人的役務の提供を主たる内容とする事業で政令で定めるものを行う者が受ける当該人的役務の提供に係る対価

五 号

国外にある不動産、国外にある不動産の上に存する権利 若しくは国外における採石権の貸付け(地上権 又は採石権の設定 その他 他人に不動産、不動産の上に存する権利 又は採石権を使用させる一切の行為を含む。)、国外における租鉱権の設定 又は非居住者 若しくは外国法人に対する船舶 若しくは航空機の貸付けによる対価

六 号

第二十三条第一項利子所得)に規定する利子等 及びこれに相当するもののうち次に掲げるもの

外国の国債 若しくは地方債 又は外国法人の発行する債券の利子

国外にある営業所、事務所 その他 これらに準ずるもの(以下 この項において「営業所」という。)に預け入れられた預金 又は貯金(第二条第一項第十号定義)に規定する政令で定めるものに相当するものを含む。)の利子

国外にある営業所に信託された合同運用信託 若しくはこれに相当する信託、公社債投資信託 又は公募公社債等運用投資信託 若しくはこれに相当する信託の収益の分配

七 号

第二十四条第一項配当所得)に規定する配当等 及びこれに相当するもののうち次に掲げるもの

外国法人から受ける第二十四条第一項に規定する剰余金の配当、利益の配当 若しくは剰余金の分配 又は同項に規定する金銭の分配 若しくは基金利息に相当するもの

国外にある営業所に信託された投資信託(公社債投資信託 並びに公募公社債等運用投資信託 及びこれに相当する信託を除く) 又は特定受益証券発行信託若しくはこれに相当する信託の収益の分配

八 号

国外において業務を行う者に対する貸付金(これに準ずるものを含む。)で当該業務に係るものの利子債券の買戻 又は売戻条件付売買取引として政令で定めるものから生ずる差益として政令で定めるものを含む。

九 号

国外において業務を行う者から受ける次に掲げる使用料 又は対価で当該業務に係るもの

工業所有権 その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式 若しくはこれらに準ずるものの使用料 又は その譲渡による対価

著作権(出版権 及び著作隣接権 その他これに準ずるものを含む。)の使用料 又は その譲渡による対価

機械、装置 その他政令で定める用具の使用料
十 号
次に掲げる給与、報酬 又は年金

俸給、給料、賃金、歳費、賞与 又は これらの性質を有する給与 その他人的役務の提供に対する報酬のうち、国外において行う勤務 その他の人的役務の提供(内国法人の役員として国外において行う勤務 その他の政令で定める人的役務の提供を除く)に基因するもの

外国の法令に基づく保険 又は共済に関する制度で第三十一条第一号 及び第二号退職手当等とみなす一時金)に規定する法律の規定による社会保険又は共済に関する制度に類するものに基づいて支給される年金(これに類する給付を含む。

第三十条第一項退職所得)に規定する退職手当等のうちその支払を受ける者が非居住者であつた期間に行つた勤務 その他の人的役務の提供(内国法人の役員として非居住者であつた期間に行つた勤務 その他の政令で定める人的役務の提供を除く)に基因するもの

十一 号

国外において行う事業の広告宣伝のための賞金として政令で定めるもの

十二 号

国外にある営業所 又は国外において契約の締結の代理をする者を通じて締結した保険業法第二条第六項(定義)に規定する外国保険業者の締結する保険契約その他の年金に係る契約で政令で定めるものに基づいて受ける年金(年金の支払の開始の日以後に当該年金に係る契約に基づき分配を受ける剰余金 又は割戻しを受ける割戻金 及び当該契約に基づき年金に代えて支給される一時金を含む。

十三 号
次に掲げる給付補塡金、利息、利益 又は差益

第百七十四条第三号内国法人に係る所得税の課税標準)に掲げる給付補塡金のうち国外にある営業所が受け入れた定期積金に係るもの

第百七十四条第四号に掲げる給付補塡金に相当するもののうち国外にある営業所が受け入れた同号に規定する掛金に相当するものに係るもの

第百七十四条第五号に掲げる利息に相当するもののうち国外にある営業所を通じて締結された同号に規定する契約に相当するものに係るもの

第百七十四条第六号に掲げる利益のうち国外にある営業所を通じて締結された同号に規定する契約に係るもの

第百七十四条第七号に掲げる差益のうち国外にある営業所が受け入れた預金 又は貯金に係るもの

第百七十四条第八号に掲げる差益に相当するもののうち国外にある営業所又は国外において契約の締結の代理をする者を通じて締結された同号に規定する契約に相当するものに係るもの

十四 号

国外において事業を行う者に対する出資につき、匿名組合契約(これに準ずる契約として政令で定めるものを含む。)に基づいて受ける利益の分配

十五 号

国内 及び国外にわたつて船舶 又は航空機による運送の事業を行うことにより生ずる所得のうち国外において行う業務につき生ずべき所得として政令で定めるもの

十六 号

第二条第一項第八号の四ただし書に規定する条約(以下 この号 及び第六項から 第八項までにおいて「租税条約」という。)の規定により当該租税条約の我が国以外の締約国 又は締約者(第七項 及び第八項において「相手国等」という。)において租税を課することができることとされる所得のうち政令で定めるもの

十七 号

前各号に掲げるもののほか その源泉が国外にある所得として政令で定めるもの

5項

前項第一号に規定する内部取引とは、居住者の国外事業所等と事業場等との間で行われた資産の移転、役務の提供 その他の事実で、独立の事業者の間で同様の事実があつたとしたならば、これらの事業者の間で、資産の販売、資産の購入、役務の提供 その他の取引(資金の借入れに係る債務の保証、保険契約に係る保険責任についての再保険の引受け その他 これらに類する取引として政令で定めるものを除く)が行われたと認められるものをいう。

6項

租税条約において国外源泉所得(第一項に規定する国外源泉所得をいう。以下 この項において同じ。)につき前二項の規定と異なる定めがある場合には、その租税条約の適用を受ける居住者については、これらの規定にかかわらず、国外源泉所得は、その異なる定めがある限りにおいて、その租税条約に定めるところによる。

7項

居住者の第四項第一号に掲げる所得を算定する場合において、当該居住者の国外事業所等が、租税条約(当該居住者の同号に掲げる所得に対して租税を課することができる旨の定めのあるものに限るものとし、同号に規定する内部取引から 所得が生ずる旨の定めのあるものを除く)の相手国等に所在するときは、同号に規定する内部取引には、当該居住者の国外事業所等と事業場等との間の利子(これに準ずるものとして政令で定めるものを含む。)の支払に相当する事実 その他政令で定める事実は、含まれないものとする。

8項

居住者の国外事業所等が、租税条約(居住者の国外事業所等が事業場等のために棚卸資産を購入する業務 及びそれ以外の業務を行う場合に、その棚卸資産を購入する業務から生ずる所得が、その国外事業所等に帰せられるべき所得に含まれないとする定めのあるものに限る)の相手国等に所在し、かつ、当該居住者の国外事業所等が事業場等のために棚卸資産を購入する業務 及びそれ以外の業務を行う場合には、当該国外事業所等のその棚卸資産を購入する業務から生ずる第四項第一号に掲げる所得は、ないものとする。

9項

居住者が納付することとなつた外国所得税の額につき第一項から 第三項までの規定の適用を受けた年の翌年以後七年内の各年において当該外国所得税の額が減額された場合におけるその減額されることとなつた日の属する年のこれらの規定の適用については、政令で定めるところによる。

10項

第一項の規定は、確定申告書、修正申告書 又は更正請求書(次項において「申告書等」という。)に第一項の規定による控除を受けるべき金額 及び その計算に関する明細を記載した書類、控除対象外国所得税の額を課されたことを証する書類 その他財務省令で定める書類(以下 この項において「明細書」という。)の添付がある場合に限り、適用する。


この場合において、第一項の規定による控除をされるべき金額の計算の基礎となる控除対象外国所得税の額 その他の財務省令で定める金額は、税務署長において特別の事情があると認める場合を除くほか、当該明細書に当該金額として記載された金額を限度とする。

11項

第二項 及び第三項の規定は、繰越控除限度額 又は繰越控除対象外国所得税額に係る年のうち最も古い年以後の各年分の申告書等に当該各年の控除限度額 及び当該各年において納付することとなつた控除対象外国所得税の額を記載した書類の添付があり、かつ、これらの規定の適用を受けようとする年分の申告書等にこれらの規定による控除を受けるべき金額 及び繰越控除限度額 又は繰越控除対象外国所得税額の計算の基礎となるべき事項を記載した書類 その他財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。


この場合において、これらの規定による控除をされるべき金額の計算の基礎となる当該各年の控除限度額 及び当該各年において納付することとなつた控除対象外国所得税の額 その他の財務省令で定める金額は、税務署長において特別の事情があると認める場合を除くほか、当該各年分の申告書等にこの項前段の規定により添付された書類に当該計算の基礎となる金額として記載された金額を限度とする。

12項

第一項から 第三項までの規定の適用を受ける居住者は、当該居住者が他の者との間で行つた取引のうち、当該居住者のその年の第一項に規定する国外所得金額の計算上、当該取引から生ずる所得が当該居住者の国外事業所等に帰せられるものについては、財務省令で定めるところにより、当該国外事業所等に帰せられる取引に係る明細を記載した書類 その他の財務省令で定める書類を作成しなければならない。

13項

第一項から 第三項までの規定の適用を受ける居住者は、当該居住者の事業場等と国外事業所等との間の資産の移転、役務の提供 その他の事実が第四項第一号に規定する内部取引に該当するときは、財務省令で定めるところにより、当該事実に係る明細を記載した書類 その他の財務省令で定める書類を作成しなければならない。

14項

第九十二条第二項前段(配当控除)の規定は、第一項から 第三項までの規定による控除をすべき金額について準用する。

15項

第九項から 前項までに定めるもののほか第一項から 第八項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

16項

第一項から 第三項までの規定による控除は、外国税額控除という。

1項

国外転出(第六十条の二第一項国外転出をする場合の譲渡所得等の特例)に規定する国外転出をいう。以下 この項 及び次項において同じ。)の日の属する年分の所得税につき同条第一項から 第三項までの規定の適用を受けた個人で第百三十七条の二第一項国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予)(同条第二項の規定により適用する場合を含む。)の規定による納税の猶予を受けているもの(その相続人を含む。)が、その納税の猶予に係る同条第一項に規定する満了基準日までに、当該国外転出の時から引き続き有している有価証券等(第六十条の二第一項に規定する有価証券等をいう。以下 この項 及び次項において同じ。)又は決済していない未決済信用取引等(第六十条の二第二項に規定する未決済信用取引等をいう。以下 この項 及び次項において同じ。)若しくは未決済デリバティブ取引(第六十条の二第三項に規定する未決済デリバティブ取引をいう。以下 この項 及び次項において同じ。)に係る契約の譲渡(第六十条の二第四項に規定する譲渡をいう。以下 この項 及び次項において同じ。)若しくは決済 又は限定相続等(第六十条の二第八項に規定する限定相続等をいう。以下 この項 及び次項において同じ。)による移転をした場合において、当該譲渡 若しくは決済 又は限定相続等による移転により生ずる所得に係る外国所得税(前条第一項に規定する外国所得税をいい、個人が住所を有し、一定の期間を超えて居所を有し、又は国籍 その他これに類するものを有することにより当該住所、居所 又は国籍 その他これに類するものを有する国 又は地域において課されるものに限る。以下 この項において同じ。)を納付することとなるとき(当該外国所得税に関する法令において、当該外国所得税の額の計算に当たつて第六十条の二の規定の適用を受けたことを考慮しないものとされている場合に限る)は、当該外国所得税の額のうち当該有価証券等 又は未決済信用取引等 若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の譲渡 若しくは決済 又は限定相続等による移転により生ずる所得に対応する部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額は、その者が当該国外転出の日の属する年において納付することとなるものとみなして、前条の規定を適用する。

2項

前項の規定は、国外転出の日の属する年分の所得税につき第六十条の二第一項から 第三項までの規定の適用を受けるべき個人でその国外転出の時までに国税通則法第百十七条第二項納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしているものが、同日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに、同日から引き続き有している有価証券等 又は決済していない未決済信用取引等 若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の譲渡 若しくは決済 又は限定相続等による移転をした場合について準用する。

3項

第一項前項において準用する場合を含む。以下 この項において同じ。)の規定の適用がある場合における前条第一項に規定する控除限度額の計算の特例 その他第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。