暗号資産交換業者が法第六十三条の十一第一項の規定に基づき暗号資産交換業の利用者の金銭を信託するときは、信託会社等への金銭信託(以下「利用者区分管理信託」という。)であって、当該利用者区分管理信託に係る契約が次に掲げる要件の全てを満たすものでなければならない。
暗号資産交換業者を委託者とし、信託会社等を受託者とし、かつ、当該暗号資産交換業者の行う暗号資産交換業に係る取引に係る利用者を元本の受益者とすること。
受益者代理人を選任し、当該受益者代理人のうち少なくとも一の者は、弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人、公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士を含む。以下同じ。)、監査法人、税理士、税理士法人 又は金融庁長官の指定する者(以下 この項において「弁護士等」という。)をもって充てられるものであること。
複数の利用者区分管理信託を行う場合には、当該複数の利用者区分管理信託について同一の受益者代理人を選任するものであること。
暗号資産交換業者が次に掲げる要件に該当することとなった場合には、弁護士等である受益者代理人のみがその権限を行使するものであること(当該受益者代理人が、他の受益者代理人が権限を行使することを認める場合を除く。)。
法第六十三条の十七第一項 又は第二項の規定により法第六十三条の二の登録を取り消されたとき。
破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始 又は特別清算開始の申立てを行ったとき(外国暗号資産交換業者にあっては、国内において破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始 若しくは特別清算開始の申立てを行ったとき、又は本店の所在する国において当該国の法令に基づき同種類の申立てを行ったとき。)。
暗号資産交換業の全部の廃止(外国暗号資産交換業者にあっては、国内に設けた全ての営業所における暗号資産交換業の廃止。以下ハにおいて同じ。)若しくは解散(外国暗号資産交換業者にあっては、国内に設けた営業所の清算の開始。以下ハにおいて同じ。)をしたとき、又は法第六十三条の二十第三項の規定による暗号資産交換業の全部の廃止 若しくは解散の公告をしたとき。
利用者区分管理信託が信託業務を営む金融機関への金銭信託で元本の補塡の契約があるものである場合を除き、信託財産に属する金銭の運用が金融商品取引業等に関する内閣府令(平成十九年内閣府令第五十二号) 第百四十一条の二第一項第五号に規定する方法に準ずる方法に限られるものであること。
信託財産の元本の評価額が利用者区分管理必要額(個別利用者区分管理金額(暗号資産交換業者の行う暗号資産交換業に関し管理する利用者の金銭を当該利用者ごとに算定した額をいう。第十四号 及び次項において同じ。)の合計額をいう。以下この条において同じ。)に満たない場合には、満たないこととなった日の翌日から起算して二営業日以内に、暗号資産交換業者によりその不足額に相当する金銭が信託財産に追加されるものであること。
暗号資産交換業者が信託財産の元本の評価額をその時価により算定するものであること(利用者区分管理信託が信託業務を営む金融機関への金銭信託で元本の補塡の契約があるものである場合を除く。)。
利用者区分管理信託が信託業務を営む 金融機関への金銭信託で元本の補塡の契約があるものである場合には、その信託財産の元本の評価額を当該金銭信託の元本額とするものであること。
次に掲げる場合以外の場合には、利用者区分管理信託に係る契約の全部 又は一部の解約を行うことができないものであること。
信託財産の元本の評価額が利用者区分管理必要額を超過する場合において、その超過額の範囲内で利用者区分管理信託に係る契約の全部 又は一部の解約を行うとき。
他の利用者区分管理信託に係る信託財産として信託することを目的として利用者区分管理信託に係る契約の全部 又は一部の解約を行う場合
前号イ 又はロに掲げる場合に行う利用者区分管理信託に係る契約の全部 又は一部の解約に係る信託財産を委託者に帰属させるものであること。
暗号資産交換業者が第四号イからニまでのいずれかに 該当することとなった場合には、弁護士等である受益者代理人が特に必要と認める場合を除き、当該暗号資産交換業者が受託者に対して信託財産の運用の指図を行うことができないものであること。
弁護士等である受益者代理人が必要と判断した場合には、利用者の受益権が当該受益者代理人により全ての利用者について一括して行使されるものであること。
利用者の受益権が弁護士等である受益者代理人により一括して行使された場合には、当該受益権に係る信託契約を終了することができるものであること。
利用者が受益権を行使する場合にそれぞれの利用者に支払われる金額が、当該受益権の行使の日における元本換価額(利用者区分管理信託に係る信託財産の元本を換価して得られる額(利用者区分管理信託が信託業務を営む金融機関への金銭信託で元本の補塡の契約があるものである場合には、元本額)をいう。次号において同じ。)に、当該日における利用者区分管理必要額に対する当該利用者に係る個別利用者区分管理金額の割合を乗じて得た額(当該額が当該個別利用者区分管理金額を超える場合には、当該個別利用者区分管理金額)と されていること。
利用者が受益権を行使する日における元本換価額が利用者区分管理必要額を超過する場合には、当該超過額は委託者に帰属するものであること。