この法律は、近年、我が国において過労死等が多発し大きな社会問題となっていること 及び過労死等が、本人はもとより、その遺族 又は家族のみならず社会にとっても大きな損失であることに鑑み、過労死等に関する調査研究等について定めることにより、過労死等の防止のための対策を推進し、もって過労死等がなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に寄与することを目的とする。
この法律において「過労死等」とは、業務における過重な負荷による脳血管疾患 若しくは心臓疾患を原因とする死亡 若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡 又はこれらの脳血管疾患 若しくは心臓疾患 若しくは精神障害をいう。
過労死等の防止のための対策は、過労死等に関する実態が必ずしも十分に把握されていない現状を踏まえ、過労死等に関する調査研究を行うことにより過労死等に関する実態を明らかにし、その成果を過労死等の効果的な防止のための取組に生かすことができるようにするとともに、過労死等を防止することの重要性について国民の自覚を促し、これに対する国民の関心と理解を深めること等により、行われなければならない。
過労死等の防止のための対策は、国、地方公共団体、事業主 その他の関係する者の相互の密接な連携の下に行われなければならない。
国は、前条の基本理念にのっとり、過労死等の防止のための対策を効果的に推進する責務を有する。
地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、国と協力しつつ、過労死等の防止のための対策を効果的に推進するよう努めなければならない。
事業主は、国 及び地方公共団体が実施する過労死等の防止のための対策に協力するよう努めるものとする。
国民は、過労死等を防止することの重要性を自覚し、これに対する関心と理解を深めるよう 努めるものとする。
国民の間に広く過労死等を防止することの重要性について自覚を促し、これに対する関心と理解を深めるため、過労死等防止啓発月間を設ける。
過労死等防止啓発月間は、十一月とする。
国 及び地方公共団体は、過労死等防止啓発月間の趣旨にふさわしい事業が実施されるよう努めなければならない。
政府は、毎年、国会に、我が国における過労死等の概要 及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況に関する報告書を提出しなければならない。