配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律

# 平成十三年法律第三十一号 #
略称 : 配偶者暴力防止法  DV防止法 

第十条 # 接近禁止命令等

@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第三十号による改正

1項

被害者配偶者からの身体に対する暴力 又は生命、身体、自由、名誉 若しくは財産に対し害を加える旨を告知してする脅迫(以下この章において「身体に対する暴力等」という。)を受けた者に限る。以下この条 並びに第十二条第一項第三号 及び第四号において同じ。)が、配偶者配偶者からの身体に対する暴力等を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者。以下この条 及び第十二条第一項第二号から第四号までにおいて同じ。)からの更なる身体に対する暴力等により、その生命 又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいときは、裁判所は、被害者の申立てにより、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日から起算して一年間、被害者の住居(当該配偶者と共に生活の本拠としている住居を除く。以下この項において同じ。)その他の場所において被害者の身辺につきまとい、又は被害者の住居、勤務先 その他その通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないことを命ずるものとする。

2項

前項の場合において、同項の規定による命令(以下「接近禁止命令」という。)を発する裁判所 又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、接近禁止命令の効力が生じた日から起算して一年を経過する日までの間、被害者に対して次に掲げる行為をしてはならないことを命ずるものとする。

一 号
面会を要求すること。
二 号

その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

三 号
著しく粗野 又は乱暴な言動をすること。
四 号

電話をかけて何も告げず、又は緊急やむを得ない場合を除き、連続して、電話をかけ、文書を送付し、通信文 その他の情報(電気通信(電気通信事業法昭和五十九年法律第八十六号第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下この号 及び第六項第一号において同じ。)の送信元、送信先、通信日時 その他の電気通信を行うために必要な情報を含む。以下この条において「通信文等」という。)をファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。

五 号

緊急やむを得ない場合を除き午後十時から午前六時までの間に、電話をかけ、通信文等をファクシミリ装置を用いて送信し、又は電子メールの送信等をすること。

六 号

汚物、動物の死体 その他の著しく不快 又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。

七 号

その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。

八 号

その性的羞恥心を害する事項を告げ、若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体 その他の物を送付し、若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録 その他の記録を送信し、若しくはその知り得る状態に置くこと。

九 号

その承諾を得ないで、その所持する位置情報記録・送信装置(当該装置の位置に係る位置情報(地理空間情報活用推進基本法平成十九年法律第六十三号第二条第一項第一号に規定する位置情報をいう。以下この号において同じ。)を記録し、又は送信する機能を有する装置で政令で定めるものをいう。以下この号 及び次号において同じ。)(同号に規定する行為がされた位置情報記録・送信装置を含む。)により記録され、又は送信される当該位置情報記録・送信装置の位置に係る位置情報を政令で定める方法により取得すること。

十 号
その承諾を得ないで、その所持する物に位置情報記録・送信装置を取り付けること、位置情報記録・送信装置を取り付けた物を交付すること その他その移動に伴い位置情報記録・送信装置を移動し得る状態にする行為として政令で定める行為をすること。
3項

第一項の場合において、被害者がその成年に達しない以下この項 及び次項 並びに第十二条第一項第三号において単に「」という。)と同居しているときであって、配偶者が幼年の子を連れ戻すと疑うに足りる言動を行っていること その他の事情があることから被害者がその同居している子に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため必要があると認めるときは、接近禁止命令を発する裁判所 又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、接近禁止命令の効力が生じた日から起算して一年を経過する日までの間、当該子の住居(当該配偶者と共に生活の本拠としている住居を除く。以下この項において同じ。)、就学する学校 その他の場所において当該子の身辺につきまとい、又は当該子の住居、就学する学校 その他その通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないこと 及び当該子に対して前項第二号から第十号までに掲げる行為(同項第五号に掲げる行為にあっては、電話をかけること 及び通信文等をファクシミリ装置を用いて送信することに限る)をしてはならないことを命ずるものとする。


ただし、当該十五歳以上であるときは、その同意がある場合に限る

4項

第一項の場合において、配偶者が被害者の親族 その他被害者と社会生活において密接な関係を有する者被害者と同居している子 及び配偶者と同居している者を除く。以下この項 及び次項 並びに第十二条第一項第四号において「親族等」という。)の住居に押し掛けて著しく粗野 又は乱暴な言動を行っていること その他の事情があることから被害者がその親族等に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため必要があると認めるときは、接近禁止命令を発する裁判所 又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、接近禁止命令の効力が生じた日から起算して一年を経過する日までの間、当該親族等の住居(当該配偶者と共に生活の本拠としている住居を除く。以下この項において同じ。)その他の場所において当該親族等の身辺につきまとい、又は当該親族等の住居、勤務先 その他その通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないことを命ずるものとする。

5項

前項の申立ては、当該親族等被害者の十五歳未満の子を除く。以下この項において同じ。)の同意(当該親族等が十五歳未満の者 又は成年被後見人である場合にあっては、その法定代理人の同意)がある場合に限り、することができる。

6項

第二項第四号 及び第五号の「電子メールの送信等」とは、次の各号いずれかに掲げる行為(電話をかけること 及び通信文等をファクシミリ装置を用いて送信することを除く)をいう。

一 号

電子メール(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律平成十四年法律第二十六号第二条第一号に規定する電子メールをいう。)その他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信の送信を行うこと。

二 号

前号に掲げるもののほか、電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信の技術を利用する方法であって、内閣府令で定めるものを用いて通信文等の送信を行うこと。