会社法

# 平成十七年法律第八十六号 #

第三款 株式の質入れ

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和五年六月十四日 ( 2023年 6月14日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第五十三号による改正
最終編集日 : 2024年 10月13日 07時55分

1項

株主は、その有する株式に質権を設定することができる。

2項

株券発行会社の株式の質入れは、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。

1項

株式の質入れは、その質権者の氏名 又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社 その他の第三者に対抗することができない

2項

前項の規定にかかわらず、株券発行会社の株式の質権者は、継続して当該株式に係る株券を占有しなければ、その質権をもって株券発行会社 その他の第三者に対抗することができない

3項

民法第三百六十四条の規定は、株式については、適用しない

1項

株式に質権を設定した者は、株式会社に対し、次に掲げる事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。

一 号
質権者の氏名 又は名称 及び住所
二 号
質権の目的である株式
1項

前条各号に掲げる事項が株主名簿に記載され、又は記録された質権者(以下「登録株式質権者」という。)は、株式会社に対し、当該登録株式質権者についての株主名簿に記載され、若しくは記録された同条各号に掲げる事項を記載した書面の交付 又は当該事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。

2項

前項の書面には、株式会社の代表取締役(指名委員会等設置会社にあっては、代表執行役。次項において同じ。)が署名し、又は記名押印しなければならない。

3項

第一項の電磁的記録には、株式会社の代表取締役が法務省令で定める署名 又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。

4項

前三項の規定は、株券発行会社については、適用しない

1項

株式会社が登録株式質権者に対してする通知 又は催告は、株主名簿に記載し、又は記録した当該登録株式質権者の住所(当該登録株式質権者が別に通知 又は催告を受ける場所 又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所 又は連絡先)にあてて発すれば足りる。

2項

前項の通知 又は催告は、その通知 又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。

1項

株式会社が次に掲げる行為をした場合には、株式を目的とする質権は、当該行為によって当該株式の株主が受けることのできる金銭等(金銭 その他の財産をいう。以下同じ。)について存在する。

一 号

第百六十七条第一項の規定による取得請求権付株式の取得

二 号

第百七十条第一項の規定による取得条項付株式の取得

三 号

第百七十三条第一項の規定による第百七十一条第一項に規定する全部取得条項付種類株式の取得

四 号
株式の併合
五 号
株式の分割
六 号

第百八十五条に規定する株式無償割当て

七 号

第二百七十七条に規定する新株予約権無償割当て

八 号
剰余金の配当
九 号
残余財産の分配
十 号
組織変更
十一 号

合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る

十二 号
株式交換
十三 号
株式移転
十四 号

株式の取得(第一号から第三号までに掲げる行為を除く

2項

特別支配株主(第百七十九条第一項に規定する特別支配株主をいう。第百五十四条第三項において同じ。)が株式売渡請求(第百七十九条第二項に規定する株式売渡請求をいう。)により売渡株式(第百七十九条の二第一項第二号に規定する売渡株式をいう。以下 この項において同じ。)の取得をした場合には、売渡株式を目的とする質権は、当該取得によって当該売渡株式の株主が受けることのできる金銭について存在する。

1項

株式会社(株券発行会社を除く。以下 この条において同じ。)は、前条第一項第一号から第三号までに掲げる行為をした場合(これらの行為に際して当該株式会社が株式を交付する場合に限る)又は同項第六号に掲げる行為をした場合において、同項の質権の質権者が登録株式質権者(第二百十八条第五項の規定による請求により第百四十八条各号に掲げる事項が株主名簿に記載され、又は記録されたものを除く。以下 この款において同じ。)であるときは、前条第一項の株主が受けることができる株式について、その質権者の氏名 又は名称 及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。

2項

株式会社は、株式の併合をした場合において、前条第一項の質権の質権者が登録株式質権者であるときは、併合した株式について、その質権者の氏名 又は名称 及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。

3項

株式会社は、株式の分割をした場合において、前条第一項の質権の質権者が登録株式質権者であるときは、分割した株式について、その質権者の氏名 又は名称 及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。

1項

株券発行会社は、前条第一項に規定する場合には、第百五十一条第一項の株主が受ける株式に係る株券を登録株式質権者に引き渡さなければならない。

2項

株券発行会社は、前条第二項に規定する場合には、併合した株式に係る株券を登録株式質権者に引き渡さなければならない。

3項

株券発行会社は、前条第三項に規定する場合には、分割した株式について新たに発行する株券を登録株式質権者に引き渡さなければならない。

1項

登録株式質権者は、第百五十一条第一項の金銭等(金銭に限る)又は同条第二項の金銭を受領し、他の債権者に先立って自己の債権の弁済に充てることができる。

2項

株式会社が次の各号に掲げる行為をした場合において、前項の債権の弁済期が到来していないときは、登録株式質権者は、当該各号に定める者に同項に規定する金銭等に相当する金額を供託させることができる。


この場合において、質権は、その供託金について存在する。

一 号

第百五十一条第一項第一号から第六号まで第八号第九号 又は第十四号に掲げる行為

当該株式会社

二 号

組織変更

第七百四十四条第一項第一号に規定する組織変更後持分会社

三 号

合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る

第七百四十九条第一項に規定する吸収合併存続会社 又は第七百五十三条第一項に規定する新設合併設立会社

四 号

株式交換

第七百六十七条に規定する株式交換完全親会社

五 号

株式移転

第七百七十三条第一項第一号に規定する株式移転設立完全親会社

3項

第百五十一条第二項に規定する場合において、第一項の債権の弁済期が到来していないときは、登録株式質権者は、当該特別支配株主に同条第二項の金銭に相当する金額を供託させることができる。


この場合において、質権は、その供託金について存在する。