国家公務員退職手当法

# 昭和二十八年法律第百八十二号 #

第十三条 # 退職手当の支払の差止め

@ 施行日 : 令和五年四月一日 ( 2023年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和三年法律第六十二号による改正

1項

退職をした者が次の各号いずれかに該当するときは、当該退職に係る退職手当管理機関は、当該退職をした者に対し、当該退職に係る一般の退職手当等の額の支払を差し止める処分を行うものとする。

一 号

職員が刑事事件に関し起訴(当該起訴に係る犯罪について禁錮以上の刑が定められているものに限り、刑事訴訟法昭和二十三年法律第百三十一号第六編に規定する略式手続によるものを除く。以下同じ。)をされた場合において、その判決の確定前に退職をしたとき。

二 号

退職をした者に対しまだ当該一般の退職手当等の額が支払われていない場合において、当該退職をした者が基礎在職期間中の行為に係る刑事事件に関し起訴をされたとき。

2項

退職をした者に対しまだ当該退職に係る一般の退職手当等の額が支払われていない場合において、次の各号いずれかに該当するときは、当該退職に係る退職手当管理機関は、当該退職をした者に対し、当該一般の退職手当等の額の支払を差し止める処分を行うことができる。

一 号

当該退職をした者の基礎在職期間中の行為に係る刑事事件に関して、その者が逮捕されたとき又は当該退職手当管理機関がその者から聴取した事項 若しくは調査により判明した事実に基づきその者に犯罪があると思料するに至つたときであつて、その者に対し一般の退職手当等の額を支払うことが公務に対する国民の信頼を確保する上で支障を生ずると認めるとき。

二 号

当該退職手当管理機関が、当該退職をした者について、当該一般の退職手当等の額の算定の基礎となる職員としての引き続いた在職期間中に懲戒免職等処分を受けるべき行為(在職期間中の職員の非違に当たる行為であつて、その非違の内容 及び程度に照らして懲戒免職等処分に値することが明らかなものをいう。以下同じ。)をしたことを疑うに足りる相当な理由があると思料するに至つたとき。

3項

死亡による退職をした者の遺族(退職をした者(死亡による退職の場合には、その遺族)が当該退職に係る一般の退職手当等の額の支払を受ける前に死亡したことにより当該一般の退職手当等の額の支払を受ける権利を承継した者を含む。以下 この項において同じ。)に対しまだ当該一般の退職手当等の額が支払われていない場合において、前項第二号に該当するときは、当該退職に係る退職手当管理機関は、当該遺族に対し、当該一般の退職手当等の額の支払を差し止める処分を行うことができる。

4項

前三項の規定による一般の退職手当等の額の支払を差し止める処分(以下「支払差止処分」という。)を受けた者は、行政不服審査法平成二十六年法律第六十八号第十八条第一項本文に規定する期間が経過した後においては、当該支払差止処分後の事情の変化を理由に、当該支払差止処分を行つた退職手当管理機関に対し、その取消しを申し立てることができる。

5項

第一項 又は第二項の規定による支払差止処分を行つた退職手当管理機関は、次の各号いずれかに該当するに至つた場合には、速やかに当該支払差止処分を取り消さなければならない。


ただし第三号に該当する場合において、当該支払差止処分を受けた者がその者の基礎在職期間中の行為に係る刑事事件に関し現に逮捕されているときその他これを取り消すことが支払差止処分の目的に明らかに反すると認めるときは、この限りでない。

一 号
当該支払差止処分を受けた者について、当該支払差止処分の理由となつた起訴 又は行為に係る刑事事件につき無罪の判決が確定した場合
二 号

当該支払差止処分を受けた者について、当該支払差止処分の理由となつた起訴 又は行為に係る刑事事件につき、判決が確定した場合(禁錮以上の刑に処せられた場合 及び無罪の判決が確定した場合を除く)又は公訴を提起しない処分があつた場合であつて、次条第一項の規定による処分を受けることなく、当該判決が確定した日 又は当該公訴を提起しない処分があつた日から六月を経過した場合

三 号

当該支払差止処分を受けた者について、その者の基礎在職期間中の行為に係る刑事事件に関し起訴をされることなく、かつ、次条第一項の規定による処分を受けることなく、当該支払差止処分を受けた日から一年を経過した場合

6項

第三項の規定による支払差止処分を行つた退職手当管理機関は、当該支払差止処分を受けた者が次条第二項の規定による処分を受けることなく当該支払差止処分を受けた日から一年を経過した場合には、速やかに当該支払差止処分を取り消さなければならない。

7項

前二項の規定は、当該支払差止処分を行つた退職手当管理機関が、当該支払差止処分後に判明した事実 又は生じた事情に基づき、当該一般の退職手当等の額の支払を差し止める必要がなくなつたとして当該支払差止処分を取り消すことを妨げるものではない。

8項

第一項 又は第二項の規定による支払差止処分を受けた者に対する第十条の規定の適用については、当該支払差止処分が取り消されるまでの間、その者は、一般の退職手当等の支給を受けない者とみなす。

9項

第一項 又は第二項の規定による支払差止処分を受けた者が当該支払差止処分が取り消されたことにより当該一般の退職手当等の額の支払を受ける場合(これらの規定による支払差止処分を受けた者が死亡した場合において、当該一般の退職手当等の額の支払を受ける権利を承継した者が第三項の規定による支払差止処分を受けることなく当該一般の退職手当等の額の支払を受けるに至つたときを含む。)において、当該退職をした者が既に第十条の規定による退職手当の額の支払を受けているときは、当該一般の退職手当等の額から既に支払を受けた同条の規定による退職手当の額を控除するものとする。


この場合において、当該一般の退職手当等の額が既に支払を受けた同条の規定による退職手当の額以下であるときは、当該一般の退職手当等は、支払わない。

10項

前条第二項 及び第三項の規定は、支払差止処分について準用する。