国税の法定納期限等以前に納税者の財産につき、その者を登記義務者(登録義務者を含む。)として、仮登記担保契約に関する法律(昭和五十三年法律第七十八号)第一条(趣旨)に規定する仮登記担保契約に基づく仮登記 又は仮登録(以下「担保のための仮登記」という。)がされているときは、その国税は、その換価代金につき、その担保のための仮登記により担保される債権に次いで徴収する。
国税徴収法
第四節 国税と仮登記又は譲渡担保に係る債権との調整
担保のための仮登記がされている納税者の財産上に、第十九条第一項各号(不動産保存の先取特権等の優先)に掲げる先取特権があるとき、国税の法定納期限等以前から第二十条第一項各号(法定納期限等以前にある不動産賃貸の先取特権等の優先)に掲げる先取特権があるとき、又は国税の法定納期限等以前に質権 若しくは抵当権が設定され、若しくは担保のための仮登記がされているときは、その国税は、仮登記担保契約に関する法律第三条第一項(清算金)(同法第二十条(土地等の所有権以外の権利を目的とする契約への準用)において準用する場合を含む。)に規定する清算金に係る換価代金につき、同法第四条第一項(物上代位)(同法第二十条において準用する場合を含む。)の規定により権利が行使されたこれらの先取特権、質権 及び抵当権 並びに同法第四条第二項(同法第二十条において準用する場合を含む。)において準用する同法第四条第一項の規定により権利が行使された同条第二項に規定する後順位の担保仮登記により担保される債権に次いで徴収する。
第十七条第一項(譲受前に設定された質権 又は抵当権の優先)の規定は、納税者が担保のための仮登記がされている財産を譲り受けたときについて、前条(第三項を除く。)の規定は、納税者が他に国税に充てるべき十分な財産がない場合において、その者がその国税の法定納期限等後に担保のための仮登記をした財産を譲渡したときについて、それぞれ準用する。
仮登記担保契約に関する法律第一条に規定する仮登記担保契約で、消滅すべき金銭債務がその契約の時に特定されていないものに基づく仮登記 及び仮登録は、国税の滞納処分においては、その効力を有しない。
納税者が国税を滞納した場合において、その者が譲渡した財産でその譲渡により担保の目的となつているもの(以下「譲渡担保財産」という。)があるときは、その者の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められるときに限り、譲渡担保財産から納税者の国税を徴収することができる。
税務署長は、前項の規定により徴収しようとするときは、譲渡担保財産の権利者(以下「譲渡担保権者」という。)に対し、徴収しようとする金額 その他必要な事項を記載した書面により告知しなければならない。
この場合においては、その者の住所 又は居所(事務所 及び事業所を含む。以下同じ。)の所在地を所轄する税務署長 及び納税者に対しその旨を通知しなければならない。
前項の告知書を発した日から十日を経過した日までにその徴収しようとする金額が完納されていないときは、徴収職員は、譲渡担保権者を第二次納税義務者とみなして、その譲渡担保財産につき滞納処分を執行することができる。
この場合においては、第三十二条第三項から第五項まで(第二次納税義務の通則)及び第九十条第三項(換価の制限)の規定を準用する。
譲渡担保財産を第一項の納税者の財産としてした差押えは、同項の要件に該当する場合に限り、前項の規定による差押えとして滞納処分を続行することができる。
この場合において、税務署長は、遅滞なく、第二項の告知 及び通知をしなければならない。
税務署長は、前項の規定により滞納処分を続行する場合において、譲渡担保財産が次の各号に掲げる財産であるときは、当該各号に定める者に対し、納税者の財産としてした差押えを第三項の規定による差押えとして滞納処分を続行する旨を通知しなければならない。
第三者が占有する動産(第七十条(船舶 又は航空機の差押え)又は第七十一条(自動車、建設機械 又は小型船舶の差押え)の規定の適用を受ける財産を除く。以下同じ。)又は有価証券 動産 又は有価証券を占有する第三者
第六十二条(差押えの手続 及び効力発生時期)又は第七十三条(電話加入権等の差押えの手続 及び効力発生時期)の規定の適用を受ける財産(これらの財産の権利の移転につき登記を要するものを除く。)第三債務者 又はこれに準ずる者(以下「第三債務者等」という。)
税務署長は、第四項の規定により滞納処分を続行する場合において、第五十五条第一号 又は第三号(質権者等に対する差押えの通知)に掲げる者のうち知れている者があるときは、これらの者に対し、納税者の財産としてした差押えを第三項の規定による差押えとして滞納処分を続行する旨を通知しなければならない。
第二項の規定による告知 又は第四項の規定の適用を受ける差押えをした後、納税者の財産の譲渡により担保される債権が債務不履行 その他弁済以外の理由により消滅した場合(譲渡担保財産につき買戻し、再売買の予約 その他これらに類する契約を締結している場合において、期限の経過 その他その契約の履行以外の理由によりその契約が効力を失つたときを含む。)においても、なお譲渡担保財産として存続するものとみなして、第三項の規定を適用する。
第一項の規定は、国税の法定納期限等以前に、担保の目的でされた譲渡に係る権利の移転の登記がある場合 又は譲渡担保権者が国税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となつている事実を、その財産の売却決定の前日までに、証明した場合には、適用しない。
この場合においては、第十五条第二項後段 及び第三項(優先質権の証明)の規定を準用する。
第一項の規定の適用を受ける譲渡担保権者は、第十章(罰則)の規定の適用については、納税者とみなす。
買戻しの特約のある売買の登記、再売買の予約の請求権の保全のための仮登記(仮登録を含む。以下同じ。)その他これに類する登記(以下この条において「買戻権の登記等」という。)がされている譲渡担保財産でその買戻権の登記等の権利者が滞納者であるときは、その差し押さえた買戻権の登記等に係る権利 及び前条第三項の規定により差し押さえたその買戻権の登記等のある譲渡担保財産を一括して換価することができる。
前条 及び前項に規定するもののほか、譲渡担保財産からする納税者の国税の徴収に関し必要な事項は、政令で定める。