感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

# 平成十年法律第百十四号 #
略称 : 感染症予防法  感染症法 

第二章 基本指針等

分類 法律
カテゴリ   厚生
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第九十六号による改正
最終編集日 : 2024年 07月17日 18時14分


1項

厚生労働大臣は、感染症の予防の総合的な推進を図るための基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めなければならない。

2項

基本指針は、次に掲げる事項について定めるものとする。

一 号
感染症の予防の推進の基本的な方向
二 号

感染症の発生の予防のための施策に関する事項

三 号

感染症のまん延の防止のための施策に関する事項

四 号
感染症 及び病原体等に関する情報の収集、調査 及び研究に関する事項
五 号
病原体等の検査の実施体制 及び検査能力の向上に関する事項
六 号
感染症に係る医療を提供する体制の確保に関する事項
七 号
感染症の患者の移送のための体制の確保に関する事項
八 号
感染症に係る医療のための医薬品の研究開発の推進に関する事項
九 号
感染症に係る医療を提供する体制の確保 その他感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するための措置に必要なものとして厚生労働省令で定める体制の確保に係る目標に関する事項
十 号

第四十四条の三第二項 又は第五十条の二第二項に規定する宿泊施設の確保に関する事項

十一 号

第四十四条の三の二第一項に規定する新型インフルエンザ等感染症外出自粛対象者 又は第五十条の三第一項に規定する新感染症外出自粛対象者の療養生活の環境整備に関する事項

十二 号

第四十四条の五第一項第四十四条の八において準用する場合を含む。)、第五十一条の四第一項 若しくは第六十三条の三第一項の規定による総合調整 又は第五十一条の五第一項第六十三条の二 若しくは第六十三条の四の規定による指示の方針に関する事項

十三 号

第五十三条の十六第一項に規定する感染症対策物資等の確保に関する事項

十四 号
感染症に関する啓発 及び知識の普及 並びに感染症の患者等の人権の尊重に関する事項
十五 号
感染症の予防に関する人材の養成 及び資質の向上に関する事項
十六 号
感染症の予防に関する保健所の体制の確保に関する事項
十七 号
特定病原体等を適正に取り扱う体制の確保に関する事項
十八 号

緊急時における感染症の発生の予防 及びまん延の防止、病原体等の検査の実施 並びに医療の提供のための施策(国と地方公共団体 及び地方公共団体相互間の連絡体制の確保を含む。)に関する事項

十九 号
その他感染症の予防の推進に関する重要事項
3項

厚生労働大臣は、感染症の予防に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、前項第五号第六号第十号第十一号第十三号第十五号第十六号 及び第十八号に掲げる事項(以下この項において「特定事項」という。)については少なくとも三年ごとに、特定事項以外の前項各号に掲げる事項については少なくとも六年ごとに、それぞれ再検討を加え、必要があると認めるときは、基本指針を変更するものとする。

4項

厚生労働大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、厚生科学審議会の意見を聴かなければならない。

5項

厚生労働大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

1項

都道府県は、基本指針に即して、感染症の予防のための施策の実施に関する計画(以下この条 及び次条第二項において「予防計画」という。)を定めなければならない。

2項

前項の予防計画は、当該都道府県における次に掲げる事項について定めるものとする。

一 号

地域の実情に即した感染症の発生の予防 及びまん延の防止のための施策に関する事項

二 号
感染症 及び病原体等に関する情報の収集、調査 及び研究に関する事項
三 号
病原体等の検査の実施体制 及び検査能力の向上に関する事項
四 号
感染症に係る医療を提供する体制の確保に関する事項
五 号
感染症の患者の移送のための体制の確保に関する事項
六 号
感染症に係る医療を提供する体制の確保 その他感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するための措置に必要なものとして厚生労働省令で定める体制の確保に係る目標に関する事項
七 号

第四十四条の三第二項 又は第五十条の二第二項に規定する宿泊施設の確保に関する事項

八 号

第四十四条の三の二第一項に規定する新型インフルエンザ等感染症外出自粛対象者 又は第五十条の三第一項に規定する新感染症外出自粛対象者の療養生活の環境整備に関する事項

九 号

第六十三条の三第一項の規定による総合調整 又は第六十三条の四の規定による指示の方針に関する事項

十 号
感染症の予防に関する人材の養成 及び資質の向上に関する事項
十一 号
感染症の予防に関する保健所の体制の確保に関する事項
十二 号

緊急時における感染症の発生の予防 及びまん延の防止、病原体等の検査の実施 並びに医療の提供のための施策(国との連携 及び地方公共団体相互間の連絡体制の確保を含む。)に関する事項

3項

第一項の予防計画においては、前項各号に掲げる事項のほか、当該都道府県における感染症に関する知識の普及に関する事項について定めるよう努めるものとする。

4項

都道府県は、基本指針が変更された場合には、当該都道府県が定める予防計画に再検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。


都道府県が予防計画の実施状況に関する調査、分析 及び評価を行い、必要があると認めるときも、同様とする。

5項
厚生労働大臣は、予防計画の作成の手法 その他予防計画の作成上重要な技術的事項について、都道府県に対し、必要な助言をすることができる。
6項

都道府県は、予防計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、その区域内の感染症の予防に関する施策の整合性の確保 及び専門的知見の活用を図るため、あらかじめ次条第一項に規定する都道府県連携協議会において協議しなければならない。

7項

都道府県は、予防計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、市町村(保健所を設置する市 及び特別区(以下「保健所設置市等」という。)を除く)の意見を聴かなければならない。

8項

都道府県は、予防計画を定め、又はこれを変更するに当たっては、医療法昭和二十三年法律第二百五号第三十条の四第一項に規定する医療計画 及び新型インフルエンザ等対策特別措置法平成二十四年法律第三十一号第七条第一項に規定する都道府県行動計画との整合性の確保を図らなければならない。

9項

都道府県は、予防計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に提出しなければならない。

10項

厚生労働大臣は、都道府県に対し、前項の規定により提出を受けた予防計画について、必要があると認めるときは、助言、勧告 又は援助をすることができる。

11項

都道府県は、厚生労働大臣に対し、第二項第六号に掲げる事項の達成の状況を、毎年度、厚生労働省令で定めるところにより、報告しなければならない。

12項

厚生労働大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、必要に応じ、厚生労働省令で定めるところにより、その内容を公表するものとする。

13項

第十項の規定は、第十一項の規定により受けた報告について準用する。

14項
保健所設置市等は、基本指針 及び当該保健所設置市等の区域を管轄する都道府県が定める予防計画に即して、予防計画を定めなければならない。
15項

前項の予防計画は、当該保健所設置市等における次に掲げる事項について定めるものとする。

一 号

第二項第一号第三号第五号第八号 及び第十号から第十二号までに掲げる事項

二 号

病原体等の検査の実施体制の確保 その他感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するための措置に必要なものとして厚生労働省令で定める体制の確保に係る目標に関する事項

16項

第十四項の予防計画においては、前項各号に掲げる事項のほか、当該保健所設置市等における第二項第二号 及び第七号に掲げる事項 並びに感染症に関する知識の普及に関する事項について定めるよう努めるものとする。

17項

保健所設置市等は、予防計画を定め、又はこれを変更するに当たっては、新型インフルエンザ等対策特別措置法第八条第一項に規定する市町村行動計画との整合性の確保を図らなければならない。

18項

第四項から第六項まで 及び第九項から第十三項までの規定は、保健所設置市等が定める予防計画について準用する。


この場合において、

第四項
基本指針」とあるのは
「基本指針 又は当該保健所設置市等の区域を管轄する都道府県が定める予防計画」と、

第九項
厚生労働大臣」とあるのは
「都道府県に提出しなければならない。この場合において、当該提出を受けた都道府県は、遅滞なく、これを厚生労働大臣」と、

第十項 及び第十一項
厚生労働大臣」とあるのは
「都道府県」と、

同項
第二項第六号」とあるのは
第十五項第二号」と、

ならない」とあるのは
「ならない。この場合において、当該報告を受けた都道府県は、速やかに、当該報告の内容を厚生労働大臣に報告しなければならない」と、

第十二項
前項」とあるのは
第十八項において読み替えて準用する前項後段」と

読み替えるものとする。

19項

医療機関、病原体等の検査を行っている機関 及び宿泊施設の管理者は、第一項 及び第十四項の予防計画の達成の推進に資するため、地域における必要な体制の確保のために必要な協力をするよう努めなければならない。

1項

都道府県は、感染症の発生の予防 及びまん延の防止のための施策の実施に当たっての連携協力体制の整備を図るため、都道府県、保健所設置市等、感染症指定医療機関、診療に関する学識経験者の団体 及び消防機関(消防組織法昭和二十二年法律第二百二十六号第九条各号に掲げる機関をいう。)その他の関係機関により構成される協議会(以下この条において「都道府県連携協議会」という。)を組織するものとする。

2項
都道府県連携協議会は、その構成員が相互の連絡を図ることにより、都道府県 及び保健所設置市等が定めた予防計画の実施状況 及びその実施に有用な情報を共有し、その構成員の連携の緊密化を図るものとする。
3項

都道府県は、第十六条第二項に規定する新型インフルエンザ等感染症等に係る発生等の公表が行われたときは、都道府県連携協議会を開催し、当該感染症の発生の予防 及びそのまん延を防止するために必要な対策の実施について協議を行うよう努めるものとする。

4項

都道府県連携協議会において協議が調った事項については、その構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。

5項

前各項に規定するもののほか、都道府県連携協議会に関し必要な事項は、都道府県連携協議会が定める。

1項

厚生労働大臣は、感染症のうち、特に総合的に予防のための施策を推進する必要があるものとして厚生労働省令で定めるものについて、当該感染症に係る原因の究明、発生の予防 及びまん延の防止、医療の提供、研究開発の推進、国際的な連携 その他当該感染症に応じた予防の総合的な推進を図るための指針(次項において「特定感染症予防指針」という。)を作成し、公表するものとする。

2項

厚生労働大臣は、特定感染症予防指針を作成し、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ厚生科学審議会の意見を聴かなければならない。