民法

# 明治二十九年法律第八十九号 #

第三目 事業に係る債務についての保証契約の特則

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年五月二十四日 ( 2024年 5月24日 )
@ 最終更新 : 令和六年法律第三十三号による改正
最終編集日 : 2024年 10月25日 21時20分


1項

事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約 又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。

2項

前項の公正証書を作成するには、次に掲げる方式に従わなければならない。

一 号

保証人になろうとする者が、次の 又はに掲げる契約の区分に応じ、それぞれ当該 又はに定める事項を公証人に口授すること。

保証契約(ロに掲げるものを除く

主たる債務の債権者 及び債務者、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償 その他その債務に従たる全てのものの定めの有無 及びその内容 並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、その債務の全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。

根保証契約

主たる債務の債権者 及び債務者、主たる債務の範囲、根保証契約における極度額、元本確定期日の定めの有無 及びその内容 並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、極度額の限度において元本確定期日 又は第四百六十五条の四第一項各号 若しくは第二項各号に掲げる事由 その他の元本を確定すべき事由が生ずる時までに生ずべき主たる債務の元本 及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償 その他その債務に従たる全てのものの全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。

二 号

公証人が、保証人になろうとする者の口述を筆記し、これを保証人になろうとする者に読み聞かせ、又は閲覧させること。

三 号

保証人になろうとする者が、筆記の正確なことを承認した後、署名し、印を押すこと。


ただし、保証人になろうとする者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。

四 号

公証人が、その証書は前三号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

3項

前二項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には、適用しない

1項

前条第一項の保証契約 又は根保証契約の保証人になろうとする者が口がきけない者である場合には、公証人の前で、同条第二項第一号イ 又はに掲げる契約の区分に応じ、それぞれ当該 又はに定める事項を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、同号の口授に代えなければならない。


この場合における同項第二号の規定の適用については、

同号
口述」とあるのは、
「通訳人の通訳による申述 又は自書」と

する。

2項

前条第一項の保証契約 又は根保証契約の保証人になろうとする者が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条第二項第二号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により保証人になろうとする者に伝えて、同号の読み聞かせに代えることができる。

3項

公証人は、前二項に定める方式に従って公正証書を作ったときは、その旨をその証書に付記しなければならない。

1項

第四百六十五条の六第一項 及び第二項 並びに前条の規定は、事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約 又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約について準用する。


主たる債務の範囲にその求償権に係る債務が含まれる根保証契約も、同様とする。

2項

前項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には、適用しない

1項

前三条の規定は、保証人になろうとする者が次に掲げる者である保証契約については、適用しない

一 号

主たる債務者が法人である場合のその理事、取締役、執行役 又はこれらに準ずる者

二 号

主たる債務者が法人である場合の次に掲げる者

主たる債務者の総株主の議決権(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除く。以下この号において同じ。)の過半数を有する者

主たる債務者の総株主の議決権の過半数を他の株式会社が有する場合における当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者

主たる債務者の総株主の議決権の過半数を他の株式会社 及び当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者が有する場合における当該他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者

株式会社以外の法人が主たる債務者である場合における 又はに掲げる者に準ずる者

三 号

主たる債務者(法人であるものを除く。以下この号において同じ。)と共同して事業を行う者 又は主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者

1項

主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証 又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない。

一 号

財産 及び収支の状況

二 号

主たる債務以外に負担している債務の有無 並びにその額 及び履行状況

三 号

主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨 及びその内容

2項

主たる債務者が前項各号に掲げる事項に関して情報を提供せず、又は事実と異なる情報を提供したために委託を受けた者がその事項について誤認をし、それによって保証契約の申込み 又はその承諾の意思表示をした場合において、主たる債務者がその事項に関して情報を提供せず 又は事実と異なる情報を提供したことを債権者が知り 又は知ることができたときは、保証人は、保証契約を取り消すことができる。

3項

前二項の規定は、保証をする者が法人である場合には、適用しない