この法律は、団体の活動として暴力主義的破壊活動を行つた団体に対する必要な規制措置を定めるとともに、暴力主義的破壊活動に関する刑罰規定を補整し、もつて、公共の安全の確保に寄与することを目的とする。
破壊活動防止法
第一章 総則
この法律は、国民の基本的人権に重大な関係を有するものであるから、公共の安全の確保のために必要な最小限度においてのみ適用すべきであつて、いやしくもこれを拡張して解釈するようなことがあつてはならない。
この法律による規制 及び規制のための調査は、第一条に規定する目的を達成するために必要な最小限度においてのみ行うべきであつて、いやしくも権限を逸脱して、思想、信教、集会、結社、表現 及び学問の自由 並びに勤労者の団結し、及び団体行動をする権利 その他日本国憲法の保障する国民の自由と権利を、不当に制限するようなことがあつてはならない。
この法律による規制 及び規制のための調査については、いやしくもこれを濫用し、労働組合 その他の団体の正当な活動を制限し、又は これに介入するようなことがあつてはならない。
この法律で「暴力主義的破壊活動」とは、次に掲げる行為をいう。
刑法(明治四十年法律第四十五号)第七十七条(内乱)、第七十八条(予備 及び陰謀)、第七十九条(内乱等幇助)、第八十一条(外患誘致)、第八十二条(外患援助)、第八十七条(未遂罪)又は第八十八条(予備 及び陰謀)に規定する行為をなすこと。
この号イに規定する行為の教唆をなすこと。
刑法第七十七条、第八十一条 又は第八十二条に規定する行為を実行させる目的をもつて、その行為のせん動をなすこと。
刑法第七十七条、第八十一条 又は第八十二条に規定する行為を実行させる目的をもつて、その実行の正当性 又は必要性を主張した文書 又は図画を印刷し、頒布し、又は公然掲示すること。
刑法第七十七条、第八十一条 又は第八十二条に規定する行為を実行させる目的をもつて、無線通信 又は有線放送により、その実行の正当性 又は必要性を主張する通信をなすこと。
政治上の主義 若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対する目的をもつて、次に掲げる行為の一をなすこと。
刑法第百六条(騒乱)に規定する行為
刑法第百八条(現住建造物等放火)又は第百九条第一項(非現住建造物等放火)に規定する行為
刑法第百十七条第一項前段(激発物破裂)に規定する行為
刑法第百二十五条(往来危険)に規定する行為
刑法第百二十六条第一項 又は第二項(汽車転覆等)に規定する行為
刑法第百九十九条(殺人)に規定する行為
刑法第二百三十六条第一項(強盗)に規定する行為
爆発物取締罰則(明治十七年太政官布告第三十二号)第一条(爆発物使用)に規定する行為
検察 若しくは警察の職務を行い、若しくはこれを補助する者、法令により拘禁された者を看守し、若しくは護送する者 又はこの法律の規定により調査に従事する者に対し、凶器 又は毒劇物を携え、多衆共同してなす刑法第九十五条(公務執行妨害 及び職務強要)に規定する行為
この号イからリまでに規定する行為の一の予備、陰謀 若しくは教唆をなし、又は この号イからリまでに規定する行為の一を実行させる目的をもつてその行為のせん動をなすこと。
この法律で「せん動」とは、特定の行為を実行させる目的をもつて、文書 若しくは図画 又は言動により、人に対し、その行為を実行する決意を生ぜしめ又は既に生じている決意を助長させるような勢のある刺激を与えることをいう。
この法律で「団体」とは、特定の共同目的を達成するための多数人の継続的結合体 又は その連合体をいう。
但し、ある団体の支部、分会 その他の下部組織も、この要件に該当する場合には、これに対して、この法律による規制を行うことができるものとする。