裁判所は、法人である債務者について破産手続開始の決定があった場合において、必要があると認めるときは、破産管財人の申立てにより又は職権で、当該法人の理事、取締役、執行役、監事、監査役、清算人 又はこれらに準ずる者(以下 この節において「役員」という。)の責任に基づく損害賠償請求権につき、当該役員の財産に対する保全処分をすることができる。
破産法
第三節 法人の役員の責任の追及等
裁判所は、破産手続開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間においても、緊急の必要があると認めるときは、債務者(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)の申立てにより又は職権で、前項の規定による保全処分をすることができる。
裁判所は、前二項の規定による保全処分を変更し、又は取り消すことができる。
第一項 若しくは第二項の規定による保全処分 又は前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
第四項に規定する裁判 及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。
この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
第二項から前項までの規定は、破産手続開始の申立てを棄却する決定に対して第三十三条第一項の即時抗告があった場合について準用する。
裁判所は、法人である債務者について破産手続開始の決定があった場合において、必要があると認めるときは、破産管財人の申立てにより又は職権で、決定で、役員の責任に基づく損害賠償請求権の査定の裁判(以下 この節において「役員責任査定決定」という。)をすることができる。
前項の申立てをするときは、その原因となる事実を疎明しなければならない。
裁判所は、職権で役員責任査定決定の手続を開始する場合には、その旨の決定をしなければならない。
第一項の申立て又は前項の決定があったときは、時効の完成猶予 及び更新に関しては、裁判上の請求があったものとみなす。
役員責任査定決定の手続(役員責任査定決定があった後のものを除く。)は、破産手続が終了したときは、終了する。
役員責任査定決定 及び前条第一項の申立てを棄却する決定には、理由を付さなければならない。
裁判所は、前項に規定する裁判をする場合には、役員を審尋しなければならない。
役員責任査定決定があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。
この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
役員責任査定決定に不服がある者は、その送達を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴えを提起することができる。
前項の訴えは、破産裁判所が管轄する。
第一項の訴えは、これを提起する者が、役員であるときは破産管財人を、破産管財人であるときは役員を、それぞれ被告としなければならない。
第一項の訴えについての判決においては、訴えを不適法として却下する場合を除き、役員責任査定決定を認可し、変更し、又は取り消す。
役員責任査定決定を認可し、又は変更した判決は、強制執行に関しては、給付を命ずる判決と同一の効力を有する。
役員責任査定決定を認可し、又は変更した判決については、受訴裁判所は、民事訴訟法第二百五十九条第一項の定めるところにより、仮執行の宣言をすることができる。
前条第一項の訴えが、同項の期間内に提起されなかったとき、又は却下されたときは、役員責任査定決定は、給付を命ずる確定判決と同一の効力を有する。
会社法第六百六十三条の規定は、法人である債務者につき破産手続開始の決定があった場合について準用する。
この場合において、
同条中
「当該清算持分会社」とあるのは、
「破産管財人」と
読み替えるものとする。
匿名組合契約が営業者が破産手続開始の決定を受けたことによって終了したときは、破産管財人は、匿名組合員に、その負担すべき損失の額を限度として、出資をさせることができる。