仲裁法

# 平成十五年法律第百三十八号 #

第四十七条 # 暫定保全措置命令の執行等認可決定

@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第十五号による改正

1項

暫定保全措置命令(仲裁地が日本国内にあるかどうかを問わない。以下この章において同じ。)の申立てをした者は、当該暫定保全措置命令を受けた者を被申立人として、裁判所に対し、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める決定(以下「執行等認可決定」という。)を求める申立てをすることができる。

一 号

暫定保全措置命令のうち第二十四条第一項第三号に掲げる措置を講ずることを命ずるもの当該暫定保全措置命令に基づく民事執行を許す旨の決定

二 号

暫定保全措置命令のうち第二十四条第一項第一号第二号第四号 又は第五号に掲げる措置を講ずることを命ずるもの当該暫定保全措置命令に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときに第四十九条第一項の規定による金銭の支払命令を発することを許す旨の決定

2項

前項の申立てをするときは、暫定保全措置命令の命令書の写し、当該写しの内容が暫定保全措置命令の命令書と同一であることを証明する文書 及び暫定保全措置命令の命令書(日本語で作成されたものを除く。以下この項において同じ。)の日本語による翻訳文を提出しなければならない。


ただし、裁判所は、相当と認めるときは、被申立人の意見を聴いて、暫定保全措置命令の命令書の全部 又は一部について日本語による翻訳文を提出することを要しないものとすることができる。

3項

第一項の申立てを受けた裁判所は、仲裁廷 又は裁判機関(仲裁地が属する国の法令(当該暫定保全措置命令に適用された法令が仲裁地が属する国以外の国の法令である場合にあっては、当該法令)により当該国の裁判機関がその権限を有する場合に限る)に対して暫定保全措置命令の取消し、変更 又はその効力の停止を求める申立てがあったことを知った場合において、必要があると認めるときは、同項の申立てに係る手続を中止することができる。


この場合において、裁判所は、同項の申立てをした者の申立てにより、被申立人に対し、担保を立てるべきことを命ずることができる。

4項

第一項の申立てに係る事件は、第五条第一項 及び第二項の規定にかかわらず、次に掲げる裁判所の管轄に専属する。

一 号

第五条第一項各号に掲げる裁判所

二 号
請求の目的 又は差し押さえることができる被申立人の財産の所在地を管轄する地方裁判所
三 号

東京地方裁判所 及び大阪地方裁判所(仲裁地、被申立人の普通裁判籍の所在地 又は請求の目的 若しくは差し押さえることができる被申立人の財産の所在地が日本国内にある場合に限る

5項

第一項の申立てに係る事件についての第五条第四項 又は第五項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。

6項

裁判所は、次項 又は第八項の規定により第一項の申立てを却下する場合を除き、執行等認可決定をしなければならない。

7項

裁判所は、第一項の申立てがあった場合において、次の各号に掲げる事由のいずれかがあると認めるとき(第一号から第八号までに掲げる事由にあっては、被申立人が当該事由の存在を証明した場合に限る)に限り、当該申立てを却下することができる。

一 号
仲裁合意が、当事者の行為能力の制限により、その効力を有しないこと。
二 号

仲裁合意が、当事者が合意により仲裁合意に適用すべきものとして指定した法令(当該指定がないときは、仲裁地が属する国の法令)によれば、当事者の行為能力の制限以外の事由により、その効力を有しないこと。

三 号

当事者が、仲裁人の選任手続 又は仲裁手続(暫定保全措置命令に関する部分に限る次号 及び第六号において同じ。)において、仲裁地が属する国の法令の規定(その法令の公の秩序に関しない規定に関する事項について当事者間に合意があるときは、当該合意)により必要とされる通知を受けなかったこと。

四 号
当事者が、仲裁手続において防御することが不可能であったこと。
五 号
暫定保全措置命令が、仲裁合意 若しくは暫定保全措置命令に関する別段の合意 又は暫定保全措置命令の申立ての範囲を超える事項について発せられたものであること。
六 号

仲裁廷の構成 又は仲裁手続が、仲裁地が属する国の法令の規定(その法令の公の秩序に関しない規定に関する事項について当事者間に合意があるときは、当該合意)に違反するものであったこと。

七 号
仲裁廷が暫定保全措置命令の申立てをした者に対して相当な担保を提供すべきことを命じた場合において、その者が当該命令に違反し、相当な担保を提供していないこと。
八 号

暫定保全措置命令が、仲裁廷 又は第三項に規定する裁判機関により、取り消され、変更され、又はその効力を停止されたこと。

九 号
仲裁手続における申立てが、日本の法令によれば、仲裁合意の対象とすることができない紛争に関するものであること。
十 号
暫定保全措置命令の内容が、日本における公の秩序 又は善良の風俗に反すること。
8項

前項第五号に掲げる事由がある場合において、当該暫定保全措置命令から同号に規定する事項に関する部分を区分することができるときは、当該部分 及び当該暫定保全措置命令のその他の部分をそれぞれ独立した暫定保全措置命令とみなして、同項の規定を適用する。

9項

執行等認可決定は、確定しなければその効力を生じない。

10項

第四十四条第四項 及び第七項の規定は、第一項の申立てについての決定について準用する。