旅客運送契約は、運送人が旅客を運送することを約し、相手方がその結果に対してその運送賃を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
商法
第三節 旅客運送
運送人は、旅客が運送のために受けた損害を賠償する責任を負う。
ただし、運送人が運送に関し注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
旅客の生命 又は身体の侵害による運送人の損害賠償の責任(運送の遅延を主たる原因とするものを除く。)を免除し、又は軽減する特約は、無効とする。
前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
大規模な火災、震災 その他の災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において運送を行うとき。
運送に伴い通常生ずる振動 その他の事情により生命 又は身体に重大な危険が及ぶおそれがある者の運送を行うとき。
運送人は、旅客から引渡しを受けた手荷物については、運送賃を請求しないときであっても、物品運送契約における運送人と同一の責任を負う。
運送人の被用者は、前項に規定する手荷物について、物品運送契約における運送人の被用者と同一の責任を負う。
第一項に規定する手荷物が到達地に到着した日から一週間以内に旅客がその引渡しを請求しないときは、運送人は、その手荷物を供託し、又は相当の期間を定めて催告をした後に競売に付することができる。
この場合において、運送人がその手荷物を供託し、又は競売に付したときは、遅滞なく、旅客に対してその旨の通知を発しなければならない。
損傷 その他の事由による価格の低落のおそれがある手荷物は、前項の催告をしないで競売に付することができる。
前二項の規定により手荷物を競売に付したときは、運送人は、その代価を供託しなければならない。
ただし、その代価の全部 又は一部を運送賃に充当することを妨げない。
旅客の住所 又は居所が知れないときは、第三項の催告 及び通知は、することを要しない。
運送人は、旅客から引渡しを受けていない手荷物(身の回り品を含む。)の滅失 又は損傷については、故意 又は過失がある場合を除き、損害賠償の責任を負わない。
第五百七十六条第一項 及び第三項、第五百八十四条第一項、第五百八十五条第一項 及び第二項、第五百八十七条(第五百七十六条第一項 及び第三項、第五百八十四条第一項 並びに第五百八十五条第一項 及び第二項の規定の準用に係る部分に限る。)並びに第五百八十八条の規定は、運送人が前項に規定する手荷物の滅失 又は損傷に係る損害賠償の責任を負う場合について準用する。
この場合において、
第五百七十六条第一項中
「その引渡しがされるべき」とあるのは
「その運送が終了すべき」と、
第五百八十四条第一項中
「荷受人が異議をとどめないで運送品を受け取った」とあるのは
「旅客が運送の終了の時までに異議をとどめなかった」と、
「荷受人が引渡しの日」とあるのは
「旅客が運送の終了の日」と、
第五百八十五条第一項中
「運送品の引渡しがされた日(運送品の全部滅失の場合にあっては、その引渡しがされるべき日)」とあるのは
「運送の終了の日」と
読み替えるものとする。
第五百八十六条の規定は、旅客運送について準用する。