次に掲げる債権を有する者は、船舶 及びその属具について先取特権を有する。
商法
第八章 船舶先取特権及び船舶抵当権
船舶の運航に直接関連して生じた人の生命 又は身体の侵害による損害賠償請求権
救助料に係る債権 又は船舶の負担に属する共同海損の分担に基づく債権
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)若しくは国税徴収の例によって徴収することのできる請求権であって船舶の入港、港湾の利用 その他船舶の航海に関して生じたもの又は水先料 若しくは引き船料に係る債権
航海を継続するために必要な費用に係る債権
雇用契約によって生じた船長 その他の船員の債権
前条各号に掲げる債権に係る先取特権(以下この章において「船舶先取特権」という。)が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、同条各号に掲げる順序に従う。
ただし、同条第二号に掲げる債権(救助料に係るものに限る。)に係る船舶先取特権は、その発生の時において既に生じている他の船舶先取特権に優先する。
同一順位の船舶先取特権を有する者が数人あるときは、これらの者は、その債権額の割合に応じて弁済を受ける。
ただし、前条第二号から第四号までに掲げる債権にあっては、同一順位の船舶先取特権が同時に生じたものでないときは、後に生じた船舶先取特権が前に生じた船舶先取特権に優先する。
船舶先取特権と他の先取特権とが競合する場合には、船舶先取特権は、他の先取特権に優先する。
船舶所有者がその船舶を譲渡したときは、譲受人は、その登記をした後、船舶先取特権を有する者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨を公告しなければならない。
この場合において、その期間は、一箇月を下ることができない。
船舶先取特権を有する者が前項の期間内に同項の申出をしなかったときは、その船舶先取特権は、消滅する。
船舶先取特権は、その発生後一年を経過したときは、消滅する。
登記した船舶は、抵当権の目的とすることができる。
船舶の抵当権は、その属具に及ぶ。
船舶の抵当権には、不動産の抵当権に関する規定を準用する。
この場合において、
民法第三百八十四条第一号中
「抵当権を実行して競売の申立てをしないとき」とあるのは、
抵当権の実行としての競売の申立て若しくはその提供を承諾しない旨の第三取得者に対する通知をせず、又はその通知をした債権者が抵当権の実行としての競売の申立てをすることができるに至った後一週間以内にこれをしないとき」
と読み替えるものとする。
船舶の抵当権と船舶先取特権とが競合する場合には、船舶先取特権は、船舶の抵当権に優先する。
船舶の抵当権と先取特権(船舶先取特権を除く。)とが競合する場合には、船舶の抵当権は、民法第三百三十条第一項に規定する第一順位の先取特権と同順位とする。
登記した船舶は、質権の目的とすることができない。
この章の規定は、製造中の船舶について準用する。