この法律は、我が国を取り巻く国際経済環境の変化 その他の経済社会情勢の変化に対応して、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展を図るためには、国が定めた国家戦略特別区域において、経済社会の構造改革を重点的に推進することにより、産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点を形成することが重要であることに鑑み、国家戦略特別区域に関し、規制改革 その他の施策を総合的かつ集中的に推進するために必要な事項を定め、もって国民経済の発展 及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。
国家戦略特別区域法
第一章 総則
この法律において「国家戦略特別区域」とは、当該区域において、高度な技術に関する研究開発 若しくはその成果を活用した製品の開発 若しくは生産 若しくは役務の開発 若しくは提供に関する事業 その他の産業の国際競争力の強化に資する事業 又は国際的な経済活動に関連する居住者、来訪者 若しくは滞在者を増加させるための市街地の整備に関する事業 その他の国際的な経済活動の拠点の形成に資する事業を実施することにより、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展に相当程度寄与することが見込まれる区域として政令で定める区域をいう。
この法律において「特定事業」とは、第十条を除き、次に掲げる事業をいう。
別表に掲げる事業で、第十二条の二から第二十七条までの規定による規制の特例措置の適用を受けるもの
産業の国際競争力の強化 又は国際的な経済活動の拠点の形成に資するものとして我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展に寄与することが見込まれる内閣府令で定める事業であって第二十八条第一項に規定する指定金融機関から当該事業を行うのに必要な資金の貸付けを受けて行われるもの
先端的区域データ活用事業活動の実施の促進を図るべき区域において、先端的区域データ活用事業活動の実施を促進するために必要なものとして政令で定める基準に従い、先端的区域データ活用事業活動を実施する主体の情報システムと区域データ(当該区域に関するデータ(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。)に記録された情報(国の安全を損ない、公の秩序の維持を妨げ、又は公衆の安全の保護に支障を来すことになるおそれがあるものを除く。)をいう。以下同じ。)であって、先端的区域データ活用事業活動の実施に活用されるものをいう。以下同じ。)を保有する主体の情報システムとの相互の連携を確保するための基盤を整備するとともに、区域データを、収集 及び整理をし、先端的区域データ活用事業活動を実施する主体に提供する事業(以下「国家戦略特別区域データ連携基盤整備事業」という。)
この法律において「規制の特例措置」とは、第十条、第二十八条の四 及び第三十条第一項第七号を除き、法律により規定された規制についての第十二条の二から第二十五条の六までに規定する法律の特例に関する措置 及び政令 又は主務省令(以下この項 及び第二十八条の四において「政令等」という。)により規定された規制についての第二十六条の規定による政令 若しくは内閣府令(告示を含む。)・主務省令(第三十九条ただし書に規定する規制にあっては、主務省令。以下「内閣府令・主務省令」という。)又は第二十七条の規定による条例で規定する政令等の特例に関する措置をいい、これらの措置の適用を受ける場合において当該規制の趣旨に照らし地方公共団体がこれらの措置と併せて実施し 又はその実施を促進することが必要となる措置を含むものとする。
この法律において「先端的区域データ活用事業活動」とは、官民データ活用推進基本法(平成二十八年法律第百三号)第二条第二項に規定する人工知能関連技術、同条第三項に規定するインターネット・オブ・シングス活用関連技術、同条第四項に規定するクラウド・コンピューティング・サービス関連技術 その他の従来の処理量に比して大量の情報の処理を可能とする先端的な技術を用いて役務の価値を高め、又はその新たな価値を生み出すことにより新たな事業の創出 又は事業の革新を図る事業活動(第三十七条の八第一項においてにおいて「先端的技術利用事業活動」という。)であって、国家戦略特別区域データ連携基盤整備事業の実施主体から区域データの提供を受け、当該区域データを活用して、当該事業活動の対象となる区域内の住民 その他の者の共同の福祉 又は利便の増進を図るものをいう。
この法律において「地方公共団体」とは、都道府県、市町村(特別区を含む。第十九条を除き、以下同じ。)又は地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百八十四条第一項の一部事務組合 若しくは広域連合をいい、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第四条第一項の規定による港務局を含むものとする。
内閣総理大臣は、第一項の政令の制定 又は改廃の立案をしようとするときは、あらかじめ、国家戦略特別区域諮問会議 及び関係地方公共団体の意見を聴かなければならない。
国家戦略特別区域における産業の国際競争力の強化 及び国際的な経済活動の拠点の形成は、国が、これらの実現のために必要な政策課題の迅速な解決を図るため、適切に国家戦略特別区域を定めるとともに、規制の特例措置の整備 その他必要な施策を、関連する諸制度の改革を推進しつつ総合的かつ集中的に講ずることを基本とし、地方公共団体 及び民間事業者 その他の関係者が、国と相互に密接な連携を図りつつ、これらの施策を活用して、我が国の経済社会の活力の向上 及び持続的発展を図ることを旨として、行われなければならない。
国 及び地方公共団体は、国家戦略特別区域における産業の国際競争力の強化 及び国際的な経済活動の拠点の形成に関する施策の推進に当たっては、構造改革特別区域(構造改革特別区域法(平成十四年法律第百八十九号)第二条第一項に規定する構造改革特別区域をいう。第十条第三項 及び第三十八条第二項において同じ。)における経済社会の構造改革の推進に関する施策 その他の関連する施策との連携を図るよう努めなければならない。