国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律

# 平成二十七年法律第七十七号 #
略称 : 国際平和支援法 

第二章 対応措置等

分類 法律
カテゴリ   外事
最終編集日 : 2024年 03月16日 10時41分


1項

内閣総理大臣は、国際平和共同対処事態に際し、対応措置のいずれかを実施することが必要であると認めるときは、当該対応措置を実施すること 及び当該対応措置に関する基本計画(以下「基本計画」という。)の案につき閣議の決定を求めなければならない。

2項
基本計画に定める事項は、次のとおりとする。
一 号
国際平和共同対処事態に関する次に掲げる事項
事態の経緯 並びに国際社会の平和 及び安全に与える影響
国際社会の取組の状況
我が国が対応措置を実施することが必要であると認められる理由
二 号

前号に掲げるもののほか、対応措置の実施に関する基本的な方針

三 号

前条第二項の協力支援活動を実施する場合における次に掲げる事項

当該協力支援活動に係る基本的事項
当該協力支援活動の種類 及び内容
当該協力支援活動を実施する区域の範囲 及び当該区域の指定に関する事項

当該協力支援活動を自衛隊が外国の領域で実施する場合には、当該協力支援活動を外国の領域で実施する自衛隊の部隊等の規模 及び構成 並びに装備 並びに派遣期間

自衛隊がその事務 又は事業の用に供し又は供していた物品以外の物品を調達して諸外国の軍隊等に無償 又は時価よりも低い対価で譲渡する場合には、その実施に係る重要事項

その他 当該協力支援活動の実施に関する重要事項
四 号
捜索救助活動を実施する場合における次に掲げる事項
当該捜索救助活動に係る基本的事項
当該捜索救助活動を実施する区域の範囲 及び当該区域の指定に関する事項

当該捜索救助活動の実施に伴う前条第三項後段の協力支援活動の実施に関する重要事項(当該協力支援活動を実施する区域の範囲 及び当該区域の指定に関する事項を含む。

当該捜索救助活動 又は その実施に伴う前条第三項後段の協力支援活動を自衛隊が外国の領域で実施する場合には、これらの活動を外国の領域で実施する自衛隊の部隊等の規模 及び構成 並びに装備 並びに派遣期間

その他 当該捜索救助活動の実施に関する重要事項
五 号

船舶検査活動を実施する場合における重要影響事態等に際して実施する船舶検査活動に関する法律第四条第二項に規定する事項

六 号
対応措置の実施のための関係行政機関の連絡調整に関する事項
3項

協力支援活動 又は捜索救助活動を外国の領域で実施する場合には、当該外国(第二条第四項に規定する機関がある場合にあっては、当該機関)と協議して、実施する区域の範囲を定めるものとする。

4項

第一項 及び前項の規定は、基本計画の変更について準用する。

1項

内閣総理大臣は、次に掲げる事項を、遅滞なく、国会に報告しなければならない。

一 号
基本計画の決定 又は変更があったときは、その内容
二 号
基本計画に定める対応措置が終了したときは、その結果
1項
内閣総理大臣は、対応措置の実施前に、当該対応措置を実施することにつき、基本計画を添えて国会の承認を得なければならない。
2項

前項の規定により内閣総理大臣から 国会の承認を求められた場合には、先議の議院にあっては内閣総理大臣が国会の承認を求めた後国会の休会中の期間を除いて七日以内に、後議の議院にあっては先議の議院から議案の送付があった後国会の休会中の期間を除いて七日以内に、それぞれ議決するよう努めなければならない。

3項

内閣総理大臣は、対応措置について、第一項の規定による国会の承認を得た日から二年を経過する日を超えて引き続き当該対応措置を行おうとするときは、当該日の三十日前の日から当該日までの間に、当該対応措置を引き続き行うことにつき、基本計画 及びその時までに行った対応措置の内容を記載した報告書を添えて国会に付議して、その承認を求めなければならない。


ただし、国会が閉会中の場合 又は衆議院が解散されている場合には、その後 最初に召集される国会においてその承認を求めなければならない。

4項

政府は、前項の場合において不承認の議決があったときは、遅滞なく、当該対応措置を終了させなければならない。

5項

前二項の規定は、国会の承認を得て対応措置を継続した後、更に二年を超えて当該対応措置を引き続き行おうとする場合について準用する。

1項

防衛大臣 又は その委任を受けた者は、基本計画に従い、第三条第二項の協力支援活動としての自衛隊に属する物品の提供を実施するものとする。

2項

防衛大臣は、基本計画に従い、第三条第二項の協力支援活動としての自衛隊による役務の提供について、実施要項を定め、これについて内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊等にその実施を命ずるものとする。

3項

防衛大臣は、前項の実施要項において、実施される必要のある役務の提供の具体的内容を考慮し、自衛隊の部隊等がこれを円滑かつ安全に実施することができるように当該協力支援活動を実施する区域(以下この条において「実施区域」という。)を指定するものとする。

4項

防衛大臣は、実施区域の全部 又は一部において、自衛隊の部隊等が第三条第二項の協力支援活動を円滑かつ安全に実施することが困難であると認める場合 又は外国の領域で実施する当該協力支援活動についての第二条第四項の同意が存在しなくなったと認める場合には、速やかに、その指定を変更し、又はそこで実施されている活動の中断を命じなければならない。

5項

第三条第二項の協力支援活動のうち我が国の領域外におけるものの実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の長 又はその指定する者は、当該協力支援活動を実施している場所 若しくはその近傍において戦闘行為が行われるに至った場合 若しくは付近の状況等に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合 又は当該部隊等の安全を確保するため必要と認める場合には、当該協力支援活動の実施を一時休止し 又は避難するなどして危険を回避しつつ、前項の規定による措置を待つものとする。

6項

第二項の規定は、同項の実施要項の変更(第四項の規定により実施区域を縮小する変更を除く)について準用する。

1項
防衛大臣は、基本計画に従い、捜索救助活動について、実施要項を定め、これについて内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊等にその実施を命ずるものとする。
2項

防衛大臣は、前項の実施要項において、実施される必要のある捜索救助活動の具体的内容を考慮し、自衛隊の部隊等がこれを円滑かつ安全に実施することができるように当該捜索救助活動を実施する区域(以下この条において「実施区域」という。)を指定するものとする。

3項

捜索救助活動を実施する場合において、戦闘参加者以外の遭難者が在るときは、これを救助するものとする。

4項

前条第四項の規定は、実施区域の指定の変更 及び活動の中断について準用する。

5項

前条第五項の規定は、我が国の領域外における捜索救助活動の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の長 又は その指定する者について準用する。


この場合において、

同項
前項」とあるのは、
次条第四項において準用する前項」と

読み替えるものとする。

6項

前項において準用する前条第五項の規定にかかわらず、既に遭難者が発見され、自衛隊の部隊等がその救助を開始しているときは、当該部隊等の安全が確保される限り、当該遭難者に係る捜索救助活動を継続することができる。

7項

第一項の規定は、同項の実施要項の変更(第四項において準用する前条第四項の規定により実施区域を縮小する変更を除く)について準用する。

8項

前条の規定は、捜索救助活動の実施に伴う第三条第三項後段の協力支援活動について準用する。

1項

防衛大臣は、対応措置の実施に当たっては、その円滑かつ効果的な推進に努めるとともに、自衛隊の部隊等の安全の確保に配慮しなければならない。

1項
防衛大臣は、対応措置を実施するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、その所管に属する物品の管理換え その他の協力を要請することができる。
2項

関係行政機関の長は、前項の規定による要請があったときは、その所掌事務に支障を生じない限度において、同項の協力を行うものとする。

1項

第七条第二項第八条第八項において準用する場合を含む。第五項 及び第六項において同じ。)の規定により協力支援活動としての自衛隊の役務の提供の実施を命ぜられ、又は第八条第一項の規定により捜索救助活動の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官は、自己 又は自己と共に現場に所在する他の自衛隊員(自衛隊法第二条第五項に規定する隊員をいう。第六項において同じ。)若しくはその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命 又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器(自衛隊が外国の領域で当該協力支援活動 又は当該捜索救助活動を実施している場合については、第四条第二項第三号ニ 又は第四号ニの規定により基本計画に定める装備に該当するものに限る。以下この条において同じ。)を使用することができる。

2項

前項の規定による武器の使用は、当該現場に上官が在るときは、その命令によらなければならない。


ただし、生命 又は身体に対する侵害 又は危難が切迫し、その命令を受けるいとまがないときは、この限りでない。

3項

第一項の場合において、当該現場に在る上官は、統制を欠いた武器の使用によりかえって生命 若しくは身体に対する危険 又は事態の混乱を招くこととなることを未然に防止し、当該武器の使用が同項 及び次項の規定に従い その目的の範囲内において適正に行われることを確保する見地から必要な命令をするものとする。

4項

第一項の規定による武器の使用に際しては、刑法明治四十年法律第四十五号第三十六条 又は第三十七条の規定に該当する場合を除いては、人に危害を与えてはならない。

5項

第七条第二項の規定により協力支援活動としての自衛隊の役務の提供の実施を命ぜられ、又は第八条第一項の規定により捜索救助活動の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官は、外国の領域に設けられた当該部隊等の宿営する宿営地(宿営のために使用する区域であって、囲障が設置されることにより他と区別されるものをいう。以下 この項において同じ。)であって諸外国の軍隊等の要員が共に宿営するものに対する攻撃があった場合において、当該宿営地以外にその近傍に自衛隊の部隊等の安全を確保することができる場所がないときは、当該宿営地に所在する者の生命 又は身体を防護するための措置をとる当該要員と共同して、第一項の規定による武器の使用をすることができる。


この場合において、同項から 第三項まで 及び次項の規定の適用については、

第一項
現場に所在する他の自衛隊員(自衛隊法第二条第五項に規定する隊員をいう。第六項において同じ。)若しくは その職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者」とあるのは
「その宿営する宿営地(第五項に規定する宿営地をいう。次項 及び第三項において同じ。)に所在する者」と、

その事態」とあるのは
第五項に規定する諸外国の軍隊等の要員による措置の状況をも踏まえ、その事態」と、

第二項 及び第三項
現場」とあるのは
「宿営地」と、

次項
自衛隊員」とあるのは
「自衛隊員(同法第二条第五項に規定する隊員をいう。)」と

する。

6項

自衛隊法第九十六条第三項の規定は、第七条第二項の規定により協力支援活動としての自衛隊の役務の提供(我が国の領域外におけるものに限る)の実施を命ぜられ、又は第八条第一項の規定により捜索救助活動(我が国の領域外におけるものに限る)の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官については、自衛隊員以外の者の犯した犯罪に関しては適用しない