家庭裁判所 及び高等裁判所は、当事者の同意を得て、いつでも、職権で、子の返還申立事件を家事調停に付することができる。
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律
第一節 子の返還申立事件に係る家事調停の手続等
裁判所は、前条の規定により事件を家事調停に付する場合においては、家事調停事件を自ら処理しなければならない。
ただし、家事調停事件を処理するために特に必要があると認めるときは、事件を当該裁判所以外の家庭裁判所(第三十二条第一項各号に定める家庭裁判所に限る。)に処理させることができる。
第四十三条第二項の規定は、前条の規定により事件を家事調停に付した場合の家事調停事件の手続における手続上の行為をすることができる能力について準用する。
前条の規定により事件を家事調停に付した場合において、当事者間に子の返還の合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、子の返還の合意に係る記載部分は、家事事件手続法第二百六十八条第一項の規定にかかわらず、確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有する。
前条の規定により事件を家事調停に付した場合の家事調停事件の手続においてされた家事事件手続法二百八十四条第一項の規定による審判(同法第二百七十四条第五項の規定により読み替えて適用される同法第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判に代わる裁判を含む。以下この項 及び第百四十七条において「調停に代わる審判」という。)について、同法第二百八十六条第一項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判(同法第二百七十四条第五項の規定により読み替えて適用される同法第二百八十七条に規定する異議の申立てを却下する審判に代わる裁判を含む。)が確定したときは、当該調停に代わる審判のうち子の返還を命ずる部分は、同法第二百八十七条の規定にかかわらず、確定した子の返還を命ずる終局決定と同一の効力を有する。
裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付したときは、当該裁判所は、家事調停事件が終了するまで子の返還申立事件の手続を中止することができる。
裁判所が第百四十四条の規定により事件を家事調停に付した場合において、調停が成立し、又は調停に代わる審判が確定したときは、子の返還申立事件について申立ての取下げがあったものとみなす。