裁判所は、前条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる事由のいずれかがあると認めるときは、子の返還を命じてはならない。
ただし、第一号から第三号まで 又は第五号に掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して常居所地国に子を返還することが子の利益に資すると認めるときは、子の返還を命ずることができる。
一
号
二
号
三
号
子の返還の申立てが当該連れ去りの時 又は当該留置の開始の時から一年を経過した後にされたものであり、かつ、子が新たな環境に適応していること。
申立人が当該連れ去りの時 又は当該留置の開始の時に子に対して現実に監護の権利を行使していなかったこと(当該連れ去り又は留置がなければ申立人が子に対して現実に監護の権利を行使していたと認められる場合を除く。)。
申立人が当該連れ去りの前 若しくは当該留置の開始の前にこれに同意し、又は当該連れ去りの後 若しくは当該留置の開始の後にこれを承諾したこと。
四
号
常居所地国に子を返還することによって、子の心身に害悪を及ぼすこと その他子を耐え難い状況に置くこととなる重大な危険があること。
五
号
子の年齢 及び発達の程度に照らして子の意見を考慮することが適当である場合において、子が常居所地国に返還されることを拒んでいること。
六
号
常居所地国に子を返還することが日本国における人権 及び基本的自由の保護に関する基本原則により認められないものであること。