地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律

# 平成二十年法律第四十号 #
略称 : 歴史まちづくり法 

第五章 歴史的風致維持向上地区計画

分類 法律
カテゴリ   都市計画
@ 施行日 : 令和三年六月十四日 ( 2021年 6月14日 )
@ 最終更新 : 令和三年法律第二十二号による改正
最終編集日 : 2024年 07月09日 12時11分


1項

次に掲げる条件に該当する土地の区域で、当該区域における歴史的風致の維持 及び向上と土地の合理的かつ健全な利用を図るため、その歴史的風致にふさわしい用途の建築物 その他の工作物(以下「建築物等」という。)の整備(既存の建築物等の用途を変更して当該歴史的風致にふさわしい用途の建築物等とすることを含む。)及び当該区域内の市街地の保全を総合的に行うことが必要であると認められるものについては、都市計画に歴史的風致維持向上地区計画を定めることができる。

一 号
現に相当数の建築物等の建築 又は用途の変更が行われつつあり、又は行われることが確実であると認められる土地の区域であること。
二 号
当該区域における歴史的風致の維持 及び向上に支障を来し、又は来すおそれがあると認められる土地の区域であること。
三 号
当該区域における歴史的風致の維持 及び向上と土地の合理的かつ健全な利用を図ることが、当該都市の健全な発展 及び文化の向上に貢献することとなる土地の区域であること。
四 号

都市計画法第八条第一項第一号に規定する用途地域が定められている土地の区域であること。

2項

歴史的風致維持向上地区計画については、都市計画法第十二条の四第二項に定める事項のほか、都市計画に、第一号に掲げる事項を定めるものとするとともに、第二号から第四号までに掲げる事項を定めるよう努めるものとする。

一 号

主として街区内の居住者、滞在者 その他の者の利用に供される道路、公園 その他の政令で定める施設(都市計画法第四条第六項に規定する都市計画施設(次条において単に「都市計画施設」という。)を除く。以下「地区施設」という。)及び建築物等の整備 並びに土地の利用に関する計画(以下この章において「歴史的風致維持向上地区整備計画」という。

二 号
当該歴史的風致維持向上地区計画の目標
三 号
当該区域の土地利用に関する基本方針
四 号
当該区域の整備 及び保全に関する方針
3項

前項第三号の基本方針には、次に掲げる事項を定めることができる。

一 号
次に掲げる建築物等のうち、当該区域における歴史的風致の維持 及び向上のため、当該区域において整備をすべき建築物等の用途 及び規模に関する事項
地域の伝統的な技術 又は技能により製造された工芸品、食品 その他の物品の販売を主たる目的とする店舗
地域の伝統的な特産物を主たる材料とする料理の提供を主たる目的とする飲食店
地域の伝統的な技術 又は技能による工芸品、食品 その他の物品の製造を主たる目的とする工場

地域の歴史上価値の高い美術品、地域の伝統的な技術 又は技能により製造された工芸品 その他これらに類する物品の展示を主たる目的とする展示場、博物館 又は美術館

その他地域における歴史的風致の維持 及び向上に寄与するものとして政令で定める建築物等
二 号

前号に規定する建築物等の形態 又は色彩 その他の意匠の制限に関する基本的事項

三 号

第一号に規定する建築物等の整備(既存の建築物等の用途を変更して同号に規定する建築物等とすることを含む。)をすべき土地の区域

4項
歴史的風致維持向上地区整備計画においては、次に掲げる事項を定めることができる。
一 号
地区施設の配置 及び規模
二 号

建築物等の用途の制限、建築物の容積率(延べ面積の敷地面積に対する割合をいう。)の最高限度 又は最低限度、建築物の建ぺい率(建築面積の敷地面積に対する割合をいう。)の最高限度、建築物の敷地面積 又は建築面積の最低限度、壁面の位置の制限、壁面後退区域(壁面の位置の制限として定められた限度の線と敷地境界線との間の土地の区域をいう。次条において同じ。)における工作物(建築物を除く次条において同じ。)の設置の制限、建築物等の高さの最高限度 又は最低限度、建築物等の形態 又は色彩 その他の意匠の制限、建築物の緑化率(都市緑地法第三十四条第二項に規定する緑化率をいう。)の最低限度 その他建築物等に関する事項で政令で定めるもの

三 号
現に存する樹林地、草地 その他の緑地で歴史的風致の維持 及び向上を図るとともに、良好な居住環境を確保するため必要なものの保全に関する事項
四 号

前三号に掲げるもののほか、土地の利用に関する事項で政令で定めるもの

5項
歴史的風致維持向上地区計画を都市計画に定めるに当たっては、次に掲げるところに従わなければならない。
一 号

土地利用に関する基本方針は、当該区域における歴史的風致の維持 及び向上が図られるように定めること。この場合において、都市計画法第八条第一項第一号に規定する第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域 及び田園住居地域については、当該区域の周辺の住宅に係る良好な住居の環境の保護に支障を来さないように定めること。

二 号
地区施設は、当該地区施設が、当該歴史的風致維持向上地区計画の区域 及びその周辺において定められている都市計画と相まって、当該区域における歴史的風致の維持 及び向上並びに良好な都市環境の形成に資するよう、必要な位置に適切な規模で配置すること。
三 号
歴史的風致維持向上地区整備計画における建築物等に関する事項は、当該歴史的風致維持向上地区計画の区域における歴史的風致にふさわしい用途、容積、高さ、配列 及び形態を備えた建築物等の整備により当該区域内において土地の合理的かつ健全な利用が行われることとなるよう定めること。
6項

歴史的風致維持向上地区計画を都市計画に定める際、当該歴史的風致維持向上地区計画の区域の全部 又は一部について歴史的風致維持向上地区整備計画を定めることができない特別の事情があるときは、当該区域の全部 又は一部について歴史的風致維持向上地区整備計画を定めることを要しない。


この場合において、歴史的風致維持向上地区計画の区域の一部について歴史的風致維持向上地区整備計画を定めるときは、当該歴史的風致維持向上地区計画については、歴史的風致維持向上地区整備計画の区域をも都市計画に定めなければならない。

1項

歴史的風致維持向上地区整備計画においては、当該歴史的風致維持向上地区整備計画の区域の特性に応じた高さ、配列 及び形態を備えた建築物を整備することが合理的な土地利用の促進を図るため特に必要であると認められるときは、壁面の位置の制限(道路(都市計画施設 又は地区施設である計画道路を含む。)に面する壁面の位置の制限を含むものに限る)、壁面後退区域における工作物の設置の制限(当該壁面後退区域において連続的に有効な空地を確保するため必要な工作物の設置の制限を含むものに限る)及び建築物の高さの最高限度を定めるものとする。

1項

歴史的風致維持向上地区計画の区域(歴史的風致維持向上地区整備計画が定められている区域に限る)内において、土地の区画形質の変更、建築物等の新築、改築 又は増築 その他政令で定める行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の三十日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計 又は施行方法、着手予定日 その他国土交通省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。


ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。

一 号
通常の管理行為、軽易な行為 その他の行為で政令で定めるもの
二 号
非常災害のため必要な応急措置として行う行為
三 号
国の機関 又は地方公共団体が行う行為
四 号

都市計画法第四条第十五項に規定する都市計画事業の施行として行う行為 又はこれに準ずる行為として政令で定める行為

五 号

都市計画法第二十九条第一項の許可を要する行為

六 号

前各号に掲げるもののほか、これらに類するものとして政令で定める行為

2項

前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項のうち国土交通省令で定める事項を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の三十日前までに、国土交通省令で定めるところにより、その旨を市町村長に届け出なければならない。

3項

市町村長は、第一項 又は前項の規定による届出があった場合において、その届出に係る行為が歴史的風致維持向上地区計画に適合しないと認めるときは、その届出をした者に対し、その届出に係る行為に関し設計の変更 その他の必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。


この場合において、地域における歴史的風致の維持 及び向上を図るため必要があると認められるときは、歴史的風致維持向上地区計画に定められた事項 その他の事項に関し、適切な措置を講ずることについて助言 又は指導をするものとする。