この法律は、子ども・若者が次代の社会を担い、その健やかな成長が我が国社会の発展の基礎をなすものであることにかんがみ、日本国憲法 及び児童の権利に関する条約の理念にのっとり、子ども・若者をめぐる環境が悪化し、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子ども・若者の問題が深刻な状況にあることを踏まえ、子ども・若者の健やかな育成、子ども・若者が社会生活を円滑に営むことができるようにするための支援 その他の取組(以下「子ども・若者育成支援」という。)について、その基本理念、国 及び地方公共団体の責務 並びに施策の基本となる事項を定めるとともに、子ども・若者育成支援推進本部を設置すること等により、他の関係法律による施策と相まって、総合的な子ども・若者育成支援のための施策(以下「子ども・若者育成支援施策」という。)を推進することを目的とする。
子ども・若者育成支援推進法
第一章 総則
子ども・若者育成支援は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
一人一人の子ども・若者が、健やかに成長し、社会とのかかわりを自覚しつつ、自立した個人としての自己を確立し、他者とともに次代の社会を担うことができるようになることを目指すこと。
子ども・若者について、個人としての尊厳が重んぜられ、不当な差別的取扱いを受けることがないようにするとともに、その意見を十分に尊重しつつ、その最善の利益を考慮すること。
子ども・若者が成長する過程においては、様々な社会的要因が影響を及ぼすものであるとともに、とりわけ良好な家庭的環境で生活することが重要であることを旨とすること。
子ども・若者育成支援において、家庭、学校、職域、地域 その他の社会のあらゆる分野におけるすべての構成員が、各々の役割を果たすとともに、相互に協力しながら一体的に取り組むこと。
子ども・若者の発達段階、 生活環境、特性その他の状況に応じてその健やかな成長が図られるよう、良好な社会環境(教育、医療 及び雇用に係る環境を含む。以下同じ。)の整備その他必要な配慮を行うこと。
教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用 その他の各関連分野における知見を総合して行うこと。
修学 及び就業のいずれもしていない 子ども・若者その他の子ども・若者であって、社会生活を円滑に営む上での困難を有するものに対しては、その困難の内容 及び程度に応じ、当該子ども・若者の意思を十分に尊重しつつ、必要な支援を行うこと。
国は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、子ども・若者育成支援施策を策定し、及び実施する責務を有する。
地方公共団体は、基本理念にのっとり、子ども・若者育成支援に関し、国 及び 他の地方公共団体との連携を図りつつ、その区域内における子ども・若者の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
政府は、子ども・若者育成支援施策を実施するため必要な法制上 又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。
政府は、毎年、国会に、我が国における子ども・若者の状況及び政府が講じた子ども・若者育成支援施策の実施の状況に関する報告を提出するとともに、これを公表しなければならない。