意匠法

# 昭和三十四年法律第百二十五号 #

第三十九条 # 損害の額の推定等

@ 施行日 : 令和六年一月一日 ( 2024年 1月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第五十一号

1項

意匠権者 又は専用実施権者が故意 又は過失により自己の意匠権 又は専用実施権を侵害した者に対し その侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した物品を譲渡したときは、次の各号に掲げる額の合計額を、意匠権者 又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。

一 号

意匠権者 又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物品の単位数量当たりの利益の額に、自己の意匠権 又は専用実施権を侵害した者が譲渡した物品の数量(次号において「譲渡数量」という。)のうち当該意匠権者 又は専用実施権者の実施の能力に応じた数量(同号において「実施相応数量」という。)を超えない部分(その全部 又は一部に相当する数量を当該意匠権者 又は専用実施権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量(同号において「特定数量」という。)を控除した数量)を乗じて得た額

二 号

譲渡数量のうち実施相応数量を超える数量 又は特定数量がある場合(意匠権者 又は専用実施権者が、当該意匠権者の意匠権についての専用実施権の設定 若しくは通常実施権の許諾 又は当該専用実施権者の専用実施権についての通常実施権の許諾をし得たと認められない場合を除く)におけるこれらの数量に応じた当該意匠権 又は専用実施権に係る登録意匠の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額

2項
意匠権者 又は専用実施権者が故意 又は過失により自己の意匠権 又は専用実施権を侵害した者に対し その侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、意匠権者 又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。
3項
意匠権者 又は専用実施権者は、故意 又は過失により自己の意匠権 又は専用実施権を侵害した者に対し、その登録意匠 又はこれに類似する意匠の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
4項

裁判所は、第一項第二号 及び前項に規定する登録意匠の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額を認定するに当たつては、意匠権者 又は専用実施権者が、自己の意匠権 又は専用実施権に係る登録意匠の実施の対価について、当該意匠権 又は専用実施権の侵害があつたことを前提として当該意匠権 又は専用実施権を侵害した者との間で合意をするとしたならば、当該意匠権者 又は専用実施権者が得ることとなるその対価を考慮することができる。

5項

第三項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。


この場合において、意匠権 又は専用実施権を侵害した者に故意 又は重大な過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。