感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

# 平成十年法律第百十四号 #
略称 : 感染症予防法  感染症法 

第七章 新型インフルエンザ等感染症

分類 法律
カテゴリ   厚生
@ 施行日 : 令和五年六月七日 ( 2023年 6月7日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第四十七号による改正
最終編集日 : 2023年 07月04日 16時48分


1項

厚生労働大臣は、新型インフルエンザ等感染症が発生したと認めたときは、速やかに、その旨 及び発生した地域を公表するとともに、当該感染症について、第十六条第一項の規定による情報の公表を行うほか、病原体の検査方法、症状、診断 及び治療 並びに感染の防止の方法、この法律の規定により実施する措置 その他の当該感染症の発生の予防 又はそのまん延の防止に必要な情報を新聞、放送、インターネット その他適切な方法により逐次公表しなければならない。

2項

前項の規定による情報の公表を行うに当たっては、個人情報の保護に留意しなければならない。

3項

厚生労働大臣は、第一項の規定により情報を公表した感染症について、国民の大部分が当該感染症に対する免疫を獲得したこと等により新型インフルエンザ等 感染症と認められなくなったときは、速やかに、その旨を公表しなければならない。

1項

都道府県知事は、新型インフルエンザ等感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者に対し、当該感染症の潜伏期間を考慮して定めた期間内において、当該者の体温 その他の健康状態について報告を求め、又は当該者の居宅 若しくはこれに相当する場所から外出しないこと その他の当該感染症の感染の防止に必要な協力を求めることができる。

2項

都道府県知事は、新型インフルエンザ等感染症(病状の程度を勘案して厚生労働省令で定めるものに限る)のまん延を防止するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の患者に対し、当該感染症の病原体を保有していないことが確認されるまでの間、当該者の体温 その他の健康状態について報告を求め、又は宿泊施設(当該感染症のまん延を防止するため適当なものとして厚生労働省令で定める基準を満たすものに限る第八項において同じ。)若しくは当該者の居宅 若しくはこれに相当する場所から外出しないこと その他の当該感染症の感染の防止に必要な協力を求めることができる。

3項

前二項の規定により報告を求められた者は、正当な理由がある場合を除き、これに応じなければならず、前二項の規定により協力を求められた者は、これに応ずるよう努めなければならない。

4項

都道府県知事は、第一項 又は第二項の規定により協力を求めるときは、必要に応じ、食事の提供、日用品の支給 その他日常生活を営むために必要なサービスの提供 又は物品の支給(次項において「食事の提供等」という。)に努めなければならない。

5項

都道府県知事は、前項の規定により、必要な食事の提供等を行った場合は、当該食事の提供等を受けた者 又はその保護者から、当該食事の提供等に要した実費を徴収することができる。

6項

都道府県知事は、第一項 又は第二項の規定により報告 又は協力を求めるときは、必要に応じ、市町村長に対し協力を求めるものとする。

7項

市町村長は、前項の規定による協力の求めに応ずるため必要があると認めるときは、当該都道府県知事に対し、新型インフルエンザ等感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者 又は第二項に規定する新型インフルエンザ等感染症の患者に関する情報 その他の情報の提供を求めることができる。

8項

都道府県知事は、第二項の規定により協力を求めるときは、当該都道府県知事が管轄する区域内における同項に規定する新型インフルエンザ等感染症の患者の病状、数 その他当該感染症の発生 及びまん延の状況を勘案して、必要な宿泊施設の確保に努めなければならない。

1項

厚生労働大臣は、第四十四条の二第一項の規定による公表を行ったときから同条第三項の規定による公表を行うまでの間、新型インフルエンザ等感染症の性質 及び当該感染症にかかった場合の病状の程度に係る情報 その他の必要な情報を収集するため必要があると認めるときは、感染症指定医療機関の管理者 その他厚生労働省令で定める者に対し、当該感染症の患者の検体 又は当該感染症の病原体の全部 又は一部の提出を要請することができる。

2項

厚生労働大臣は、前項の規定による要請をしたときは、その旨を当該要請を受けた者の所在地を管轄する都道府県知事(その所在地が保健所設置市等の区域内にある場合にあっては、その所在地を管轄する保健所設置市等の長。次項 及び第五項において同じ。)に通知するものとする。

3項

第一項の規定による要請を受けた者は、同項の検体 又は病原体の全部 又は一部を所持している又は所持することとなったときは、直ちに、都道府県知事にこれを提出しなければならない。

4項

第二項に規定する都道府県知事は、前項の規定により検体 又は病原体の提出を受けたときは、直ちに、厚生労働省令で定めるところにより、当該検体 又は病原体について検査を実施し、その結果を、電磁的方法により厚生労働大臣(保健所設置市等の長にあっては、厚生労働大臣 及び当該保健所設置市等の区域を管轄する都道府県知事)に報告しなければならない。

5項

厚生労働大臣は、自ら検査を実施する必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第三項の規定により提出を受けた検体 又は病原体の全部 又は一部の提出を求めることができる。

6項

第二十六条の三第一項 及び第三項の規定は、第一項の規定による要請に応じない者について準用する。


この場合において、

同条第一項
一類感染症、二類感染症 又は新型インフルエンザ等感染症」とあるのは
「新型インフルエンザ等感染症」と、

同項 及び同条第三項
当該各号に定める検体 又は感染症」とあるのは
「新型インフルエンザ等感染症の患者の検体 又は新型インフルエンザ等感染症」と

読み替えるものとする。

1項

厚生労働省令で定める感染症指定医療機関の医師は、第二十六条第二項において読み替えて準用する第十九条 又は第二十条の規定により入院している新型インフルエンザ等感染症の患者が退院し、又は死亡したときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該患者について厚生労働省令で定める事項を、電磁的方法により当該感染症指定医療機関の所在地を管轄する都道府県知事 及び厚生労働大臣(その所在地が保健所設置市等の区域内にある場合にあっては、その所在地を管轄する保健所設置市等の長、都道府県知事 及び厚生労働大臣)に届け出なければならない。

1項

国は、新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため、特に必要があると認められる場合は、二年以内の政令で定める期間に限り、政令で定めるところにより、当該感染症を一類感染症とみなして、第二十八条 及び第三十一条から第三十六条まで第十三章 及び第十四章の規定(第二十八条 又は第三十一条から第三十三条までの規定により実施される措置に係る部分に限る)の全部 又は一部を適用することができる。

2項

前項の政令で定められた期間は、当該感染症について同項の政令により適用することとされた規定を当該期間の経過後 なお適用することが特に必要であると認められる場合は、一年以内の政令で定める期間に限り延長することができる。当該延長に係る政令で定める期間の経過後、これを更に延長しようとするときも、同様とする。

3項

厚生労働大臣は、前二項の政令の制定 又は改廃の立案をしようとするときは、あらかじめ厚生科学審議会の意見を聴かなければならない。


ただし第一項の政令の制定 又は改廃につき緊急を要する場合で、あらかじめ、厚生科学審議会の意見を聴くいとまがないときは、この限りでない。

4項

前項ただし書に規定する場合において、厚生労働大臣は、速やかに、その立案した政令の内容について厚生科学審議会に報告しなければならない。

1項

厚生労働大臣は、第四十四条の二第一項の規定による公表を行ったときから同条第三項の規定による公表を行うまでの間、都道府県の区域を越えて新型インフルエンザ等感染症の予防に関する人材の確保 又は第二十六条第二項において読み替えて準用する第二十一条の規定による移送を行う必要がある場合 その他当該感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、都道府県知事 又は医療機関 その他の関係者に対し、都道府県知事 又は医療機関 その他の関係者が実施する当該感染症のまん延を防止するために必要な措置に関する総合調整を行うものとする。

2項

都道府県知事は、必要があると認めるときは、厚生労働大臣に対し、当該都道府県知事 及び他の都道府県知事 又は医療機関 その他の関係者について、前項の規定による総合調整を行うよう要請することができる。


この場合において、厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、同項の規定による総合調整を行わなければならない。

3項

第一項の場合において、都道府県知事 又は医療機関 その他の関係者は、同項の規定による総合調整に関し、厚生労働大臣に対して意見を申し出ることができる。

4項

厚生労働大臣は、第一項の規定による総合調整を行うため必要があると認めるときは、都道府県知事 又は医療機関 その他の関係者に対し、それぞれ当該都道府県知事 又は医療機関 その他の関係者が実施する新型インフルエンザ等感染症のまん延を防止するために必要な措置の実施の状況について報告 又は資料の提出を求めることができる。

5項

厚生労働大臣は、第一項の規定による総合調整を行うに当たっては、新型インフルエンザ等対策特別措置法平成二十四年法律第三十一号第十八条第一項に規定する基本的対処方針との整合性の確保を図らなければならない。

1項

都道府県知事は、新型インフルエンザ等感染症に関し、この法律 又はこの法律に基づく政令の規定による事務を行った場合は、厚生労働省令で定めるところにより、その内容を厚生労働大臣に報告しなければならない。

2項

前項の規定は、市町村長が、新型インフルエンザ等感染症に関し、第三十五条第五項において準用する同条第一項に規定する措置を当該職員に実施させた場合について準用する。