所得税法

# 昭和四十年法律第三十三号 #

第百六十五条の六 # 非居住者に係る外国税額の控除

@ 施行日 : 令和四年十月一日 ( 2022年 10月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第七十一号による改正

1項

恒久的施設を有する非居住者が各年において外国所得税(第九十五条第一項外国税額控除)に規定する外国所得税をいう。以下 この項 及び第六項において同じ。)を納付することとなる場合には、恒久的施設帰属所得に係る所得の金額につき第百六十五条第一項総合課税に係る所得税の課税標準、税額等の計算)の規定により準じて計算する第八十九条から第九十二条まで税率 及び配当控除)の規定 及び前条の規定により計算したその年分の所得税の額のうち、その年において生じた国外所得金額(恒久的施設帰属所得に係る所得の金額のうち国外源泉所得に係るものとして政令で定める金額をいう。)に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額(以下この条において「控除限度額」という。)を限度として、その外国所得税の額(第百六十一条第一項第一号国内源泉所得)に掲げる国内源泉所得につき課される外国所得税の額に限るものとし、非居住者の通常行われる取引と認められないものとして政令で定める取引に基因して生じた所得に対して課される外国所得税の額 その他政令で定める外国所得税の額を除く。以下この条において「控除対象外国所得税の額」という。)をその年分の所得税の額から控除する。

2項

恒久的施設を有する非居住者が各年において納付することとなる控除対象外国所得税の額がその年の控除限度額と地方税控除限度額として政令で定める金額との合計額を超える場合において、その年の前年以前三年内の各年(次項において「前三年以内の各年」という。)の控除限度額のうちその年に繰り越される部分として政令で定める金額(以下 この項において「繰越控除限度額」という。)があるときは、政令で定めるところにより、その繰越控除限度額を限度として、その超える部分の金額をその年分の所得税の額から控除する。

3項

恒久的施設を有する非居住者が各年において納付することとなる控除対象外国所得税の額がその年の控除限度額に満たない場合において、その前三年以内の各年において納付することとなつた控除対象外国所得税の額のうちその年に繰り越される部分として政令で定める金額(以下 この項において「繰越控除対象外国所得税額」という。)があるときは、政令で定めるところにより、当該控除限度額からその年において納付することとなる控除対象外国所得税の額を控除した残額を限度として、その繰越控除対象外国所得税額をその年分の所得税の額から控除する。

4項

第一項に規定する国外源泉所得とは、第百六十一条第一項第一号に掲げる所得のうち次のいずれかに該当するものをいう。

一 号
国外にある資産の運用 又は保有により生ずる所得
二 号
国外にある資産の譲渡により生ずる所得として政令で定めるもの
三 号

国外において人的役務の提供を主たる内容とする事業で政令で定めるものを行う者が受ける当該人的役務の提供に係る対価

四 号

国外にある不動産、国外にある不動産の上に存する権利 若しくは国外における採石権の貸付け(地上権 又は採石権の設定 その他 他人に不動産、不動産の上に存する権利 又は採石権を使用させる一切の行為を含む。)、国外における租鉱権の設定 又は非居住者 若しくは外国法人に対する船舶 若しくは航空機の貸付けによる対価

五 号

第二十三条第一項利子所得)に規定する利子等 及び これに相当するもののうち次に掲げるもの

外国の国債 若しくは地方債 又は外国法人の発行する債券の利子

国外にある営業所に預け入れられた預金 又は貯金(第二条第一項第十号定義)に規定する政令で定めるものに相当するものを含む。)の利子

国外にある営業所に信託された合同運用信託 若しくはこれに相当する信託、 公社債投資信託 又は公募公社債等運用投資信託 若しくはこれに相当する信託の収益の分配

六 号

第二十四条第一項配当所得)に規定する配当等 及び これに相当するもののうち次に掲げるもの

外国法人から受ける第二十四条第一項に規定する剰余金の配当、利益の配当 若しくは剰余金の分配又は同項に規定する金銭の分配 若しくは基金利息に相当するもの

国外にある営業所に信託された投資信託(公社債投資信託 並びに公募公社債等運用投資信託 及びこれに相当する信託を除く) 又は特定受益証券発行信託 若しくはこれに相当する信託の収益の分配

七 号

国外において業務を行う者に対する貸付金(これに準ずるものを含む。)で当該業務に係るものの利子(債券の買戻 又は売戻条件付売買取引として政令で定めるものから生ずる差益として政令で定めるものを含む。

八 号

国外において業務を行う者から受ける次に掲げる使用料 又は対価で当該業務に係るもの

工業所有権 その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式 若しくはこれらに準ずるものの使用料 又は その譲渡による対価

著作権(出版権 及び著作隣接権 その他これに準ずるものを含む。)の使用料 又は その譲渡による対価

機械、装置 その他政令で定める用具の使用料
九 号

国外において行う事業の広告宣伝のための賞金として政令で定めるもの

十 号

国外にある営業所 又は国外において契約の締結の代理をする者を通じて締結した保険業法第二条第六項(定義)に規定する外国保険業者の締結する保険契約 その他の年金に係る契約で政令で定めるものに基づいて受ける年金(年金の支払の開始の日以後に当該年金に係る契約に基づき分配を受ける剰余金 又は割戻しを受ける割戻金 及び当該契約に基づき年金に代えて支給される一時金を含む。

十一 号
次に掲げる給付補塡金、利息、利益 又は差益

第百七十四条第三号内国法人に係る所得税の課税標準)に掲げる給付補塡金のうち国外にある営業所が受け入れた定期積金に係るもの

第百七十四条第四号に掲げる給付補塡金に相当するもののうち国外にある営業所が受け入れた同号に規定する掛金に相当するものに係るもの

第百七十四条第五号に掲げる利息に相当するもののうち国外にある営業所を通じて締結された同号に規定する契約に相当するものに係るもの

第百七十四条第六号に掲げる利益のうち国外にある営業所を通じて締結された同号に規定する契約に係るもの

第百七十四条第七号に掲げる差益のうち国外にある営業所が受け入れた預金 又は貯金に係るもの

第百七十四条第八号に掲げる差益に相当するもののうち国外にある営業所 又は国外において契約の締結の代理をする者を通じて締結された同号に規定する契約に相当するものに係るもの

十二 号

国外において事業を行う者に対する出資につき、匿名組合契約(これに準ずる契約として政令で定めるものを含む。)に基づいて受ける利益の分配

十三 号

前各号に掲げるもののほか その源泉が国外にある所得として政令で定めるもの

5項

租税条約(第二条第一項第八号の四ただし書に規定する条約をいう。以下 この項において同じ。)において国外源泉所得(第一項に規定する国外源泉所得をいう。以下 この項において同じ。)につき前項の規定と異なる定めがある場合には、その租税条約の適用を受ける非居住者については、同項の規定にかかわらず、国外源泉所得は、その異なる定めがある限りにおいて、その租税条約に定めるところによる。

6項

非居住者が納付することとなつた外国所得税の額につき第一項から 第三項までの規定の適用を受けた年の翌年以後七年内の各年において当該外国所得税の額が減額された場合におけるその減額されることとなつた日の属する年のこれらの規定の適用については、政令で定めるところによる。

7項

第九十五条第十項 及び第十一項の規定は、非居住者が納付することとなる控除対象外国所得税の額につき、第一項から 第三項までの規定による控除をする場合について準用する。


この場合において、

同条第十項
第一項の規定は」とあるのは
第百六十五条の六第一項非居住者に係る外国税額の控除)の規定は」と、

に第一項」とあるのは
「に同条第一項」と、

、控除対象外国所得税の額」とあるのは
「、同項に規定する控除対象外国所得税の額(以下 この項 及び次項において「控除対象外国所得税の額」という。)」と、

、第一項」とあるのは
「、同条第一項」と、

同条第十一項
第二項 及び第三項」とあるのは
第百六十五条の六第二項 及び第三項」と、

、繰越控除限度額 又は繰越控除対象外国所得税額」とあるのは
「、同条第二項に規定する繰越控除限度額(以下 この項において「繰越控除限度額」という。)又は同条第三項に規定する繰越控除対象外国所得税額(以下 この項において「繰越控除対象外国所得税額」という。)」と、

申告書等に当該各年の控除限度額」とあるのは
「申告書等に当該各年の控除限度額(同条第一項に規定する控除限度額をいう。以下 この項において同じ。)」と

読み替えるものとする。

8項

第一項から 第三項までの規定による控除をすべき金額は、第百六十五条第一項の規定により準じて計算する課税総所得金額に係る所得税の額、課税山林所得金額に係る所得税の額 又は課税退職所得金額に係る所得税の額から 順次控除する。

9項

前三項に定めるもののほか第一項から 第五項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。