更生保護法

# 平成十九年法律第八十八号 #

第八十五条 # 更生緊急保護

@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第五十二号による改正

1項

この節において「更生緊急保護」とは、次に掲げる者が、刑事上の手続 又は保護処分による身体の拘束を解かれた後、親族からの援助を受けることができず、若しくは公共の衛生福祉に関する機関 その他の機関から医療、宿泊、職業 その他の保護を受けることができない場合 又はこれらの援助 若しくは保護のみによっては改善更生することができないと認められる場合に、緊急に、その者に対し、金品を給与し、又は貸与し、宿泊場所を供与し、宿泊場所への帰住、医療、療養、就職 又は教養訓練を助け、職業を補導し、社会生活に適応させるために必要な生活指導を行い、生活環境の改善 又は調整を図ること等により、その者が進んで法律を守る善良な社会の一員となることを援護し、その速やかな改善更生を保護することをいう。

一 号

懲役、禁錮 又は拘留の刑の執行を終わった者

二 号

懲役、禁錮 又は拘留の刑の執行の免除を得た者

三 号

懲役 又は禁錮につき刑の全部の執行猶予の言渡しを受け、その裁判が確定するまでの者

四 号

前号に掲げる者のほか、懲役 又は禁錮につき刑の全部の執行猶予の言渡しを受け、保護観察に付されなかった者

五 号

懲役 又は禁錮につき刑の一部の執行猶予の言渡しを受け、その猶予の期間中保護観察に付されなかった者であって、その刑のうち執行が猶予されなかった部分の期間の執行を終わったもの

六 号
検察官が直ちに訴追を必要としないと認めた者
七 号

罰金 又は科料の言渡しを受けた者

八 号

労役場から出場し、又は仮出場を許された者

九 号

少年院から退院し、又は仮退院を許された者(保護観察に付されている者を除く

2項

更生緊急保護は、その対象となる者の改善更生のために必要な限度で、国の責任において、行うものとする。

3項

更生緊急保護は、保護観察所の長が、自ら行い、又は更生保護事業法の規定により更生保護事業を営む者 その他の適当な者に委託して行うものとする。

4項

更生緊急保護は、その対象となる者が刑事上の手続 又は保護処分による身体の拘束を解かれた後六月を超えない範囲内において、その意思に反しない場合に限り、行うものとする。


ただし、その者の改善更生を保護するため特に必要があると認められるときは、第一項の措置のうち、金品の給与 又は貸与 及び宿泊場所の供与については更に六月を、その他のものについては更に一年六月を、それぞれ超えない範囲内において、これを行うことができる。

5項

更生緊急保護を行うに当たっては、その対象となる者が公共の衛生福祉に関する機関 その他の機関から必要な保護を受けることができるようあっせんするとともに、更生緊急保護の効率化に努めて、その期間の短縮と費用の節減を図らなければならない。

6項

更生緊急保護に関し職業のあっせんの必要があると認められるときは、公共職業安定所は、更生緊急保護を行う者の協力を得て、職業安定法昭和二十二年法律第百四十一号)の規定に基づき、更生緊急保護の対象となる者の能力に適当な職業をあっせんすることに努めるものとする。