民事訴訟の本案の権利の実現を保全するための仮差押え 及び係争物に関する仮処分 並びに民事訴訟の本案の権利関係につき仮の地位を定めるための仮処分(以下「民事保全」と総称する。)については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。
民事保全法
第一章 総則
民事保全の命令(以下「保全命令」という。)は、申立てにより、裁判所が行う。
民事保全の執行(以下「保全執行」という。)は、申立てにより、裁判所 又は執行官が行う。
裁判所が行う保全執行に関してはこの法律の規定により執行処分を行うべき裁判所をもって、執行官が行う保全執行の執行処分に関してはその執行官の所属する地方裁判所をもって保全執行裁判所とする。
民事保全の手続に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
この法律の規定により担保を立てるには、担保を立てるべきことを命じた裁判所 又は保全執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に金銭 又は担保を立てるべきことを命じた裁判所が相当と認める有価証券(社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第二百七十八条第一項に規定する振替債を含む。)を供託する方法 その他最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。
ただし、当事者が特別の契約をしたときは、その契約による。
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第七十七条、第七十九条 及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。
保全命令に関する手続 又は保全執行に関し裁判所が行う手続について、利害関係を有する者は、裁判所書記官に対し、事件の記録の閲覧 若しくは謄写、その正本、謄本 若しくは抄本の交付 又は事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。
ただし、債権者以外の者にあっては、保全命令の申立てに関し口頭弁論 若しくは債務者を呼び出す審尋の期日の指定があり、又は債務者に対する保全命令の送達があるまでの間は、この限りでない。
この法律に規定する裁判所の管轄は、専属とする。
特別の定めがある場合を除き、民事保全の手続に関しては、その性質に反しない限り、民事訴訟法第一編から第四編までの規定(同法第八十七条の二の規定を除く。)を準用する。
この法律に定めるもののほか、民事保全の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。