民法

# 明治二十九年法律第八十九号 #

第六章 地役権

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第百二号による改正
最終編集日 : 2024年 04月11日 15時12分


1項

地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。


ただし第三章第一節所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る)に違反しないものでなければならない。

1項

地役権は、要役地(地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。


ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。

2項

地役権は、要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的とすることができない。

1項

土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために 又はその土地について存する地役権を消滅させることができない

2項

土地の分割 又はその一部の譲渡の場合には、地役権は、その各部のために 又はその各部について存する。


ただし、地役権がその性質により土地の一部のみに関するときは、この限りでない。

1項

地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。

1項

土地の共有者の一人が時効によって地役権を取得したときは、他の共有者も、これを取得する。

2項

共有者に対する時効の更新は、地役権を行使する各共有者に対してしなければ、その効力を生じない。

3項

地役権を行使する共有者が数人ある場合には、その一人について時効の完成猶予の事由があっても、時効は、各共有者のために進行する。

1項

用水地役権の承役地(地役権者以外の者の土地であって、要役地の便益に供されるものをいう。以下同じ。)において、水が要役地 及び承役地の需要に比して不足するときは、その各土地の需要に応じて、まずこれを生活用に供し、その残余を他の用途に供するものとする。


ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。

2項

同一の承役地について数個の用水地役権を設定したときは、後の地役権者は、前の地役権者の水の使用を妨げてはならない。

1項

設定行為 又は設定後の契約により、承役地の所有者が自己の費用で地役権の行使のために工作物を設け、又はその修繕をする義務を負担したときは、承役地の所有者の特定承継人も、その義務を負担する。

1項

承役地の所有者は、いつでも、地役権に必要な土地の部分の所有権を放棄して地役権者に移転し、これにより前条の義務を免れることができる。

1項

承役地の所有者は、地役権の行使を妨げない範囲内において、その行使のために承役地の上に設けられた工作物を使用することができる。

2項

前項の場合には、承役地の所有者は、その利益を受ける割合に応じて、工作物の設置 及び保存の費用を分担しなければならない。

1項

承役地の占有者が取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、地役権は、これによって消滅する。

1項

前条の規定による地役権の消滅時効は、地役権者がその権利を行使することによって中断する。

1項

第百六十六条第二項に規定する消滅時効の期間は、継続的でなく行使される地役権については最後の行使の時から起算し、継続的に行使される地役権についてはその行使を妨げる事実が生じた時から起算する。

1項

要役地が数人の共有に属する場合において、その一人のために時効の完成猶予 又は更新があるときは、その完成猶予 又は更新は、他の共有者のためにも、その効力を生ずる。

1項

地役権者がその権利の一部を行使しないときは、その部分のみが時効によって消滅する。

1項

共有の性質を有しない入会権については、各地方の慣習に従うほか、この章の規定を準用する。