消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律

# 平成二十五年法律第九十六号 #
略称 : 集団訴訟法  消費者裁判手続特例法  消費者訴訟法 

第一節 共通義務確認訴訟に係る民事訴訟手続の特例

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2024年 03月25日 08時11分


1項

特定適格消費者団体は、事業者が消費者に対して負う金銭の支払義務であって、消費者契約に関する次に掲げる請求(これらに附帯する利息、損害賠償、違約金 又は費用の請求を含む。)に係るものについて、共通義務確認の訴えを提起することができる。

一 号
契約上の債務の履行の請求
二 号
不当利得に係る請求
三 号
契約上の債務の不履行による損害賠償の請求
四 号

不法行為に基づく損害賠償の請求(民法明治二十九年法律第八十九号)の規定によるものに限る

2項

次に掲げる損害については、前項第三号 及び第四号に掲げる請求に係る金銭の支払義務についての共通義務確認の訴えを提起することができない

一 号

契約上の債務の不履行 又は不法行為により、物品、権利 その他の消費者契約の目的となるもの(役務を除く次号において同じ。以外の財産が滅失し、又は損傷したことによる損害

二 号

消費者契約の目的となるものの提供があるとすればその処分 又は使用により得るはずであった利益を喪失したことによる損害

三 号

契約上の債務の不履行 又は不法行為により、消費者契約による製造、加工、修理、運搬 又は保管に係る物品 その他の消費者契約の目的となる役務の対象となったもの以外の財産が滅失し、又は損傷したことによる損害

四 号

消費者契約の目的となる役務の提供があるとすれば当該役務を利用すること 又は当該役務の対象となったものを処分し、若しくは使用することにより得るはずであった利益を喪失したことによる損害

五 号
人の生命 又は身体を害されたことによる損害
六 号
精神上の苦痛を受けたことによる損害
3項

次の各号に掲げる請求に係る金銭の支払義務についての共通義務確認の訴えについては、当該各号に定める者を被告とする。

一 号

第一項第一号から第三号までに掲げる請求

消費者契約の相手方である事業者

二 号

第一項第四号に掲げる請求

消費者契約の相手方である事業者 若しくはその債務の履行をする事業者 又は消費者契約の締結について勧誘をし、当該勧誘をさせ、若しくは当該勧誘を助長する事業者

4項

裁判所は、共通義務確認の訴えに係る請求を認容する判決をしたとしても、事案の性質、当該判決を前提とする簡易確定手続において予想される主張 及び立証の内容 その他の事情を考慮して、当該簡易確定手続において対象債権の存否 及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であると認めるときは、共通義務確認の訴えの全部 又は一部を却下することができる。

1項

共通義務確認の訴えは、訴訟の目的の価額の算定については、財産権上の請求でない請求に係る訴えとみなす。

1項

共通義務確認の訴えの訴状には、対象債権 及び対象消費者の範囲を記載して、請求の趣旨 及び原因を特定しなければならない。

1項

共通義務確認訴訟については、民事訴訟法平成八年法律第百九号第五条第五号に係る部分を除く)の規定は、適用しない

2項

次の各号に掲げる請求に係る金銭の支払義務についての共通義務確認の訴えは、当該各号に定める地を管轄する地方裁判所にも提起することができる。

一 号

第三条第一項第一号から第三号までに掲げる請求

義務履行地

二 号

第三条第一項第四号に掲げる請求

不法行為があった地

3項

対象消費者の数が五百人以上であると見込まれるときは、民事訴訟法第四条第一項 若しくは第五条第五号 又は前項の規定による管轄裁判所の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも、共通義務確認の訴えを提起することができる。

4項

対象消費者の数が千人以上であると見込まれるときは、東京地方裁判所 又は大阪地方裁判所にも、共通義務確認の訴えを提起することができる。

5項

民事訴訟法第四条第一項第五条第五号第十一条第一項 若しくは第十二条 又は前三項の規定により二以上の地方裁判所が管轄権を有するときは、共通義務確認の訴えは、先に訴えの提起があった地方裁判所が管轄する。


ただし、その地方裁判所は、著しい損害 又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、申立てにより 又は職権で、当該共通義務確認の訴えに係る訴訟の全部 又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。

6項

裁判所は、共通義務確認訴訟がその管轄に属する場合においても、他の裁判所に事実上 及び法律上同種の原因に基づく請求を目的とする共通義務確認訴訟が係属している場合において、当事者の住所 又は所在地、尋問を受けるべき証人の住所、争点 又は証拠の共通性 その他の事情を考慮して相当と認めるときは、申立てにより 又は職権で、当該共通義務確認訴訟の全部 又は一部について、当該他の裁判所に移送することができる。

1項

請求の内容 及び相手方が同一である共通義務確認訴訟が数個同時に係属するときは、その弁論 及び裁判は、併合してしなければならない。

2項

前項に規定する場合には、当事者は、その旨を裁判所に申し出なければならない。

1項

消費者は、民事訴訟法第四十二条の規定にかかわらず、共通義務確認訴訟の結果について利害関係を有する場合であっても、特定適格消費者団体を補助するため、その共通義務確認訴訟に参加することができない

1項

共通義務確認訴訟の確定判決は、民事訴訟法第百十五条第一項の規定にかかわらず、当該共通義務確認訴訟の当事者以外の特定適格消費者団体 及び当該共通義務確認訴訟に係る対象消費者の範囲に属する第三十条第二項第一号に規定する届出消費者に対してもその効力を有する。

1項

特定適格消費者団体は、共通義務確認訴訟において、当該共通義務確認訴訟の目的である第二条第四号に規定する義務の存否について、和解をすることができる。

1項

共通義務確認の訴えが提起された場合において、原告 及び被告が共謀して共通義務確認の訴えに係る対象消費者の権利を害する目的をもって判決をさせたときは、他の特定適格消費者団体は、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。