消費者の財産的被害等の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律

# 平成二十五年法律第九十六号 #
略称 : 集団訴訟法  消費者裁判手続特例法  消費者訴訟法 

第四目 対象債権等の確定

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第六十三号による改正
最終編集日 : 2024年 05月11日 11時26分


1項
簡易確定手続開始決定に係る対象債権等については、簡易確定手続申立団体に限り、届け出ることができる。
2項

前項の規定による届出(以下「債権届出」という。)は、届出期間内に、次に掲げる事項を記載した書面(以下この節において「届出書」という。)を簡易確定手続開始決定をした裁判所に提出してしなければならない。

一 号
対象債権等について債権届出をする簡易確定手続申立団体、相手方 及び届出消費者(対象債権等として裁判所に債権届出があった債権(以下「届出債権」という。)の債権者である消費者をいう。以下同じ。)並びにこれらの法定代理人
二 号
請求の趣旨 及び原因(請求の原因については、共通義務確認訴訟において認められた義務 又は和解金債権に係る事実上及び法律上の原因を前提とするものに限る。)
三 号

前二号に掲げるもののほか、最高裁判所規則で定める事項

3項

簡易確定手続申立団体は、債権届出の時に対象消費者が事業者等に対して対象債権に基づく訴えを提起するとすれば民事訴訟法第一編第二章第一節の規定により日本の裁判所が管轄権を有しないときは、第一項の規定にかかわらず、当該対象債権については、債権届出をすることができない

4項
簡易確定手続申立団体は、対象消費者等が提起したその有する対象債権等に基づく訴訟が裁判所に係属しているときは、第一項の規定にかかわらず、当該対象債権等については、債権届出をすることができない。
1項
簡易確定手続申立団体は、対象債権等について債権届出をし、及び当該対象債権等について簡易確定手続を追行するには、当該対象債権等に係る対象消費者等の授権がなければならない。
2項
前項の対象消費者等は、簡易確定手続申立団体のうちから一の簡易確定手続申立団体を限り、同項の授権をすることができる。
3項
第一項の授権をした対象消費者等は、当該授権を取り消すことができる。
4項
前項の規定による第一項の授権の取消しは、当該授権をした対象消費者等 又は当該授権を得た簡易確定手続申立団体から相手方に通知しなければ、その効力を生じない。
5項
第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体の第七十一条第一項に規定する特定認定が、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号 若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたときは、当該授権は、その効力を失う。
6項

簡易確定決定があるまでに簡易確定手続申立団体が届出債権について第一項の授権を欠いたとき(前項の規定により当該授権がその効力を失ったときを除く)は、当該届出債権については、債権届出の取下げがあったものとみなす。

7項
債権届出に係る簡易確定手続申立団体(以下「債権届出団体」という。)の第七十一条第一項に規定する特定認定が、簡易確定決定があるまでに、第八十条第一項各号に掲げる事由により失効し、又は第九十二条第一項各号 若しくは第二項各号に掲げる事由により取り消されたときは、届出消費者は、第二項の規定にかかわらず、第九十三条第六項の規定による公示がされた後一月の不変期間内に、同条第一項の規定による指定を受けた特定適格消費者団体に第一項の授権をすることができる。
8項

前項の届出消費者が同項の期間内に第一項の授権をしないときは、その届出債権については、債権届出の取下げがあったものとみなす。

9項

簡易確定決定があった後に、届出消費者が第三項の規定により第一項の授権を取り消したときは、当該届出消費者は、更に簡易確定手続申立団体に同項授権をすることができない

1項

簡易確定手続申立団体は、前条第一項の授権に先立ち、当該授権をしようとする者に対し、内閣府令で定めるところにより、被害回復裁判手続の概要 及び事案の内容 その他内閣府令で定める事項について、これを記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供して説明をしなければならない。

1項

簡易確定手続申立団体は、やむを得ない理由があるときを除いては、簡易確定手続授権契約(対象消費者等が第三十四条第一項の授権をし、簡易確定手続申立団体が対象債権等について債権届出をすること 及び簡易確定手続を追行することを約する契約をいう。以下同じ。)の締結を拒絶してはならない。

2項

第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、やむを得ない理由があるときを除いては、簡易確定手続授権契約を解除してはならない。

1項

第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、当該授権をした対象消費者等のために、公平かつ誠実に債権届出、簡易確定手続の追行 及び第二条第九号ロに規定する民事執行の手続の追行(当該授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。)並びにこれらに伴い取得した金銭 その他の財産の管理をしなければならない。

2項

第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、当該授権をした対象消費者等に対し、善良な管理者の注意をもって前項に規定する行為をしなければならない。

1項

裁判所は、第三十三条第二項の規定による届出書の提出を受けたときは、次条第一項 又は第六十九条第一項の規定により債権届出を却下する場合を除き、遅滞なく、当該届出書を相手方に送達しなければならない。

1項

裁判所は、債権届出が不適法であると認めるとき、又は届出書の送達に必要な費用の予納がないときは、決定で、当該債権届出を却下しなければならない。

2項

前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

債権届出団体は、簡易確定手続において、届出債権について、和解をすることができる。

1項

債権届出があったときは、当該債権届出に係る対象債権の時効の完成猶予 及び更新に関しては、簡易確定手続の前提となる共通義務確認の訴えを提起し、又は民事訴訟法第百四十三条第二項の書面を当該共通義務確認の訴えが係属していた裁判所に提出した時に、裁判上の請求があったものとみなす。

1項

債権届出団体は、届出期間内に限り、当該債権届出の内容を変更することができる。

1項

債権届出は、簡易確定決定に対し適法な異議の申立てがあるまで、その全部 又は一部を取り下げることができる。


ただし、簡易確定決定があった後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。

2項

民事訴訟法第二百六十一条第三項 及び第二百六十二条第一項の規定は、前項の規定による債権届出の取下げについて準用する。

1項

裁判所書記官は、届出債権について、届出消費者表を作成しなければならない。

2項

前項の届出消費者表には、各届出債権について、その内容 その他最高裁判所規則で定める事項を記載しなければならない。

3項

届出消費者表の記載に誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでもその記載を更正する処分をすることができる。

1項

相手方は、届出期間内に債権届出があった届出債権の内容について、認否期間内に、認否をしなければならない。

2項

認否期間内に前項の認否(以下「届出債権の認否」という。)がないときは、相手方において、届出期間内に債権届出があった届出債権の内容の全部を認めたものとみなす。

3項

相手方が、認否期間内に届出債権の内容の全部を認めたときは、当該届出債権の内容は、確定する。

4項

裁判所書記官は、届出債権の認否の内容を届出消費者表に記載しなければならない。

5項

第三項の規定により確定した届出債権については、届出消費者表の記載は、確定判決と同一の効力を有する。


この場合において、債権届出団体は、確定した届出債権について、相手方に対し、届出消費者表の記載により強制執行をすることができる。

1項

債権届出団体は、前条第三項の規定により届出債権の内容が確定したときを除き、届出債権の認否に対し、認否期間の末日から一月の不変期間内に、裁判所に届出債権の認否を争う旨の申出(以下単に「認否を争う旨の申出」という。)をすることができる。

2項

裁判所は、認否を争う旨の申出が不適法であると認めるときは、決定で、これを却下しなければならない。

3項

前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

4項

裁判所書記官は、認否を争う旨の申出の有無を届出消費者表に記載しなければならない。

1項

裁判所は、適法な認否を争う旨の申出があったときは、第三十九条第一項 又は第六十九条第一項の規定により債権届出を却下する場合を除き簡易確定決定をしなければならない。

2項

裁判所は、簡易確定決定をする場合には、当事者双方を審尋しなければならない。

3項

簡易確定決定は、主文 及び理由の要旨を記載した決定書を作成してしなければならない。

4項

届出債権の支払を命ずる簡易確定決定(第五十九条 及び第八十九条第一項第二号において「届出債権支払命令」という。)については、裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより 又は職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をすることができることを宣言することができる。

5項

第三項の決定書は、当事者に送達しなければならない。


この場合においては、簡易確定決定の効力は、当事者に送達された時に生ずる。

1項

簡易確定決定のための審理においては、証拠調べは、書証に限りすることができる。

2項

文書の提出 又は対照の用に供すべき筆跡 若しくは印影を備える物件の提出の命令は、することができない

3項

前二項の規定は、裁判所が職権で調査すべき事項には、適用しない

1項

当事者は、簡易確定決定に対し、第四十七条第五項の規定による送達を受けた日から一月の不変期間内に、当該簡易確定決定をした裁判所に異議の申立てをすることができる。

2項

届出消費者は、簡易確定決定に対し、債権届出団体が第四十七条第五項の規定による送達を受けた日から一月の不変期間内に、当該簡易確定決定をした裁判所に異議の申立てをすることができる。

3項

裁判所は、異議の申立てが不適法であると認めるときは、決定で、これを却下しなければならない。

4項

前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

5項

適法な異議の申立てがあったときは、簡易確定決定は、仮執行の宣言を付したものを除き、その効力を失う。

6項

適法な異議の申立てがないときは、簡易確定決定は、確定判決と同一の効力を有する。

7項

民事訴訟法第三百五十八条 及び第三百六十条の規定は、第一項 及び第二項の異議について準用する。

1項

適法な認否を争う旨の申出がないときは、届出債権の内容は、届出債権の認否の内容により確定する。

2項

前項の規定により確定した届出債権については、届出消費者表の記載は、確定判決と同一の効力を有する。


この場合において、債権届出団体は、確定した届出債権について、相手方に対し、届出消費者表の記載により強制執行をすることができる。