特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律

# 令和五年法律第八十九号 #
略称 : 特定不法行為等被害者特例法 

第三条 # 支援センターの業務の特例


1項

支援センターは、総合法律支援法第三十条に規定する業務のほか、次に掲げる業務(以下「特定被害者法律援助事業」という。)を行う。

一 号

特定被害者(特定不法行為等に係る被害者であって、国民 又は我が国に住所を有し適法に在留する者をいう。以下この条において同じ。)をその資力の状況にかかわらず援助する次に掲げる業務

特定不法行為等に関する民事事件手続(裁判所における民事訴訟手続、民事調停手続、民事保全手続、強制執行手続 その他の民事事件に関する手続をいう。以下 この号において同じ。)であって、特定被害者を当事者とするもの( 及び第四項において「特定被害者に係る民事事件手続」という。)の準備 及び追行(民事事件手続に先立つ和解の交渉で特に必要と認められるものを含む。同項において同じ。)のため代理人に支払うべき報酬 及びその代理人が行う事務の処理に必要な実費の立替えをすること。

に規定する立替えに代え、に規定する報酬 及び実費に相当する額を支援センターに支払うことを約した者のため、適当な特定被害者法律援助契約弁護士等(支援センターとの間で、支援センターの特定被害者法律援助事業に関し、他人の法律事務を取り扱うことについて契約をしている弁護士、弁護士法人、弁護士・外国法事務弁護士共同法人 及び総合法律支援法第一条に規定する隣接法律専門職者をいう。において同じ。)にの代理人が行う事務を取り扱わせること。

弁護士法昭和二十四年法律第二百五号)その他の法律により依頼を受けて裁判所に提出する書類 又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下 この号において同じ。)を作成することを業とすることができる者に対し特定被害者に係る民事事件手続に必要な書類 又は電磁的記録の作成を依頼して支払うべき報酬 及びその作成に必要な実費の立替えをすること。

に規定する立替えに代え、に規定する報酬 及び実費に相当する額を支援センターに支払うことを約した者のため、適当な特定被害者法律援助契約弁護士等にに規定する書類 又は電磁的記録を作成する事務を取り扱わせること。

弁護士法 その他の法律により法律相談を取り扱うことを業とすることができる者による特定不法行為等に関する法律相談(刑事に関するものを除く)を実施すること。

二 号

前号の業務に附帯する業務(民事保全手続に附帯する担保の提供に係る業務を含む。)を行うこと。

2項

特定被害者法律援助事業は、対象宗教法人について特定解散命令請求等に係る裁判が確定した時 若しくは特定解散命令請求等の取下げがあった時 又は対象宗教法人が解散(特定解散命令請求等に係る裁判による解散を除く)をした時のうちいずれか早い時前にその対象宗教法人に係る特定不法行為等について特定被害者法律援助事業の実施に係る援助の申込みをした特定被害者について行うものとする。

3項

支援センターが特定被害者法律援助事業を行う場合には、総合法律支援法第三十四条第一項の業務方法書には、同条第二項に規定する事項のほか、特定被害者法律援助事業に関し、特定被害者法律援助事業の実施に係る援助の申込み 及びその審査の方法に関する事項、第一項第一号イ 及びに規定する立替えに係る報酬 及び実費の基準 並びにそれらの償還に関する事項、同号ロ 及びに規定する報酬 及び実費に相当する額の支払に関する事項、同項第二号に規定する民事保全手続に附帯する担保の提供に係る業務の実施に係る費用の償還に関する事項 その他法務省令で定める事項を記載しなければならない。

4項

前項の場合において、当該償還 及び当該支払は、特定被害者の迅速かつ円滑な救済に資するよう、特定被害者に係る民事事件手続の準備 及び追行がされている間猶予するものとしなければならず、かつ、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場合に該当するときを除き、免除できるものとしなければならない。

一 号

報酬 及び実費の償還 及び支払

次の 又はに掲げる場合

当該特定被害者が一定以上の資力を有する場合

当該特定被害者の援助に至った経緯、当該援助による支援センターの財務に対する影響 その他の当該援助に係る事情に照らし、免除することが相当でないと認められる場合

二 号

民事保全手続に附帯する担保の提供に係る業務の実施に係る費用の償還

次の 又はに掲げる場合

当該特定被害者が当該民事保全手続に関し故意 又は重大な過失により当該民事保全手続に係る相手方に損害を与えた場合

当該特定被害者の援助に至った経緯、当該援助を受けた特定被害者の資力の状況、当該援助による支援センターの財務に対する影響 その他の当該援助に係る事情に照らし、免除することが相当でないと認められる場合