犯罪捜査のための通信傍受に関する法律

# 平成十一年法律第百三十七号 #
略称 : 盗聴法  通信傍受法  組織犯罪対策三法 

第三十二条 # 傍受の原記録の聴取及び閲覧等

@ 施行日 : 令和五年十二月十三日 ( 2023年 12月13日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第八十四号による改正

1項

傍受の原記録を保管する裁判官(以下「原記録保管裁判官」という。)は、傍受記録に記録されている通信の当事者が、前条の規定により、傍受記録のうち当該通信に係る部分を聴取し、若しくは閲覧し、又はその複製を作成した場合において、傍受記録の正確性の確認のために必要があると認めるとき その他正当な理由があると認めるときは、当該通信の当事者の請求により、傍受の原記録のうち当該通信に相当する部分を聴取し、若しくは閲覧し、又はその複製を作成することを許可しなければならない。

2項

原記録保管裁判官は、傍受をされた通信(第二十条第一項 又は第二十三条第一項第二号の規定による傍受の場合にあっては、第二十一条第一項 又は第二十三条第四項の規定による再生をされた通信)の内容の確認のために必要があると認めるとき その他正当な理由があると認めるときは、傍受記録に記録されている通信以外の通信の当事者の請求により、傍受の原記録のうち当該通信に係る部分を聴取し、若しくは閲覧し、又はその複製を作成することを許可しなければならない。

3項

原記録保管裁判官は、傍受が行われた事件に関し、犯罪事実の存否の証明 又は傍受記録の正確性の確認のために必要があると認めるとき その他正当な理由があると認めるときは、検察官 又は司法警察員の請求により、傍受の原記録のうち必要と認める部分を聴取し、若しくは閲覧し、又はその複製を作成することを許可することができる。


ただし、複製の作成については、次に掲げる通信(傍受記録に記録されているものを除く)に係る部分に限る

一 号
傍受すべき通信に該当する通信
二 号

犯罪事実の存否の証明に必要な証拠となる通信(前号に掲げる通信を除く

三 号

前二号に掲げる通信と 同一の通話の機会に行われた通信

4項

次条第三項第二十七条第三項 及び第二十八条第三項において準用する場合を含む。以下 この項において同じ。)の規定により記録の消去を命じた裁判がある場合においては、前項の規定による複製を作成することの許可の請求は、同項の規定にかかわらず、当該裁判により消去を命じられた記録に係る通信が新たに同項第一号 又は第二号に掲げる通信であって他にこれに代わるべき適当な証明方法がないものであることが判明するに至った場合に限り、傍受の原記録のうち当該通信 及びこれと同一の通話の機会に行われた通信に係る部分について、することができる。


ただし、当該裁判が次条第三項第二号に該当するとしてこれらの通信の記録の消去を命じたものであるときは、この請求をすることができない

5項

原記録保管裁判官は、検察官により傍受記録 又はその複製等の取調べの請求があった被告事件に関し、被告人の防御 又は傍受記録の正確性の確認のために必要があると認めるとき その他正当な理由があると認めるときは、被告人 又はその弁護人の請求により、傍受の原記録のうち必要と認める部分を聴取し、若しくは閲覧し、又はその複製を作成することを許可することができる。


ただし、被告人が当事者でない通信に係る部分の複製の作成については、当該通信の当事者のいずれかの同意がある場合に限る

6項

検察官 又は司法警察員が第三項の規定により作成した複製は、傍受記録とみなす。


この場合において、第三十条の規定の適用については、

同条第一項
次に掲げる事項」とあるのは
「次に掲げる事項 並びに第三十二条第三項の複製を作成することの許可があった旨 及びその年月日」とし、

同条第二項
傍受の実施が終了した後」とあるのは
「複製を作成した後」と

する。

7項

傍受の原記録については、第一項から第五項までの規定による場合のほか、これを聴取させ、若しくは閲覧させ、又はその複製を作成させてはならない。


ただし、裁判所 又は裁判官が、刑事訴訟法の定めるところにより、検察官により傍受記録 若しくはその複製等の取調べの請求があった被告事件 又は傍受に関する刑事の事件の審理 又は裁判のために必要があると認めて、傍受の原記録のうち必要と認める部分を取り調べる場合においては、この限りでない。