生物多様性基本法

# 平成二十年法律第五十八号 #

第三条 # 基本原則


1項

生物の多様性の保全は、健全で恵み豊かな自然の維持が生物の多様性の保全に欠くことのできないものであることにかんがみ、野生生物の種の保存等が図られるとともに、多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて保全されることを旨として行われなければならない。

2項

生物の多様性の利用は、社会経済活動の変化に伴い生物の多様性が損なわれてきたこと 及び自然資源の利用により国内外の生物の多様性に影響を及ぼすおそれがあることを踏まえ、生物の多様性に及ぼす影響が回避され 又は最小となるよう、国土 及び自然資源を持続可能な方法で利用することを旨として行われなければならない。

3項

生物の多様性の保全 及び持続可能な利用は、生物の多様性が微妙な均衡を保つことによって成り立っており、科学的に解明されていない事象が多いこと 及び一度損なわれた生物の多様性を再生することが困難であることにかんがみ、科学的知見の充実に努めつつ生物の多様性を保全する予防的な取組方法 及び事業等の着手後においても生物の多様性の状況を監視し、その監視の結果に科学的な評価を加え、これを当該事業等に反映させる順応的な取組方法により対応することを旨として行われなければならない。

4項

生物の多様性の保全 及び持続可能な利用は、生物の多様性から長期的かつ継続的に多くの利益がもたらされることにかんがみ、長期的な観点から生態系等の保全 及び再生に努めることを旨として行われなければならない。

5項

生物の多様性の保全 及び持続可能な利用は、地球温暖化が生物の多様性に深刻な影響を及ぼすおそれがあるとともに、生物の多様性の保全 及び持続可能な利用は地球温暖化の防止等に資するとの認識の下に行われなければならない。