破産手続開始の決定前に破産者のために相続の開始があった場合において、破産者が破産手続開始の決定後にした単純承認は、破産財団に対しては、限定承認の効力を有する。
破産者が破産手続開始の決定後にした相続の放棄も、同様とする。
破産手続開始の決定前に破産者のために相続の開始があった場合において、破産者が破産手続開始の決定後にした単純承認は、破産財団に対しては、限定承認の効力を有する。
破産者が破産手続開始の決定後にした相続の放棄も、同様とする。
破産管財人は、前項後段の規定にかかわらず、相続の放棄の効力を認めることができる。
この場合においては、相続の放棄があったことを知った時から三月以内に、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
相続人についての破産手続開始の決定は、限定承認 又は財産分離を妨げない。
ただし、当該相続人のみが相続財産につき債務の弁済に必要な行為をする権限を有するときは、破産手続開始の決定の取消し若しくは破産手続廃止の決定が確定し、又は破産手続終結の決定があるまでの間は、限定承認 又は財産分離の手続は、中止する。
相続人について破産手続開始の決定があった場合には、相続債権者 及び受遺者は、財産分離があったとき、又は相続財産について破産手続開始の決定があったときでも、その債権の全額について破産手続に参加することができる。
相続人について破産手続開始の決定があり、かつ、相続財産について破産手続開始の決定があったときは、相続人の債権者の債権は、相続人の破産財団については、相続債権者 及び受遺者の債権に優先する。
第二百二十五条に規定する期間内にされた破産手続開始の申立てにより相続人について破産手続開始の決定があったときは、相続人の固有財産については相続人の債権者の債権が相続債権者 及び受遺者の債権に優先し、相続財産については相続債権者 及び受遺者の債権が相続人の債権者の債権に優先する。
相続人について破産手続開始の決定があり、かつ、当該相続人が限定承認をしたときは、相続債権者 及び受遺者は、相続人の固有財産について、破産債権者としてその権利を行使することができない。
第二百三十八条第一項の規定により限定承認の効力を有するときも、同様とする。
相続債権者 又は受遺者は、相続人について破産手続開始の決定があった後に、限定承認 又は財産分離の手続において権利を行使したことにより、破産債権について弁済を受けた場合であっても、その弁済を受ける前の債権の額について破産手続に参加することができる。
相続人の債権者が、相続人について破産手続開始の決定があった後に、財産分離の手続において権利を行使したことにより、破産債権について弁済を受けた場合も、同様とする。
前項の相続債権者 若しくは受遺者 又は相続人の債権者は、他の同順位の破産債権者が自己の受けた弁済(相続人が数人ある場合には、当該破産手続開始の決定を受けた相続人の相続分に応じた部分に限る。次項において同じ。)と同一の割合の配当を受けるまでは、破産手続により、配当を受けることができない。
第一項の相続債権者 若しくは受遺者 又は相続人の債権者は、前項の弁済を受けた債権の額については、議決権を行使することができない。
相続人について破産手続開始の決定があった後、当該相続人が限定承認をしたとき、又は当該相続人について財産分離があったときは、破産管財人は、当該相続人の固有財産と分別して相続財産の管理 及び処分をしなければならない。
限定承認 又は財産分離があった後に相続人について破産手続開始の決定があったときも、同様とする。
破産管財人が前項の規定による相続財産の管理 及び処分を終えた場合において、残余財産があるときは、その残余財産のうち当該相続人に帰属すべき部分は、当該相続人の固有財産とみなす。
この場合において、破産管財人は、その残余財産について、破産財団の財産目録 及び貸借対照表を補充しなければならない。
第一項前段 及び前項の規定は、第二百三十八条第一項の規定により限定承認の効力を有する場合 及び第二百四十条第三項の場合について準用する。