競争の導入による公共サービスの改革に関する法律

# 平成十八年法律第五十一号 #
略称 : 市場化テスト法  公共サービス改革法 

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   産業通則
@ 施行日 : 令和六年三月一日 ( 2024年 3月1日 )
@ 最終更新 : 令和元年法律第十七号による改正
最終編集日 : 2024年 08月17日 16時03分


1項

この法律は、国の行政機関等 又は地方公共団体が自ら実施する公共サービスに関し、その実施を民間が担うことができるものは民間にゆだねる観点から、これを見直し、民間事業者の創意と工夫が反映されることが期待される一体の業務を選定して官民競争入札 又は民間競争入札に付することにより、公共サービスの質の維持向上 及び経費の削減を図る改革(以下「競争の導入による公共サービスの改革」という。)を実施するため、その基本理念、公共サービス改革基本方針の策定、官民競争入札 及び民間競争入札の手続、落札した民間事業者が公共サービスを実施するために必要な措置、官民競争入札等監理委員会の設置 その他必要な事項を定めるものとする。

1項

この法律において「国の行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。

一 号

法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く

二 号

内閣府、宮内庁 並びに内閣府設置法平成十一年法律第八十九号第四十九条第一項 及び第二項に規定する機関

三 号

国家行政組織法昭和二十三年法律第百二十号第三条第二項に規定する機関

四 号

内閣府設置法第三十九条 及び第五十五条 並びに宮内庁法昭和二十二年法律第七十号第十六条第二項の機関 並びに内閣府設置法第四十条 及び第五十六条宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関

五 号

国家行政組織法第八条の二の施設等機関 及び同法第八条の三の特別の機関

2項

この法律において「国の行政機関等」とは、国の行政機関、独立行政法人(独立行政法人通則法平成十一年法律第百三号第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。次項において同じ。)、国立大学法人(国立大学法人法平成十五年法律第百十二号第二条第一項に規定する国立大学法人をいう。次項において同じ。)、大学共同利用機関法人(同法第二条第三項に規定する大学共同利用機関法人をいう。次項において同じ。)及び特殊法人(法律により直接に設立された法人 又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法平成十一年法律第九十一号第四条第一項第八号の規定の適用を受けるもの(株式会社であるものであって、株式会社国際協力銀行 及び株式会社日本政策金融公庫以外のものを除く)をいう。次項において同じ。)をいう。

3項

この法律において「国の行政機関等の長等」とは、国の行政機関の長、独立行政法人の長、国立大学法人の学長 又は理事長、大学共同利用機関法人の機構長 及び特殊法人の代表者をいう。

4項

この法律において「公共サービス」とは、次に掲げるものをいう。

一 号

国の行政機関等の事務 又は事業として行われる国民に対するサービスの提供 その他の公共の利益の増進に資する業務(行政処分を除く)のうち次に掲げるもの

施設の設置、運営 又は管理の業務
研修の業務
相談の業務
調査 又は研究の業務

イからニまでに掲げるもののほか、その内容 及び性質に照らして、必ずしも国の行政機関等が自ら実施する必要がない業務

二 号
特定公共サービス
5項

この法律において「特定公共サービス」とは、国の行政機関等 又は地方公共団体の事務 又は事業として行われる国民に対するサービスの提供 その他の公共の利益の増進に資する業務であって、第五章第二節の規定により、法律の特例が適用されるものとして、その範囲が定められているものをいう。

6項

この法律において「官民競争入札」とは、次に掲げる手続をいう。

一 号

公共サービス改革基本方針(第七条に規定する公共サービス改革基本方針をいう。次項第一号において同じ。)において選定された国の行政機関等の公共サービスについて、国の行政機関等と民間事業者との間において、これを実施する者を決定するための手続であって、第三章第一節の規定により行われるもの

二 号

第八条に規定する実施方針において選定された地方公共団体の特定公共サービスについて、地方公共団体と民間事業者との間において、これを実施する者を決定するための手続であって、第三章第三節の規定により行われるもの

7項

この法律において「民間競争入札」とは、次に掲げる手続をいう。

一 号

公共サービス改革基本方針において選定された国の行政機関等の公共サービスについて、民間事業者の間において、これを実施する者を決定するための手続であって、第三章第二節の規定により行われるもの

二 号

第八条に規定する実施方針において選定された地方公共団体の特定公共サービスについて、民間事業者の間において、これを実施する者を決定するための手続であって、第三章第四節の規定により行われるもの

8項

この法律において「公共サービス実施民間事業者」とは、第二十条第一項第二十三条において準用する場合を含む。)の契約による委託に基づいて公共サービスを実施する民間事業者をいう。

9項

この法律において「法令の特例」とは、公共サービス実施民間事業者が公共サービスを実施する場合において必要とされる資格、国の行政機関等の長等 若しくは地方公共団体の長による監督上の措置、規制の緩和 その他の特例に関する第五章に規定する法律の特例 及び政令 又は主務省令により規定された事項についてのそれぞれ政令 又は主務省令で規定する特例をいう。

1項
競争の導入による公共サービスの改革は、公共サービスによる利益を享受する国民の立場に立って、国の行政機関等 又は地方公共団体がその事務 又は事業の全体の中で自ら実施する公共サービスの全般について不断の見直しを行い、その実施について、透明かつ公正な競争の下で民間事業者の創意と工夫を適切に反映させることにより、国民のため、より良質かつ低廉な公共サービスを実現することを旨として、行うものとする。
2項

前項の見直しを通じ、公共サービスのうち、国の行政機関等 又は地方公共団体の事務 又は事業として行う必要のないものは、廃止するものとする。

1項

国の行政機関等は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、国の行政機関等の公共サービスに関し見直しを行い、官民競争入札 若しくは民間競争入札 又は廃止の対象とする公共サービスを適切に選定するほか、国の行政機関等の関与 その他の規制を必要最小限のものとすることにより民間事業者の創意と工夫がその実施する公共サービスに適切に反映されるよう措置するとともに、当該公共サービスの適正かつ確実な実施を確保するために必要かつ適切な監督を行わなければならない。

2項
国の行政機関は、地方公共団体の自主性 及び自立性を尊重しつつ、競争の導入による公共サービスの改革に関する措置を講じようとする地方公共団体の取組を可能とする環境の整備に努めるものとする。
1項
地方公共団体は、基本理念にのっとり、地方公共団体の特定公共サービスに関し見直しを行い、官民競争入札 又は民間競争入札を実施する場合には、その対象とする特定公共サービスを適切に選定するほか、地方公共団体の関与 その他の規制を必要最小限のものとすることにより民間事業者の創意と工夫がその実施する特定公共サービスに適切に反映されるよう措置するとともに、当該特定公共サービスの適正かつ確実な実施を確保するために必要かつ適切な監督を行うものとする。
1項
公共サービス実施民間事業者は、基本理念にのっとり、その創意と工夫を生かしつつ、業務の公共性を踏まえてこれを適正かつ確実に実施するとともに、当該公共サービスに対する国民の信頼を確保するように努めなければならない。