簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律

# 平成十八年法律第四十七号 #
略称 : 行革推進法  行政改革推進法 

第一節 政策金融改革

分類 法律
カテゴリ   行政組織
@ 施行日 : 令和四年四月一日 ( 2022年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第七号による改正
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時24分


1項

政策金融改革は、次に掲げる基本方針に基づき、平成二十年度において、現行政策金融機関(商工組合中央金庫、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、公営企業金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、国際協力銀行 及び日本政策投資銀行をいう。以下同じ。)の組織 及び機能を再編成し、その政策金融の機能を、新たに設立する一の政策金融機関(以下「新政策金融機関」という。)に担わせることにより行われるものとする。


ただし、国際協力銀行の政府開発援助に係る機能については、現行政策金融機関の政策金融の機能から分離して独立行政法人国際協力機構に担わせるものとし、沖縄振興開発金融公庫については、第十一条の定めるところによる。

一 号

新政策金融機関の政策金融の機能は、国民一般、中小企業者 及び農林水産業者の資金調達を支援する機能 並びに我が国にとって重要な資源の海外における開発 及び取得を促進し、並びに我が国の産業の国際競争力の維持 及び向上を図る機能に限定するものとする。

二 号

政策金融に係る貸付金については、平成二十年度末における新政策金融機関の貸付金の残高 及び沖縄振興開発金融公庫の貸付金の残高の合計額の同年度の国内総生産(国際連合の定める基準に準拠して内閣府が作成する国民経済計算の体系における国内総生産をいう。以下同じ。)の額に占める割合が、平成十六年度末における現行政策金融機関の貸付金の残高の同年度の国内総生産の額に占める割合の二分の一以下となるようにするものとする。

三 号

現行政策金融機関の負債の総額が資産の総額を超える場合におけるその超過額 又は新政策金融機関に生じた損失であって、これらの経営責任に帰すべきものを補てんするための補助金(交付金、補給金 その他の給付金を含む。)の交付 その他の国の負担となる財政上の措置は、行わないものとする。

四 号

内外の金融秩序の混乱 又は大規模な災害、テロリズム 若しくは感染症等による被害に対処するために必要な金融について、新政策金融機関 及び第六条第一項に規定する機関 その他の金融機関により迅速かつ円滑に行われることを可能とする体制を整備するものとする。

1項
新政策金融機関は、次に掲げる組織 及び業務の在り方を踏まえて、設立されるものとする。
一 号

特別の法律により特別の設立行為をもって設立される株式会社 又は独立行政法人(独立行政法人通則法平成十一年法律第百三号第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)若しくはこれに類する法人とするものとする。

二 号
明確な経営責任の下で運営され、経営内容に関する情報の公開を徹底するものとする。
三 号

新政策金融機関の経営責任者は、これを適正かつ効率的に運営するため、設立の目的 及び その担う金融業務に照らし必要と認められる識見 及び能力を有する者のうちから選任されるものとし、特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることがないよう十分に配慮するものとする。

四 号

組織については、簡素かつ効率的なものとすることを基本とし、国内金融の業務を行う部門と国際金融の業務を行う部門とに大別して、当該部門ごとに専門的能力を有する職員の配置 及び育成を可能とするものとする。


この場合において、国内金融の業務を行う部門にあっては、当該業務の態様に応じた区分を明確にしてその内部組織を編成するものとし、国際金融の業務を行う部門にあっては、当該業務を行ってきた現行政策金融機関の外国における信用が維持され、当該業務を主体的に遂行することを可能とする体制を整備するものとする。

五 号

業務については、現行政策金融機関から承継する業務(統合する現行政策金融機関から承継する債権の管理 及び回収を含む。)及び前条第四号に規定する金融に係る業務とするものとし、債務の一部の保証、貸付債権の譲受け その他の業務の推進を図ることにより、一般の金融機関が行う金融を補完することを旨として行われるものとする。

六 号

業務の実施状況について的確な評価 及び監視を行う体制を整備し、業務の必要性の有無 及びこれを民間にゆだねることの適否についての見直し並びに貸付金の残高の継続的な縮小を行うことを可能とするものとする。

1項

商工組合中央金庫 及び日本政策投資銀行は、完全民営化するものとし、平成二十年度において、これらに対する国の関与を縮小して経営の自主性を確保する措置を講ずるものとする。

2項

商工組合中央金庫 及び日本政策投資銀行に対する政府の出資については、これらの機関の業務を承継する機関の目的の達成に与える影響 及び市場の動向を踏まえつつ その縮減を図り、できる限り早期にその全部を処分するものとする。

3項

政府は、第一項の完全民営化に当たっては、商工組合中央金庫 及び日本政策投資銀行の円滑な運営に必要な財政基盤を確保するための措置を講ずるとともに、商工組合中央金庫の有する中小企業等協同組合 その他の中小企業者を構成員とする団体 及び その構成員に対する金融機能 並びに日本政策投資銀行の有する長期の事業資金に係る投融資機能の根幹が維持されることとなるよう、必要な措置を講ずるものとする。

1項

公営企業金融公庫は、平成二十年度において、廃止するものとし、地方公共団体のための資金調達を公営企業金融公庫により行う仕組みは、資本市場からの資金調達 その他金融取引を活用して行う仕組みに移行させるものとする。

2項
政府は、前項の移行の後の仕組みのために必要な財政基盤を確保するための措置を講ずるものとする。
1項
国民生活金融公庫は、平成二十年度において、新政策金融機関に統合するものとする。
2項

国民生活金融公庫の業務(小規模事業者の経営の改善発達を支援するための資金 及び生活衛生関係の営業者等に対する資金の貸付けを含む。)は、新政策金融機関に承継させる。


ただし、教育資金の貸付けについては、低所得者の資金需要に配慮しつつ、貸付けの対象の範囲を縮小するものとする。

1項
農林漁業金融公庫は、平成二十年度において、新政策金融機関に統合するものとする。
2項

農林漁業金融公庫の業務は、新政策金融機関に承継させる。


ただし、農林漁業者に対する長期かつ低利の資金の貸付けは、資本市場からの調達が困難な資金の貸付けに限定するものとし、農林漁業金融公庫法昭和二十七年法律第三百五十五号)第十八条の二第一項第四号に規定する食品の製造等の事業を営む者に対する貸付けは、中小企業者に対する償還期間が十年を超える資金の貸付けに限定するものとする。

1項
中小企業金融公庫は、平成二十年度において、新政策金融機関に統合するものとする。
2項

中小企業金融公庫の業務は、新政策金融機関に承継させる。


ただし中小企業金融公庫法昭和二十八年法律第百三十八号)第十九条第一項第一号 及び第二号に掲げる業務については、中小企業者一般を対象とするものは廃止するものとし、それ以外のものは、中小企業に関する重要な施策の目的に従って行われるものに限定するとともに、その承継後においても定期的に見直しを行い、必要性が低下したと認められる部分は廃止するものとする。

1項

沖縄振興開発金融公庫は、沖縄振興特別措置法平成十四年法律第十四号)第三条の二第一項の沖縄振興基本方針に係る同条第三項に規定する令和四年度を初年度とする十箇年の期間が経過した後において、新政策金融機関に統合するものとする。

2項

沖縄振興開発金融公庫の業務は、新政策金融機関に承継させる。


ただし、平成二十年度において、沖縄の置かれた特殊な諸事情にかんがみ特に存続させる必要があるものを除き、日本政策投資銀行の業務に相当する業務は廃止し、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫 及び中小企業金融公庫の業務に相当する業務については第八条第二項ただし書、第九条第二項ただし書 及び前条第二項ただし書の規定に準じた措置を講ずるものとする。

3項

第一項の統合に当たっては、沖縄県の区域を管轄する新政策金融機関の事務所が、沖縄の振興に関する施策に金融上の寄与をするため、前項本文の業務を自立的かつ主体的に遂行することを可能とする体制を整備するものとする。

1項
国際協力銀行は、平成二十年度において、新政策金融機関に統合するものとする。
2項

国際協力銀行の業務のうち、国際協力銀行法平成十一年法律第三十五号)第二十三条第一項に規定する国際金融等業務は、我が国にとって重要な資源の海外における開発 及び取得を促進し、並びに我が国の産業の国際競争力の維持 及び向上を図るためのもの並びに国際金融秩序の混乱への対処に係るものに限定して新政策金融機関に承継させるものとし、同条第二項に規定する海外経済協力業務は、独立行政法人国際協力機構法(平成十四年法律第百三十六号)を改正するための措置を講じて、独立行政法人国際協力機構に承継させるものとする。

1項

政府は、第五条から前条までの規定による措置を講ずるに当たっては、次の事項に留意しなければならない。

一 号

現行政策金融機関の資産 及び負債を厳正かつ詳細に評価し、新政策金融機関 その他 現行政策金融機関の業務を承継する機関が将来にわたり業務を円滑に遂行する上で必要がないと認められる資産で政府の出資に係るものについては、これを国庫に帰属させること。

二 号
現行政策金融機関の行う資金の貸付け その他の業務の利用者 及び現行政策金融機関が発行した債券の所有者の利益が不当に侵害されないようにすること。
1項

政府は、平成十八年度において、次に掲げる融資等業務(資金の貸付け、債務の保証、保険の引受け、出資 若しくは利子の補給を行う業務 又はこれに準ずる業務をいう。以下同じ。)の在り方について見直しを行うものとする。

一 号

独立行政法人のうち、平成十八年度から平成二十年度までの間に初めて中期目標の期間(独立行政法人通則法第二十九条第二項第一号に規定する中期目標の期間をいう。第五十二条において同じ。)が終了するものが、その目的を達成するために行う融資等業務

二 号

特殊法人(特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法平成十一年法律第九十一号第四条第十五号の規定の適用を受けるものをいう。以下同じ。)のうち、現行政策金融機関、住宅金融公庫 及び株式会社であるもの以外のものが、その目的を達成するために行う融資等業務

三 号

民法明治二十九年法律第八十九号第三十四条の規定により設立された法人のうち、法令に基づく融資等業務を行うもの又は国の補助金等(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律昭和三十年法律第百七十九号第二条第一項に規定する補助金等をいう。)の交付を受けて融資等業務を行うものが行う当該融資等業務