行政手続法

# 平成五年法律第八十八号 #
略称 : 行手法 

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   行政手続
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第五十二号による改正
最終編集日 : 2024年 10月25日 18時54分


1項

この法律は、処分、行政指導 及び届出に関する手続 並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容 及び過程が国民にとって明らかであることをいう。第四十六条において同じ。)の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。

2項

処分、行政指導 及び届出に関する手続 並びに命令等を定める手続に関しこの法律に規定する事項について、他の法律に特別の定めがある場合は、その定めるところによる。

1項

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 号

法令

法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例 及び地方公共団体の執行機関の規則(規程を含む。以下「規則」という。)をいう。

二 号

処分

行政庁の処分 その他公権力の行使に当たる行為をいう。

三 号

申請

法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許 その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。

四 号

不利益処分

行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。

事実上の行為 及び事実上の行為をするに当たりその範囲、時期等を明らかにするために法令上 必要とされている手続としての処分

申請により求められた許認可等を拒否する処分 その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分

名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分

許認可等の効力を失わせる処分であって、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出があったことを理由としてされるもの

五 号

行政機関

次に掲げる機関をいう。

法律の規定に基づき内閣に置かれる機関 若しくは内閣の所轄の下に置かれる機関、宮内庁、内閣府設置法平成十一年法律第八十九号第四十九条第一項 若しくは第二項に規定する機関、国家行政組織法昭和二十三年法律第百二十号第三条第二項に規定する機関、会計検査院 若しくはこれらに置かれる機関 又はこれらの機関の職員であって法律上独立に権限を行使することを認められた職員

地方公共団体の機関(議会を除く

六 号

行政指導

行政機関がその任務 又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為 又は不作為を求める指導、勧告、助言 その他の行為であって処分に該当しないものをいう。

七 号

届出

行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているもの(自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む。)をいう。

八 号

命令等

内閣 又は行政機関が定める次に掲げるものをいう。

法律に基づく命令(処分の要件を定める告示を含む。次条第二項において単に「命令」という。)又は規則

審査基準(申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。

処分基準(不利益処分をするかどうか 又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。

行政指導指針(同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項をいう。以下同じ。

1項

次に掲げる処分 及び行政指導については、次章から第四章の二までの規定は、適用しない

一 号

国会の両院 若しくは一院 又は議会の議決によってされる処分

二 号

裁判所 若しくは裁判官の裁判により、又は裁判の執行としてされる処分

三 号

国会の両院 若しくは一院 若しくは議会の議決を経て、又はこれらの同意 若しくは承認を得た上でされるべきものとされている処分

四 号

検査官会議で決すべきものとされている処分 及び会計検査の際にされる行政指導

五 号

刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官 又は司法警察職員がする処分 及び行政指導

六 号

国税 又は地方税の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて国税庁長官、国税局長、税務署長、国税庁、国税局 若しくは税務署の当該職員、税関長、税関職員 又は徴税吏員(他の法令の規定に基づいてこれらの職員の職務を行う者を含む。)がする処分 及び行政指導 並びに金融商品取引の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて証券取引等監視委員会、その職員(当該法令においてその職員とみなされる者を含む。)、財務局長 又は財務支局長がする処分 及び行政指導

七 号

学校、講習所、訓練所 又は研修所において、教育、講習、訓練 又は研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童 若しくは幼児 若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生 又は研修生に対してされる処分 及び行政指導

八 号
刑務所、少年刑務所、拘置所、留置施設、海上保安留置施設、少年院 又は少年鑑別所において、収容の目的を達成するためにされる処分 及び行政指導
九 号

公務員(国家公務員法昭和二十二年法律第百二十号第二条第一項に規定する国家公務員 及び地方公務員法昭和二十五年法律第二百六十一号第三条第一項に規定する地方公務員をいう。以下同じ。)又は公務員であった者に対してその職務 又は身分に関してされる処分 及び行政指導

十 号

外国人の出入国、出入国管理及び難民認定法昭和二十六年政令第三百十九号第六十一条の二第一項に規定する難民の認定、同条第二項に規定する補完的保護対象者の認定 又は帰化に関する処分 及び行政指導

十一 号

専ら人の学識技能に関する試験 又は検定の結果についての処分

十二 号

相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的として法令の規定に基づいてされる裁定 その他の処分(その双方を名宛人とするものに限る)及び行政指導

十三 号

公衆衛生、環境保全、防疫、保安 その他の公益に関わる事象が発生し 又は発生する可能性のある現場において警察官 若しくは海上保安官 又はこれらの公益を確保するために行使すべき権限を法律上直接に与えられたその他の職員によってされる処分 及び行政指導

十四 号

報告 又は物件の提出を命ずる処分 その他その職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的としてされる処分 及び行政指導

十五 号

審査請求、再調査の請求 その他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定 その他の処分

十六 号

前号に規定する処分の手続 又は第三章に規定する聴聞 若しくは弁明の機会の付与の手続 その他の意見陳述のための手続において法令に基づいてされる処分 及び行政指導

2項

次に掲げる命令等を定める行為については、第六章の規定は、適用しない

一 号

法律の施行期日について定める政令

二 号

恩赦に関する命令

三 号

命令 又は規則を定める行為が処分に該当する場合における当該命令 又は規則

四 号

法律の規定に基づき施設、区間、地域 その他これらに類するものを指定する命令 又は規則

五 号

公務員の給与、勤務時間 その他の勤務条件について定める命令等

六 号

審査基準、処分基準 又は行政指導指針であって、法令の規定により若しくは慣行として、又は命令等を定める機関の判断により公にされるもの以外のもの

3項

第一項各号 及び前項各号に掲げるもののほか、地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例 又は規則に置かれているものに限る)及び行政指導、地方公共団体の機関に対する届出(前条第七号の通知の根拠となる規定が条例 又は規則に置かれているものに限る)並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、次章から第六章までの規定は、適用しない

1項

国の機関 又は地方公共団体 若しくはその機関に対する処分(これらの機関 又は団体がその固有の資格において当該処分の名あて人となるものに限る)及び行政指導 並びにこれらの機関 又は団体がする届出(これらの機関 又は団体がその固有の資格においてすべきこととされているものに限る)については、この法律の規定は、適用しない

2項

次の各号いずれかに該当する法人に対する処分であって、当該法人の監督に関する法律の特別の規定に基づいてされるもの(当該法人の解散を命じ、若しくは設立に関する認可を取り消す処分 又は当該法人の役員 若しくは当該法人の業務に従事する者の解任を命ずる処分を除く)については、次章 及び第三章の規定は、適用しない

一 号

法律により直接に設立された法人 又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人

二 号

特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政庁の認可を要する法人のうち、その行う業務が国 又は地方公共団体の行政運営と密接な関連を有するものとして政令で定める法人

3項

行政庁が法律の規定に基づく試験、検査、検定、登録 その他の行政上の事務について当該法律に基づきその全部 又は一部を行わせる者を指定した場合において、その指定を受けた者(その者が法人である場合にあっては、その役員)又は職員 その他の者が当該事務に従事することに関し公務に従事する職員とみなされるときは、その指定を受けた者に対し当該法律に基づいて当該事務に関し監督上される処分(当該指定を取り消す処分、その指定を受けた者が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる処分 又はその指定を受けた者の当該事務に従事する者の解任を命ずる処分を除く)については、次章 及び第三章の規定は、適用しない

4項

次に掲げる命令等を定める行為については、第六章の規定は、適用しない

一 号

国 又は地方公共団体の機関の設置、所掌事務の範囲 その他の組織について定める命令等

二 号

皇室典範昭和二十二年法律第三号第二十六条の皇統譜について定める命令等

三 号

公務員の礼式、服制、研修、教育訓練、表彰 及び報償 並びに公務員の間における競争試験について定める命令等

四 号

国 又は地方公共団体の予算、決算 及び会計について定める命令等(入札の参加者の資格、入札保証金 その他の国 又は地方公共団体の契約の相手方 又は相手方になろうとする者に係る事項を定める命令等を除く)並びに国 又は地方公共団体の財産 及び物品の管理について定める命令等(国 又は地方公共団体が財産 及び物品を貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、信託し、若しくは出資の目的とし、又はこれらに私権を設定することについて定める命令等であって、これらの行為の相手方 又は相手方になろうとする者に係る事項を定めるものを除く

五 号

会計検査について定める命令等

六 号

国の機関相互間の関係について定める命令等 並びに地方自治法昭和二十二年法律第六十七号第二編第十一章に規定する国と普通地方公共団体との関係 及び普通地方公共団体相互間の関係 その他の国と地方公共団体との関係 及び地方公共団体相互間の関係について定める命令等(第一項の規定によりこの法律の規定を適用しないこととされる処分に係る命令等を含む。

七 号

第二項各号に規定する法人の役員 及び職員、業務の範囲、財務 及び会計 その他の組織、運営 及び管理について定める命令等(これらの法人に対する処分であって、これらの法人の解散を命じ、若しくは設立に関する認可を取り消す処分 又はこれらの法人の役員 若しくはこれらの法人の業務に従事する者の解任を命ずる処分に係る命令等を除く