裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律

# 平成十六年法律第百五十一号 #
略称 : ADR法 

第二十七条の二 # 特定和解の執行決定

@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第十七号による改正

1項

特定和解に基づいて民事執行をしようとする当事者は、債務者を被申立人として、裁判所に対し、執行決定(特定和解に基づく民事執行を許す旨の決定をいう。以下この章において同じ。)を求める申立てをしなければならない。

2項
前項の申立てをする者(次項 及び第四項において「申立人」という。)は、次に掲げる書面を提出しなければならない。
一 号
当事者が作成した特定和解の内容が記載された書面
二 号
認証紛争解決事業者 又は手続実施者が作成した特定和解が認証紛争解決手続において成立したものであることを証明する書面
3項

前項の書面については、これに記載すべき事項を記録した電磁的記録に係る記録媒体の提出をもって、当該書面の提出に代えることができる。


この場合において、当該記録媒体を提出した申立人は、当該書面を提出したものとみなす。

4項

第一項の申立てを受けた裁判所は、他の裁判所 又は仲裁廷に対して当該特定和解に関する他の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、同項の申立てに係る手続を中止することができる。


この場合において、裁判所は、申立人の申立てにより、被申立人に対し、担保を立てるべきことを命ずることができる。

5項

第一項の申立てに係る事件は、次に掲げる裁判所の管轄に専属する。

一 号
当事者が合意により定めた地方裁判所
二 号
当該事件の被申立人の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所
三 号
請求の目的 又は差し押さえることができる被申立人の財産の所在地を管轄する地方裁判所
6項

前項の規定により二以上の裁判所が管轄権を有するときは、先に申立てがあった裁判所が管轄する。

7項

裁判所は、第一項の申立てに係る事件の全部 又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより 又は職権で、これを管轄裁判所に移送しなければ**ならない。

8項

裁判所は、第六項の規定により管轄する事件について、相当と認めるときは、申立てにより 又は職権で、当該事件の全部 又は一部を同項の規定により管轄権を有しないこととされた裁判所に移送することができる。

9項

前二項の規定による決定に対しては、その告知を受けた日から二週間の不変期間内に、即時抗告をすることができる。

10項

裁判所は、次項の規定により第一項の申立てを却下する場合を除き執行決定をしなければならない。

11項

裁判所は、第一項の申立てがあった場合において、次の各号に掲げる事由のいずれかがあると認めるとき(第一号から第五号までに掲げる事由にあっては、被申立人が当該事由の存在を証明した場合に限る)に限り、当該申立てを却下することができる。

一 号
特定和解が、無効、取消し その他の事由により効力を有しないこと。
二 号
特定和解に基づく債務の内容を特定することができないこと。
三 号
特定和解に基づく債務の全部が履行 その他の事由により消滅したこと。
四 号

認証紛争解決事業者 又は手続実施者がこの法律 若しくはこの法律に基づく法務省令の規定 又は認証紛争解決手続を実施する契約において定められた手続の準則(公の秩序に関しないものに限る)に違反した場合であって、その違反する事実が重大であり、かつ、当該特定和解の成立に影響を及ぼすものであること。

五 号
手続実施者が、当事者に対し、自己の公正性 又は独立性に疑いを生じさせるおそれのある事実を開示しなかった場合であって、当該事実が重大であり、かつ、当該特定和解の成立に影響を及ぼすものであること。
六 号
特定和解の対象である事項が、和解の対象とすることができない紛争に関するものであること。
七 号
特定和解に基づく民事執行が、公の秩序 又は善良の風俗に反すること。
12項

裁判所は、口頭弁論 又は当事者双方が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、第一項の申立てについての決定をすることができない

13項

第一項の申立てについての決定に対しては、その告知を受けた日から二週間の不変期間内に、即時抗告をすることができる。