裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律

# 平成十六年法律第百五十一号 #
略称 : ADR法 

第三章 認証紛争解決手続の利用に係る特例

分類 法律
カテゴリ   司法
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第十七号による改正
最終編集日 : 2024年 05月14日 10時21分


1項

認証紛争解決手続によっては紛争の当事者間に和解が成立する見込みがないことを理由に手続実施者が当該認証紛争解決手続を終了した場合において、当該認証紛争解決手続の実施の依頼をした当該紛争の当事者がその旨の通知を受けた日から一月以内に当該認証紛争解決手続の目的となった請求について訴えを提起したときは、時効の完成猶予に関しては、当該認証紛争解決手続における請求の時に、訴えの提起があったものとみなす。

2項

第十九条の規定により第五条の認証がその効力を失い、かつ、当該認証がその効力を失った日に認証紛争解決手続が実施されていた紛争がある場合において、当該認証紛争解決手続の実施の依頼をした当該紛争の当事者が第十七条第三項 若しくは第十八条第二項の規定による通知を受けた日 又は第十九条各号に規定する事由があったことを知った日のいずれか早い日(認証紛争解決事業者の死亡により第五条の認証がその効力を失った場合にあっては、その死亡の事実を知った日)から一月以内に当該認証紛争解決手続の目的となった請求について訴えを提起したときも、前項と同様とする。

3項

第五条の認証が第二十三条第一項 又は第二項の規定により取り消され、かつ、その取消しの処分の日に認証紛争解決手続が実施されていた紛争がある場合において、当該認証紛争解決手続の実施の依頼をした当該紛争の当事者が同条第五項の規定による通知を受けた日 又は当該処分を知った日のいずれか早い日から一月以内に当該認証紛争解決手続の目的となった請求について訴えを提起したときも、第一項と同様とする。

1項

紛争の当事者が和解をすることができる民事上の紛争について当該紛争の当事者間に訴訟が係属する場合において、次の各号いずれかに掲げる事由があり、かつ、当該紛争の当事者の共同の申立てがあるときは、受訴裁判所は、四月以内の期間を定めて訴訟手続を中止する旨の決定をすることができる。

一 号

当該紛争について、当該紛争の当事者間において認証紛争解決手続が実施されていること。

二 号

前号に規定する場合のほか、当該紛争の当事者間に認証紛争解決手続によって当該紛争の解決を図る旨の合意があること。

2項

受訴裁判所は、いつでも前項の決定を取り消すことができる。

3項

第一項の申立てを却下する決定 及び前項の規定により第一項の決定を取り消す決定に対しては、不服を申し立てることができない

1項

民事調停法昭和二十六年法律第二百二十二号第二十四条の二第一項の事件 又は家事事件手続法平成二十三年法律第五十二号第二百五十七条第一項の事件(同法第二百七十七条第一項の事件を除く)について訴えを提起した当事者が当該訴えの提起前に当該事件について認証紛争解決手続の実施の依頼をし、かつ、当該依頼に基づいて実施された認証紛争解決手続によっては当事者間に和解が成立する見込みがないことを理由に当該認証紛争解決手続が終了した場合においては、民事調停法第二十四条の二 又は家事事件手続法第二百五十七条の規定は、適用しない


この場合において、受訴裁判所は、適当であると認めるときは、職権で、事件を調停に付することができる。

1項

特定和解に基づいて民事執行をしようとする当事者は、債務者を被申立人として、裁判所に対し、執行決定(特定和解に基づく民事執行を許す旨の決定をいう。以下この章において同じ。)を求める申立てをしなければならない。

2項
前項の申立てをする者(次項 及び第四項において「申立人」という。)は、次に掲げる書面を提出しなければならない。
一 号
当事者が作成した特定和解の内容が記載された書面
二 号
認証紛争解決事業者 又は手続実施者が作成した特定和解が認証紛争解決手続において成立したものであることを証明する書面
3項

前項の書面については、これに記載すべき事項を記録した電磁的記録に係る記録媒体の提出をもって、当該書面の提出に代えることができる。


この場合において、当該記録媒体を提出した申立人は、当該書面を提出したものとみなす。

4項

第一項の申立てを受けた裁判所は、他の裁判所 又は仲裁廷に対して当該特定和解に関する他の申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、同項の申立てに係る手続を中止することができる。


この場合において、裁判所は、申立人の申立てにより、被申立人に対し、担保を立てるべきことを命ずることができる。

5項

第一項の申立てに係る事件は、次に掲げる裁判所の管轄に専属する。

一 号
当事者が合意により定めた地方裁判所
二 号
当該事件の被申立人の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所
三 号
請求の目的 又は差し押さえることができる被申立人の財産の所在地を管轄する地方裁判所
6項

前項の規定により二以上の裁判所が管轄権を有するときは、先に申立てがあった裁判所が管轄する。

7項

裁判所は、第一項の申立てに係る事件の全部 又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより 又は職権で、これを管轄裁判所に移送しなければ**ならない。

8項

裁判所は、第六項の規定により管轄する事件について、相当と認めるときは、申立てにより 又は職権で、当該事件の全部 又は一部を同項の規定により管轄権を有しないこととされた裁判所に移送することができる。

9項

前二項の規定による決定に対しては、その告知を受けた日から二週間の不変期間内に、即時抗告をすることができる。

10項

裁判所は、次項の規定により第一項の申立てを却下する場合を除き執行決定をしなければならない。

11項

裁判所は、第一項の申立てがあった場合において、次の各号に掲げる事由のいずれかがあると認めるとき(第一号から第五号までに掲げる事由にあっては、被申立人が当該事由の存在を証明した場合に限る)に限り、当該申立てを却下することができる。

一 号
特定和解が、無効、取消し その他の事由により効力を有しないこと。
二 号
特定和解に基づく債務の内容を特定することができないこと。
三 号
特定和解に基づく債務の全部が履行 その他の事由により消滅したこと。
四 号

認証紛争解決事業者 又は手続実施者がこの法律 若しくはこの法律に基づく法務省令の規定 又は認証紛争解決手続を実施する契約において定められた手続の準則(公の秩序に関しないものに限る)に違反した場合であって、その違反する事実が重大であり、かつ、当該特定和解の成立に影響を及ぼすものであること。

五 号
手続実施者が、当事者に対し、自己の公正性 又は独立性に疑いを生じさせるおそれのある事実を開示しなかった場合であって、当該事実が重大であり、かつ、当該特定和解の成立に影響を及ぼすものであること。
六 号
特定和解の対象である事項が、和解の対象とすることができない紛争に関するものであること。
七 号
特定和解に基づく民事執行が、公の秩序 又は善良の風俗に反すること。
12項

裁判所は、口頭弁論 又は当事者双方が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、第一項の申立てについての決定をすることができない

13項

第一項の申立てについての決定に対しては、その告知を受けた日から二週間の不変期間内に、即時抗告をすることができる。

1項

前条の規定は、次に掲げる特定和解については、適用しない

一 号

消費者(消費者契約法平成十二年法律第六十一号第二条第一項に規定する消費者をいう。)と事業者(同条第二項に規定する事業者をいう。)との間で締結される契約に関する紛争に係る特定和解

二 号

個別労働関係紛争(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律平成十三年法律第百十二号第一条に規定する個別労働関係紛争をいう。)に係る特定和解

三 号

人事に関する紛争 その他家庭に関する紛争に係る特定和解(民事執行法昭和五十四年法律第四号第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権に係るものを除く

四 号

調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の実施に関する法律令和五年法律第十六号第二条第三項に規定する国際和解合意に該当する特定和解であって、同法の規定の適用を受けるもの

1項
執行決定の手続に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
1項
執行決定の手続について利害関係を有する者は、裁判所書記官に対し、次に掲げる事項を請求することができる。
一 号
事件の記録の閲覧 又は謄写
二 号
事件の記録中の電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録の複製
三 号
事件の記録の正本、謄本 又は抄本の交付
四 号
事件に関する事項の証明書の交付
1項
執行決定の手続における期日の呼出しは、呼出状の送達、当該事件について出頭した者に対する期日の告知 その他相当と認める方法によってする。
2項

呼出状の送達 及び当該事件について出頭した者に対する期日の告知以外の方法による期日の呼出しをしたときは、期日に出頭しない者に対し、法律上の制裁 その他期日の不遵守による不利益を帰することができない。


ただし、その者が期日の呼出しを受けた旨を記載した書面を提出したときは、この限りでない。

1項
執行決定の手続における公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。
1項

執行決定の手続における申立てその他の申述(以下この条において「申立て等」という。)のうち、当該申立て等に関するこの法律 その他の法令の規定により書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本 その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙 その他の有体物をいう。次項 及び第四項において同じ。)をもってするものとされているものであって、最高裁判所の定める裁判所に対してするもの(当該裁判所の裁判長、受命裁判官、受託裁判官 又は裁判所書記官に対してするものを含む。)については、当該法令の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところにより、電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この項 及び第三項において同じ。)と申立て等をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を用いてすることができる。

2項

前項の規定によりされた申立て等については、当該申立て等を書面等をもってするものとして規定した申立て等に関する法令の規定に規定する書面等をもってされたものとみなして、当該申立て等に関する法令の規定を適用する。

3項

第一項の規定によりされた申立て等は、同項の裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に、当該裁判所に到達したものとみなす。

4項

第一項の場合において、当該申立て等に関する他の法令の規定により署名等(署名、記名、押印 その他氏名 又は名称を書面等に記載することをいう。以下この項において同じ。)をすることとされているものについては、当該申立て等をする者は、当該法令の規定にかかわらず、当該署名等に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、氏名 又は名称を明らかにする措置を講じなければならない。

5項

第一項の規定によりされた申立て等が第三項に規定するファイルに記録されたときは、第一項の裁判所は、当該ファイルに記録された情報の内容を書面に出力しなければならない。

6項

第一項の規定によりされた申立て等に係るこの法律 その他の法令の規定による事件の記録の閲覧 若しくは謄写 又はその正本、謄本 若しくは抄本の交付は、前項の書面をもってするものとする。


当該申立て等に係る書類の送達 又は送付も、同様とする。

1項

執行決定の手続に係る裁判の裁判書を作成する場合には、当該裁判書には、当該裁判に係る主文、当事者 及び法定代理人 並びに裁判所を記載しなければならない。

2項

前項の裁判書を送達する場合には、当該送達は、当該裁判書の正本によってする。

1項

特別の定めがある場合を除き、執行決定の手続に関しては、その性質に反しない限り、民事訴訟法平成八年法律第百九号第一編から第四編までの規定(同法第七十一条第二項、第九十一条の二、第九十二条第九項 及び第十項、第九十二条の二第二項第九十四条、第百条第二項、第一編第五章第四節第三款、第百十一条第一編第七章、第百三十三条の二第五項 及び第六項、第百三十三条の三第二項、第百五十一条第三項、第百六十条第二項、第百八十五条第三項、第二百五条第二項、第二百十五条第二項、第二百二十七条第二項 並びに第二百三十二条の二の規定を除く)を準用する。


この場合において、別表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

1項

この法律に定めるもののほか、執行決定の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。