資金決済に関する法律

# 平成二十一年法律第五十九号 #
略称 : 資金決済法 

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   商業
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第七十九号
最終編集日 : 2024年 09月09日 11時02分


1項

この法律は、資金決済に関するサービスの適切な実施を確保し、その利用者等を保護するとともに、当該サービスの提供の促進を図るため、前払式支払手段の発行、銀行等以外の者が行う為替取引、電子決済手段の交換等、暗号資産の交換等、為替取引に関する分析 及び銀行等の間で生じた為替取引に係る債権債務の清算について、登録 その他の必要な措置を講じ、もって資金決済システムの安全性、効率性 及び利便性の向上に資することを目的とする。

1項

この法律において「前払式支払手段発行者」とは、第三条第六項に規定する自家型発行者 及び同条第七項に規定する第三者型発行者をいう。

2項

この法律において「資金移動業」とは、銀行等以外の者が為替取引を業として営むことをいう。

3項

この法律において「資金移動業者」とは、第三十七条の登録を受けた者をいう。

4項

この法律において「外国資金移動業者」とは、この法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において第三十七条の登録と同種類の登録(当該登録に類するその他の行政処分を含む。)を受けて為替取引を業として営む者をいう。

5項

この法律において「電子決済手段」とは、次に掲げるものをいう。

一 号

物品等を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入 及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器 その他の物に電子的方法により記録されている通貨建資産に限り、有価証券、電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子記録債権、第三条第一項に規定する前払式支払手段 その他これらに類するものとして内閣府令で定めるもの(流通性 その他の事情を勘案して内閣府令で定めるものを除く)を除く次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの(第三号に掲げるものに該当するものを除く

二 号

不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの(次号に掲げるものに該当するものを除く

三 号
特定信託受益権
四 号

前三号に掲げるものに準ずるものとして内閣府令で定めるもの

6項

この法律において「物品等」とは、物品 その他の財産的価値(本邦通貨 及び外国通貨を除く)をいう。

7項

この法律において「通貨建資産」とは、本邦通貨 若しくは外国通貨をもって表示され、又は本邦通貨 若しくは外国通貨をもって債務の履行、払戻しその他これらに準ずるもの(以下この項において「債務の履行等」という。)が行われることとされている資産をいう。


この場合において、通貨建資産をもって債務の履行等が行われることとされている資産は、通貨建資産とみなす。

8項

この法律において「有価証券」とは、金融商品取引法昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項に規定する有価証券 又は同条第二項の規定により有価証券とみなされる権利(電子記録債権法第二条第一項に規定する電子記録債権に該当するものを除く)をいう。

9項

この法律において「特定信託受益権」とは、金銭信託の受益権(電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値(電子機器 その他の物に電子的方法により記録されるものに限る)に表示される場合に限る)であって、受託者が信託契約により受け入れた金銭の全額を預貯金により管理するものであること その他内閣府令で定める要件を満たすものをいう。

10項

この法律において「電子決済手段等取引業」とは、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいい、「電子決済手段の交換等」とは、第一号 又は第二号に掲げる行為をいい、「電子決済手段の管理」とは、第三号に掲げる行為をいう。

一 号
電子決済手段の売買 又は他の電子決済手段との交換
二 号
前号に掲げる行為の媒介、取次ぎ 又は代理
三 号

他人のために電子決済手段の管理をすること(その内容等を勘案し、利用者の保護に欠けるおそれが少ないものとして内閣府令で定めるものを除く)。

四 号

資金移動業者の委託を受けて、当該資金移動業者に代わって利用者(当該資金移動業者との間で為替取引を継続的に 又は反復して行うことを内容とする契約を締結している者に限る)との間で次に掲げる事項のいずれかを電子情報処理組織を使用する方法により行うことについて合意をし、かつ、当該合意に基づき為替取引に関する債務に係る債権の額を増加させ、又は減少させること。

当該契約に基づき資金を移動させ、当該資金の額に相当する為替取引に関する債務に係る債権の額を減少させること。
為替取引により受け取った資金の額に相当する為替取引に関する債務に係る債権の額を増加させること。
11項

この法律において「電子決済手段関連業務」とは、電子決済手段の交換等 又は電子決済手段の管理をいう。

12項

この法律において「電子決済手段等取引業者」とは、第六十二条の三の登録を受けた者をいう。

13項

この法律において「外国電子決済手段等取引業者」とは、この法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において第六十二条の三の登録と同種類の登録(当該登録に類するその他の行政処分を含む。)を受けて電子決済手段等取引業を行う者 又は当該外国の法令に準拠して第十項第四号に掲げる行為に相当する行為を業として行う者をいう。

14項

この法律において「暗号資産」とは、次に掲げるものをいう。


ただし、金融商品取引法第二十九条の二第一項第八号に規定する権利を表示するものを除く

一 号

物品等を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入 及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器 その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨 及び外国通貨、通貨建資産 並びに電子決済手段(通貨建資産に該当するものを除く)を除く次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

二 号

不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

15項

この法律において「暗号資産交換業」とは、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいい、「暗号資産の交換等」とは、第一号 又は第二号に掲げる行為をいい、「暗号資産の管理」とは、第四号に掲げる行為をいう。

一 号
暗号資産の売買 又は他の暗号資産との交換
二 号

前号に掲げる行為の媒介、取次ぎ 又は代理

三 号

その行う前二号に掲げる行為に関して、利用者の金銭の管理をすること。

四 号

他人のために暗号資産の管理をすること(当該管理を業として行うことにつき他の法律に特別の規定のある場合を除く)。

16項

この法律において「暗号資産交換業者」とは、第六十三条の二の登録を受けた者をいう。

17項

この法律において「外国暗号資産交換業者」とは、この法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において第六十三条の二の登録と同種類の登録(当該登録に類するその他の行政処分を含む。)を受けて暗号資産交換業を行う者をいう。

18項

この法律において「為替取引分析業」とは、複数の金融機関等(銀行等 その他の政令で定める者をいう。以下同じ。)の委託を受けて、当該金融機関等の行う為替取引(これに準ずるものとして主務省令で定めるものを含む。以下この項 及び第四章において同じ。)に関し、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいう。

一 号

当該為替取引が外国為替及び外国貿易法昭和二十四年法律第二百二十八号第十七条各号同法第十七条の三 その他政令で定める規定において準用する場合を含む。)に掲げる支払等(同法第八条に規定する支払等をいう。)に係る為替取引に該当するかどうかを分析し、その結果を当該金融機関等に通知すること。

二 号

当該為替取引が国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する財産の凍結等に関する特別措置法平成二十六年法律第百二十四号第九条に規定する財産凍結等対象者 その他これに準ずる者として主務省令で定める者に係る為替取引に該当するかどうかを分析し、その結果を当該金融機関等に通知すること。

三 号

当該為替取引について犯罪による収益の移転防止に関する法律平成十九年法律第二十二号第八条第一項の規定による判断を行うに際し必要となる分析を行い、その結果を当該金融機関等に通知すること。

19項

この法律において「為替取引分析業者」とは、第六十三条の二十三の許可を受けた者をいう。

20項

この法律において「資金清算業」とは、為替取引に係る債権債務の清算のため、債務の引受け、更改 その他の方法により、銀行等の間で生じた為替取引に基づく債務を負担することを業として行うことをいう。

21項

この法律において「資金清算機関」とは、第六十四条第一項の免許を受けた者をいう。

22項

この法律において「認定資金決済事業者協会」とは、第八十七条の規定による認定を受けた一般社団法人をいう。

23項

この法律において「指定紛争解決機関」とは、第九十九条第一項の規定による指定を受けた者をいう。

24項

この法律において「紛争解決等業務」とは、苦情処理手続(資金移動業(第三十六条の二第四項に規定する特定資金移動業を除く。以下この項において同じ。)、電子決済手段等取引業 又は暗号資産交換業に関する苦情を処理する手続をいう。)及び紛争解決手続(資金移動業、電子決済手段等取引業 又は暗号資産交換業に関する紛争で当事者が和解をすることができるものについて訴訟手続によらず に解決を図る手続をいう。第百条第三項除き、以下同じ。)に係る業務 並びにこれに付随する業務をいう。

25項

この法律において「紛争解決等業務の種別」とは、紛争解決等業務に係る資金移動業務(資金移動業者が営む為替取引に係る業務をいう。第五十一条の四第一項第一号において同じ。)、電子決済手段等取引業務(電子決済手段等取引業者が行う第十項各号に掲げる行為に係る業務をいう。第六十二条の十六第一項第一号において同じ。)及び暗号資産交換業務(暗号資産交換業者が行う第十五項各号に掲げる行為に係る業務をいう。第六十三条の十二第一項第一号において同じ。)の種別をいう。

26項

この法律において「信託会社等」とは、信託業法平成十六年法律第百五十四号)第二条第二項に規定する信託会社 若しくは同条第六項に規定する外国信託会社 又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関(次項において「信託銀行等」という。)をいう。

27項

この法律において「特定信託会社」とは、特定信託受益権を発行する信託会社等(信託銀行等を除く)のうち政令で定めるものをいう。

28項

この法律において「特定信託為替取引」とは、特定信託受益権の発行による為替取引をいう。

29項

この法律において「銀行等」とは、次に掲げる者をいう。

一 号

銀行法昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行

二 号

長期信用銀行法昭和二十七年法律第百八十七号)第二条に規定する長期信用銀行

三 号
信用金庫
四 号
信用金庫連合会
五 号
労働金庫
六 号
労働金庫連合会
七 号
信用協同組合
八 号

中小企業等協同組合法昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の九第一項第一号の事業を行う協同組合連合会

九 号

農業協同組合法昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第三号の事業を行う農業協同組合

十 号
農業協同組合法第十条第一項第三号の事業を行う農業協同組合連合会
十一 号

水産業協同組合法昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第四号の事業を行う漁業協同組合

十二 号
水産業協同組合法第八十七条第一項第四号の事業を行う漁業協同組合連合会
十三 号
水産業協同組合法第九十三条第一項第二号の事業を行う水産加工業協同組合
十四 号
水産業協同組合法第九十七条第一項第二号の事業を行う水産加工業協同組合連合会
十五 号
農林中央金庫
十六 号
株式会社商工組合中央金庫
30項

この法律において「破産手続開始の申立て等」とは、破産手続開始の申立て、再生手続開始の申立て、更生手続開始の申立て、特別清算開始の申立て又は外国倒産処理手続の承認の申立て(外国の法令上これらに相当する申立てを含む。)をいう。

31項

この法律において「銀行法等」とは、銀行法、長期信用銀行法、信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)、労働金庫法(昭和二十八年法律第二百二十七号)、中小企業等協同組合法、協同組合による金融事業に関する法律(昭和二十四年法律第百八十三号)、農業協同組合法、水産業協同組合法、農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)又は株式会社商工組合中央金庫法(平成十九年法律第七十四号)をいう。

1項

金銭債権を有する者(以下この条において「受取人」という。)からの委託、受取人からの金銭債権の譲受け その他これらに類する方法により、当該金銭債権に係る債務者 又は当該債務者からの委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)その他これに類する方法により支払を行う者から弁済として資金を受け入れ、又は他の者に受け入れさせ、当該受取人に当該資金を移動させる行為(当該資金を当該受取人に交付することにより移動させる行為を除く)であって、受取人が個人(事業として又は事業のために受取人となる場合におけるものを除く)であること その他の内閣府令で定める要件を満たすものは、為替取引に該当するものとする。